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水晶からの光で、お姉さんが持っていたブレスレットに何か書き込まれました。
「辺境の森のヒジリさん、魔術師、ランクはC?えっ、嘘。すごい。」
グリーさんとブランは、何の反応もしていませんでしたが、テーブルの人達、
聞いていたんですね・・・。
所々で、すげーとか嘘だって声が聞こえてきます。何がすごいんでしょうか?
「失礼しました。だいたいの人は、初めての登録ってFなのよ。
最初からCランクってかなりの腕前なの。
だから、周りの人も反応しちゃったのよ。私が原因ね。ごめんなさい。
でも、よく考えれば当然ね。Sランクのグリーさんのお弟子さんでしょ?」
グリーさん、Sランク、すごいです。
でも、魔力少な目でCランク、全開だとS超えるってこと?
“当たり前だ、聖はこの世界で一番の魔力の持ち主だからな。”
あら、ブラン聞こえてたのね。
「聖、弟子?」グリーさんひどい。
「弟子です。」
グリーさん、どう考えても弟子だと思いますけど。
「このブレスレットは、ギルドの身分証明も兼ねているから必ず付けていてね。
それと失くして再発行は、1フォンとなるから気をつけて。質問ありますか?」
「質問はないです。」
ブレスレットを受取って手首にはめると、手首にぴったり張り付りつきました。
アクセサリーとかと違って不思議と違和感がありません。
ブレスレットの色は、半透明の白。
お姉さんが言った個人情報は、さっきの水晶みたいな特殊なものでしか読み取れない。
これならつけたままで問題ないですね。
これで私もギルド人、なんちゃって。テンションちょっと変ね。
「聖、何か依頼受けるかい?」
「グリーさんのお手伝い程度でいいです。ランク上げたい訳でもないですし。」
Cなら中間だし良いですよね。平凡が一番ですもん。
たしか、読んだ本にギルドランクの多数の人は、B、C、Dって書いてあった。
比率はS1%、A9%、B25%、C30%、D25%、E9%、F1%だったはず。
「聖の実力は、B以上だと思うが。まぁ好きにしな。」
あらら、グリーさん・・・。グリーさんの前で私何かしましたっけ?
「ギルドでの用は終わったから、聖の武器を見に行こうかね。」
「はいっ?」
私の武器?って必要だったのね。魔物とは、グリーさんの剣を借りて戦っていたけど。
ほどんど魔術だったなぁ。
「グリーさん、すみません。連絡事項がありますので中にお入りください。」
ギルドから出ようとしていた私たちに、お姉さんが話かけました。
グリーさんは、カウンターの横を通って奥の部屋へ行くようなのです。
私たちもついて中へ入りました。
中には、落ち着いた感じの獣人の男性が坐っていました。
熊かしら耳が丸い。いいなぁ、耳触りたいなぁ、嫌がられるでしょうけど。
「グリューネ、久しぶりだな。弟子取ったのか?」
「リーコス、何か情報か?ああ、弟子だそうだ?」
「情報は、二つある。良いのと悪いのとどちらが先がいい?」
「どちらでもいい。さっさと話せ。」
「相変わらずだな。まず、勇者のお披露目が行われる。明日、神殿前だ。
それと、宮廷魔術師長が解任されて、何かを理由に牢へ入れられた。
新しい長は、王の抜擢。実力はあるらしい。」
「そうか、あれと狸宰相だからな。何かしたな。
牢か、そのうち助けることも考えないとな。リーコスはどうするんだ?」
「明日、勇者を見に行って、探ってくるつもりだ。帰ったら報告するか?」
「ああ、頼む。今は動かずにいるさ。しかし、勇者は見つかったのか?」
「影が探して、宰相が保護したとのことだ。どうなんだろうな。」
「そうだな。」
「じゃあ、またな。」