第十四話 遂に一線を越えてしまい
「あ……おはよう、ハル君」
「おはよう。あの……」
「ん?」
朝になり、木乃香姉さんはいつものような笑顔で、俺に元気よく挨拶してくれる。
昨日は俺が襲いかかってきたのに、こんなに眩しい笑顔で俺に接してくれるなんて、優しいと言うかむしろちょっとおかしい気がする。
(何を考えているんだろう?)
俺の事が好きなのか、おちょくっているのか、それもよくわからない。
「昨夜はその……」
「え? ああ、もういきなりやるから、驚いちゃったよ。今度から、ああいう事はめっ、よ♪」
「ああ……」
と、まるで子供をあやすような口調で俺に注意し、木乃香姉さんの可愛らしい笑顔を見て、ドキっとしてしまう。
それと同時に妙ないらだたしさを感じてしまった。
俺の事を子供扱いしているんだろうか?
あんなことをしても怒りもしないってのはそうとしか考えられない。
もし怒っているのであれば、ちゃんと謝ろうかと思ったが、今のでそんな気は失せてしまった。
いや、俺を挑発しているのか?
だったら、俺は……そんなだったら、もう遠慮はしないぞ。
「ねえ、木乃香姉さん」
「何?」
「ちゅーして欲しいなあ」
「あん、もう甘えん坊ね。来なさい。ちゅっ♡」
キスをおねだりすると、木乃香姉さんははにかんだ笑顔でそう言いながら、俺の頬にキスをする。
彼女の柔らかい唇を頬に感じた瞬間、決意した。
「もう一回」
「え? んもう……じゃあ、もう一回だけよ。ちゅっ」
おねだりすると、木乃香姉さんは俺の頬にまたキスをしてくれた。
「じゃあ、そろそろ出るね」
「うん。あのさ、木乃香姉さん」
「ん?」
「俺、今夜頑張るよ」
「はい?」
木乃香姉さんの手を握り、そう彼女の告げる。
何のことかわからなくて、木乃香姉さんはキョトンとしていたが、
「木乃香姉さんの事、また襲うから」
「は?」
「今度は最後までやる」
「な、何を……んもう、変な事言わない」
やっと、俺の言いたいことを理解したのか、木乃香姉さんは顔を真っ赤にしてそう言って視線を逸らす。
頭がおかしいと思われちゃってるんだろうな……でも、構うものか。
俺はもう怒りにも似た感情を彼女に抱いてしまっているので、もう止める事はしない。
「嫌だって言ってもやるから」
「ああ、もう……くす、でもなんか変ね。抵抗するかもしれないけど、頑張ってね」
と俺が宣言すると、呆れてしまったのか、木乃香姉さんはむしろ明るい口調で俺にそう告げ、家を出て行った。
あんな宣言をしておいて、俺にいつも通り接してくる木乃香姉さんのメンタルにちょっと脱帽してしまったが……逆にあの笑顔を見て、決心した。
俺は木乃香姉さんを滅茶苦茶にしたい。いや、する。
身も心も俺の物にして、全てを汚しつくしてやりたい。
そんな邪悪な気持ちに支配されて異様に気持ちが昂ってしまい、止める事が出来なくなってしまった。
夜中になり――
「ただいま」
木乃香姉さんはいつもより少し早めに帰宅してきた。
「あー、今日は定時に帰れて、良かった」
「そう。よかったね」
「うん。あ、先に夕飯を……きゃあっ!!」
彼女が部屋に入り、着替え始めた所で、俺は木乃香姉さんを一気に押し倒す。
着ていたブラウスも下着も強引に脱がせていき、太腿も手で乱暴に触っていく。
「きゃっ! ちょっと、何を……んんっ!」
「んっ、んん……」
突然、俺が襲ってきたので、木乃香姉さんも驚いて強く抵抗するが、それを騙せるように俺がキスをする。
急に口を塞がれて、木乃香姉さんも苦しそうにもがいていた。
「んっ、ちゅっ、んん……んっ、んん!」
「ん……はあっ! 言っただろ! 嫌だと言ってもやるって」
「だ、だからって、こんな……せめて、シャワー……やっ!」
『抵抗するかもしれないけど頑張ってね』
木乃香姉さんの朝の言葉を思い出して、それを励みにし、強引に押しきっていく。
ああ……俺、頑張るよ、木乃香姉さん。
頑張って男になってやるからな。
……
………
「…………」
遂にやってしまい、俺も、横たわっている木乃香姉さんを横目に、浴室へと向かう。
ああ……終わりだな俺は。
木乃香姉さんも傷ついているかもしれない。
でもやり切った。満足だよ、俺は。
「…………」
その後、夕飯になり、俺も木乃香姉さんも気まずい沈黙のまま、夕食を摂っていく。
あんな事をしておいて、よく俺と食事をする気になれたと感心したが……どう思っているのかな。
「ねえ、木乃香姉さん」
「ん?」
「俺、謝らないから。悪い事をしたとは思っていない」
「ぶ……も、もう。食事中にそういう話はしない」
急に俺がそんな事を言ってきたので、木乃香姉さんは頬を赤くして、箸でおかずの煮物を摘まみながら、視線を逸らす。
謝る気も悪いとも本当に全く思っていない。
木乃香姉さんを俺の物にしたんだ。これからも、覚悟しておいてほしいね。
「ま、まあ……今日の事は水に流すから……これからは」
「これからもやりまくるよ」
「ああ、もう……男の子だからって、盛りすぎ。ほら、早く食べよう。私も明日仕事だしさ」
何とか話を逸らそうとするが、木乃香姉さんに正直に思いを告げて、夕飯は過ぎていく。
そうだよ。もう彼女が嫌だと言おうが、やってやる。
木乃香姉さんは俺の好きなようにしてやるし、俺だけの女にしてやるんだからな。




