第2章:ウソの『結果報告』
矢板東高等学校では、
高校入試で「1位」の成績で合格した者が、入学式で、
新一年生代表として、
体育館の壇上にて『スピーチ』する権利が与えられる。
ぼくは、中学3年生になってからは、「志望校別順位」では、常に校内1位だったし、
「余裕で」合格した受験戦士だったので、
当然、自分がその権利をゲットしたものとばかり、勝手に思い込んでいた。
・・・ところが、そうじゃなかった。
新入生代表の『抱負』を読んだのは、
玉生中学出身の、
『鈴木やすひと』だった。
ちょっと小太りで、
タヌキみてぇな顔と体型の、初めて見る男だった。
・・・マジでくやしかったぜ。
だってさぁ、
まさか、こんな「伏兵野郎」なんかに、受験本番で負けてたなんてね・・・。
だから、
大高(= 大田原高校)へ入学した、元ライバルの三友君(= トシちゃん)から、入学式当日の夜、電話があったときに、ぼくは・・・。
「しげお、入学式の『スピーチ』読んだか・・・?」
「ああ、読んだよ。俺が首席で合格したんだ。」
きっとトシちゃんは、
「知ってて」電話してきたんだよ。
・・・カッコ悪かったぜ。




