77話 ツルハシヨシコとヤギどらごん
よろしくお願いいたします。
休日の土曜、午後3時。
ツルハシヨシコは大角製薬のミニファイズを時間をかけて飲む。
寝起きの頭はまだ回っていない。
ソファに体を預けて、ミニファイズをしきりに触って確かめる。冷蔵庫で冷えた瓶の表面がひんやり気持ちいい。
カーテンの隙間から部屋の中に光が射し込み、ツルハシヨシコはただそれを目に映す。
昔、病院へ通うことが多かった時に母が購入してくれた、その時の味のまま。
薄いピンク色の微炭酸の飲み物。
今はなんだって自由にできるしずっと体の調子もいい。
今ここにいるのは当たり前ではなく、奇跡の積み重ねであることも理解している。
それでも休日は午後に起床するし、空が暗くなるまで私は何もしないのだ。
私が住むこの部屋は生活感とぬいぐるみで溢れている。
これは母にも誰にも話したことはない私だけの秘密。
ヤギどらごんぬいぐるみの羽がピンク色になる日がある。その日はミニファイズを特別に飲むことにしている。
長期目標もなくただ生きているだけだけど、
春になったら桜を見に行く計画を私はずっと心に決めているのだ。
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ありがとうございました。