42 王都
海の転移の魔法で王都の外れへ到着。
「海、ギルドの場所知っているの?」
「知らん。中央の道を城を目指して歩けばあるさ。さぁ、行こうか。」
そんなもんなんだ。まぁいいけど。
王都だからなのか、いままで行っていた町とはかなり違います。
人人人、迷子が怖いですね。迷子って年でもないですが。
携帯で連絡を取れるけど、人前では使えない。
「聖、手。」
海が手を差し出しました。ん、何かくれるんだろうか?
手を出したら、繋いだ、うわっ、そんな年じゃないからはずかしい。
「ちょっと、手を繋ぐのは。」
「はぐれるよりはいいだろ。」
まぁ、その通りです。我慢、下を向いて歩きましょう。なんだか頬が熱いです。
海が、ギルドを見つけたようで手を引かれて建物へ入りました。
さすがに中へ入ったら手を離してくれました。寂しく感じたのは気のせい。
「こんにちは。」とカウンターのスレンダーなお姉さん。
私よりは、年下でしょう。
「こんにちは。この薬草の換金をお願いします。」
と海が使用しない薬草を出しました。
「それと宿の紹介をお願いします。1週間で食事付きがいいのですが。
人数は2名です。食事の美味しいお勧めの店をお願いします。」
うん、うん、食事は大切よね。
「2名でいくらくらいまでいいですか?」
「そうですね。5フィンのつもりです。どのくらいのランクの宿になりますか?」
「中の上かしら。で、食事の良い宿がこのギルドの裏にあるわよ。
そこでどうかしら?」
「そこでお願いします。ところですごい人ですが、何かあったのですか?」
「あら?知らないの。勇者のお披露目があったからよ。」
「そうなんですか?知らなかったです。勇者ってどんな人なんですか?」
「そうね、伝説通り黒髪に黒い瞳の青年だったわよ。
声を掛けた人の話だと丁寧な話し方で、近づくと良い香りがするそうよ。」
良い香り?何かコロン?この国の香料については知らないからわからないけど。
「へぇ、そうなんですか。ところで勇者のランクってどうなんでしょうか?
当然Sランクなんですよね?この国のSランクの人と比べてどうなんでしょうね。」
「お城の発表では、かなり強いって話ね。
そういえば勇者を亡き者にしようとしたと、森の魔女とギルドマスターの一人が
捕まったと聞いたわ。
ここだけの話だけど、あの二人に限っておかしいような気がするわ。
二人とも捕まる前日は、ここに来てたのよね。感じも良かったし。
で、ちらりと助けるって話が聞こえてきてたのよね。」
おしゃべり好きのお姉さんですね。こんな話していいのかしら?
「そうですか。そろそろ行かないと。紹介状と換金お願いします。」
さすが、海。あっさりと終わらせちゃいました。
「薬草は、5フィンね。これが紹介状ね。」
とお金と紙を受け取りました。
「ありがとうございます。」とギルドを出て宿へ向かいました。
宿のすぐ手前で
「聖、部屋だけど一緒にするからな。で、夫婦ってことで。」
「なんでよ。姉弟でいいじゃない。」
急に何言い出すんだ?
「嫌だ。部屋で話するから。いろいろ打合せもあるし。
とにかく部屋へ行ってから。」
「すみません。ギルドで紹介されて来ました。」
「は~い。いらっしゃいいませ。」
紹介状を渡してお金の支払いをしました。そして、そのまま部屋へ案内されました。
ベットが二つにテーブルに椅子2つ。ベットが一つじゃなくて、ほっとしました。
「聖、こんな時になんだけど…。俺と結婚してくれ。真面目に考えてほしい。」
「本当にこんな時に何言ってんの。そんな冗談おもしろくないわよ。」
あら、返事が返ってこない。ちょっとマジっぽい顔?本気なはずないだろうし。
私以外の人だったら勘違いしてたわね。
「ちょっと出てくる。」と海は部屋から出て行きました。
なんだったんだろう?相変わらずよくわからない子ね。
そういえば打合せするって言ってなかった?変なの。
“聖、お前なぁ…”
“何?ブラン。”
“よく鈍いって言われないか”
“なんで知ってるの?”
“見てればわかる。海が気の毒だぞ。”
“???”なんで?