36 海サイド
<トゥルゴバスキ国>
召喚されて1ヶ月半か。この国での情報収集も終わりだな。
召喚された国と比べるのが申し訳ないくらい良い国だった。
国王も皇太子も第一に民のことを考えることのできる人物だった。
まわりも同じような考えを持つものばかり。こんな国もあるんだなと逆に驚いた。
多少問題のある人物はいた、が、不正はなかった。民を思ってという点は同じだった。
このままでいてくれればいいな。
ただ、隣の国がゴルア王国(召喚した国)では何かと不安がある。
あの王では、何かと理由をつけて戦を起こしそうだ。
トゥルゴバスキ国王は、魔王に操られているとか勇者に言わせて。ありそうで怖い。
この国での用は済んだから、明日の朝には他の国へ移動しよう。
今日中に挨拶とソフィアさんに明日で宿を引き払うと言わないといけないな。
近々引き払うとは言ってあったが・・・。予定よりは長かったな。
宿泊の支払いは、ちょうど明日までしてあったな。
今夜こそ、聖に連絡をいれないと忘れられそうだなぁ。
顔みたいなぁ。最強の保護者がついているから問題はないだろうけど。
さて、俺の一ヶ月を振り返ってみよう。
<ゴルア王国>
聖と携帯で話した翌日に周りの薬草と魔物を倒して、近くの町のギルドへ持っていった。
先立つものがないとな。
常識が頭に入っていると本当に助かる。薬草はもちろん、魔物の特性、弱点がね。
ある程度価値のある物を持っていったので2フォンのお金を受け取った。
ついでにギルドへの登録。
所在地がなく、職業も冒険者に固定させたい訳だから魔法で強制的に記入。
辺境の森出身の冒険者でカイと。
ランクだけはそのままにしておいたらAランクになってしまった。
あぁ、持ってきた魔物のランクが高すぎたようだ。
まわりの雑音は無視。気にしないと。
登録が終ったら、剣を購入するため武器を扱う店へ入った。
入ると同時にある剣に呼ばれて、手に取った。大きめの片手剣だ。
へぇ、重さが感じられないくらいに軽い。
“ご主人様、よろしくお願いいたします。”
“へぇ。日本でいう九十九神か。俺でいいのか?名はあるのか?”
“ないです。つけてもらえますか?”
“そのままで申し訳ないが、ソードでどうだ。”
“ありがとうございます。”
あとは、防具だな。鎧は重いから嫌だな。
冒険者だけどローブにして保護付けとくか。色はと、藍色でいいかな。
そうだ、小型ナイフも欲しいな。ちょっとしたことに使えるように。
「すみません。この三つでいくらですか?」
「兄ちゃん。この剣でいいのかい?呪いの剣と言われてるぞ。」
「はい?」
“おい、ソード。どうなっているんだ。”
“はい、主人と認めていないものが私を使った場合、多少怪我をしたもので。”
「この剣でいいですよ。お願いします。」
「じゃあ、両方で1フィンだ。鞘はおまけしておく。」
お金を支払って商品を受取り、早速剣を差し、ローブを着て店を出ました。
もちろん、ローブに魔法を掛けて。温度調整、ローブが汚れたり破けたりしない、
魔術が効かない、剣とか物理的な攻撃を緩和すると。
プラス、敵意のあるものからは見えなくする。
最後に俺と聖以外にはこのローブは使えないとする。
保護、完璧すぎるかな?普通ありえないのはわかっているけど。
聖が使う場合を考えるともっともっとと思ってしまう。
さて、腹ごしらえしたらトゥルゴバスキ国に転移と。
もちろん魔法でね。魔術の転移では、行ったことのある所しか行けない。
魔法の転移は、場所が特定できれば大丈夫だ。
創造の魔法で特殊な双眼鏡を作った。それは、自分が見たい場所が見えるもの。
だからトゥルゴバスキ国の国都の外れを確認して、そこへ転移するのさ。
町の外れから国都の外れを確認して転移した。