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プロローグ
2025メフィスト賞落選作品です!
公募に出す方は参考(?)にしてください!
あと供養させてください!
先輩は不器用な人だった。
何でも器用にこなせて頭がいいはずなのに、自分の価値が全く分かっていない。私に指示した時だって、全ての悪意を一人でかっさらっていってしまった。全部計画通りだったんだろうか。あのおとなしい先輩のために、あそこまでするなんて。
どうしてそんなことをするのか、先輩が抜けた後に尋ねたことがある。先輩は言った。
「昔、私も同じように助けてもらったの。自分のことなんか顧みないで、ほんと馬鹿だよね」
自分勝手な自己陶酔だと私は諫言したが、先輩は妖しく笑っただけだった。私が絶対に真実を漏らさないと思っていることも、無性に腹が立つ。
何故、自分だけ犠牲になろうとするのか。
それが本当に周りのためになると思っているのか。
先輩を信じた私だけが、不幸になっていくじゃないか。