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どこへ行くんだろうと思うまもなく森の中へ。
建物の中と違って二つの月の光で明るく感じます。月二つ、THE異世界。
色が、ピンクとオレンジって・・・。
現在地は、森の中のちょっと開けたところ。
“さて、聖、状況は把握できてるか?”
[命が狙われているからここへ逃げ出したってことよね]
“そうだ”
[なぜ狙われるのかわからないけど]
“はぁ、言われてただろ、召喚に失敗したのは初めてだって。
失敗を見えるところに置いておかないだろう。明日には勇者が来るんだぞ”
[人の命を何だと思っているのかな。皆のおかげで助かったけど。
狼さんには一番お世話になり、ありがとうございました]
“狼さんか、聖、名前くれ”
白だからブランカ。確か狼王ロボの奥さんも白い狼でブランカって…。
スペイン語の白って意味だけど考えることは誰も一緒なのかな?
フランス語のブランでどうかな。
[ブランは、どう?]
“ブラン、いいんじゃないかな。聖、礼を言うぞ”
[ところで私は今後どうすればいいのかな。もともと一般人だから一般人と
して暮らしていきたい。でも、ここの世界について全くわからないんだけど]
“うむ、私からの提案は二つある。私が知っている人間が二人いる。
森に一人で住んでいる老婆と、ある貴族の老人なんだが、どちらも一筋縄では
いかない相手でもある。性根は善良だから問題はない。老婆は、魔術師で老人は、
魔術騎士だ。聖、どちらかを紹介してやる。どちらがいいか考えろ”
[へっ、展開はやっ。ブランに知り合いがいるなんて思わなかった。
やっぱり同性がいいから老婆かな。貴族だとちょっとマナーに不安があるし]
“わかった。明日、連れて行ってやる。今日のところは、ここに泊まれ。
適当に準備してやる。土のと火の出て来い”
““ブラン様、ここにおります””
赤い妖精さんと黄色い妖精さんが突然現れました。
“聖、こいつらにも名前付けてやれ。赤いのが火で黄が大地だ”
““お願いします””
あらあら赤い妖精さんはきつめの美少女で黄色い妖精さんは明るい美少年。
[火の妖精さんがフラムで大地の妖精さんはティエラはどうかしら。私は聖です。
よろしくね]
“フラムね、気に入りましたわ。ありがとう” “ティエラ、うん、ありがとう”
二人と挨拶を交わしている間にブランは、木と木の枝を使って簡易な家を作り終えて
いました。なんと言うか不思議です。
場所は、木の上でぱっと見ただけではわかりません。今は、ブランが移動させくれて
家の中です。ベットっぽいものとローテーブルがあるだけで3~4畳くらいですね。
“聖、ひとまず寝ろ、まだ足らないだろう”
ブランの言葉と目まぐるしい展開で疲れたのか眠気が一気にきました。
[そうさせてもらうね。これってこのまま寝ていいの]
“ああ、干草をシーツに包んだだけだが寝れるだろう。皆ここにいるから安心して寝ろ”
[ありがとう、おやすみなさい]ベットに寝転ぶと数分で眠りにつきました。
その後、皆の話については後で教えてもらうまで知りませんでした。
“さて、お前たちどうするのだ?
明日、勇者が現れるだろう。どちらと行動をともにするのだ?
まだ、現れていないものと比べるのは酷だが、選ばなければならない。
明日の勇者も異世界からの召喚だからこの世界の人間よりかなり魔力は多い。
されどお前たちが付けば敵はない。つまり世界最強だ。それぞれ分かれても良い。
どうするか、決めろ”




