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閑話休題 虹色のトカゲ
よろしくお願いいたします。
見慣れた住宅地をわずかに越えた先で
虹色のトカゲを追いかけていました。
決して走ってはいけない。
口に含んだ飴を溶かしてきってはいけない。
両手でつくった狐の窓を崩してはいけない。
虹色のトカゲを追いかけている間は透明人間になれるのです。
これで車にでも轢かれて死んでしまったら死体が見つかることは決してありません。
私は虹色のトカゲを追いかけていたのですが、気づくと七色に光る妖精たちに囲まれていました。
光が乱反射するような妖精の眩しさに目を瞑ると私の瞼はすっかり開かなくなりました。
妖精は喋りません。
喋るために私が飴玉を噛み砕くと血の味がします。どうやら私は声を失ってしまったようです。
これは夢に違いない。
私は両手の狐の窓を壊します。
覚醒して目に映る光景は迫りくるトラック。運転席は無人。だから私は空を見上げることにした。
雲一つなく、太陽は眩しく、空は大きかった。
それが私が轢き殺される1秒前だった。
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ありがとうございました。