30 聖町へ
聖が、森の魔女と暮らすようになって1ヶ月が過ぎました。
暮らしの中で聖に必要な日常品は、グリューネが用意をしてくれていました。
明るい間は、グリューネと薬草を取りに行き、魔物に襲われれば戦い、
夜になれば、この世界を知る為に読書をするという毎日でした。
グリューネは、そろそろ聖を町へ連れて行きたいと考えています。
気にかかっていた勇者探しもすでに終っている為、問題はないと判断しました。
「聖、町へ行ってみたいかい?
薬草を売りに出かけるが、一緒にどうだい。」
「行きたいです。是非お願いします。」
“ブランたちも一緒に行こうね。”
皆の笑顔が返事のようです。
聖にとって、この世界で初めての町であり、お出かけです。
二人と一匹は、グリューネの転移魔術で、町のはずれへ移動しました。
「まずは、薬草を売りに行くね。売ったらお金を渡すから。
お金の単位とかは、大丈夫よね?」
「はい、本で勉強しました。
銅がフー、銀がファン、金がフィン、水晶がフォンでいいですよね。」
日本円で言うと、銅貨フーが10円、銀貨ファンが千円、金貨フィンが一万円、
水晶貨フォンが10万円くらいの価値って感じかな。
「よくできました。じゃあ、ギルドへ行くわよ。ついでにギルド登録もする?」
「私でもできるんですか?」
「問題ないでしょう。住まいは、今いるところになるだろうし。」
わぁ、できるなら嬉しいですね。
「あと、迷子になった場合は、ナイトについて行けば大丈夫よ。
ギルドまで案内してくれると思うわ。とにかく行きましょうか。」
“ブラン、そのときはよろしくね。”
“了解。その前に迷子になるなよ。”
“うっ、頑張ります。”
今から行く町は、城下町ではなくて国境の方が少々近いという場所になります。
グリーさんについて町へ入りました。
中世のヨーロッパの雰囲気と言えばいいのでしょうか?よく知らないんですが。
まぁ、日本の雰囲気は全くないってことで。
また、日本と違う雰囲気を醸し出しているのは、そこにいる人達のせいですね。
エルフ、獣人、色取り取りの人達。THEファンタジー、びっくりです。
直視すると失礼ですよね。グリーさんをひたすら見ながら歩きました。
神殿で見た感じとは全く違いますね。あちらは城下町だったというのも理由でしょうか?
広い通りを歩いて行くと両サイドには、お店が並んでいます。
木の看板に絵が描いてあります。勉強の成果を披露してみましょうか。
ジョッキの絵の食事処、バスターソード?の武器を扱う店、草と花の薬屋、
食べ物の絵の食べ物屋、服の絵の服屋、食器の絵は金物屋ってところでしょうか。
きょろきょろしている間にギルドに到着しました。
ちなみにギルドの絵は、マーライオンみたいな感じです。
建物は、他の店の二倍でしっかりとした作りに見えます。
グリーさん、ブランと一緒に中に入りました。
私は、ギルドとは日本でいう役所の受付って感じかなと思っていました。
でも、ちょっと想像とは違ってプールバー?高級飲み屋?の明るい場所って感じ。
丸テーブルに椅子がセットされていて、いろいろなグループが話をしています。
グリーさんについて、カウンターのすごい美形のお姉さんの所へ行きました。
エルフ族で髪が金色でグリーンの瞳。170cmくらいでモデルスタイル。いいなぁ。
「この薬草を頼む。あと、この子のギルド登録を。」
「わかりました。少々お待ちください。」
とお姉さんは奥へ行き、水晶?丸い玉を持って出てきました。
「まずは、薬草です。5フォンになります。よろしいですか?」
え~っ、すごい50万円ってこと?薬草って高いんだ。
聖は気付いていませんが、グリーさんの取る薬草は、強い魔物も多い場所で、
かなりランクの高いものでした。で、聖も強い魔物を倒しています。
「ああ、それでいい。お金は、水晶貨は3枚で後は金貨で頼む。」
「次に登録ですが、この水晶に手を載せてください。」
“聖、魔力は抑え目にしろよ。”
“大丈夫、普段は少なめにしてあるよ。”
「ここでいいんですか?」
「はい。結構です。そのまま少々お待ちください。
この間に、ギルドについて説明させていただきます。
ギルドにはランクがあり、F、E、D,C、B、A、Sと上がります。
そこのボードに依頼が貼ってあります。
自分のランクの下のランクと一つ上の依頼は、受けることができます。
依頼を失敗すると高額の罰金が発生しますのでよく考えて受けて下さい。
誰かと一緒に受ける場合は、高ランクの人に合わせてもらって結構です。
一つ上のランクを3つ受けて、成功すればランクが上がります。
そろそろ手を離してもいいですよ。」
水晶から光が発しました。