表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドリームブレーカーとヤギどらごん  作者: ヤギどらごん応援隊員
89/107

72話 ヤエザキハルミとヤギどらごん

よろしくお願いいたします。




 ヤエザキハルミの入浴時間は平均して80分。


 本日の入浴のお供はバニラ味の高級カップアイスとアルコール度数の高い缶チューハイ。

職場でのストレスが溜まっていたので帰りにコンビニで買ったもの。普段はコンビニに寄らないのだが今日は特別とした。


 湯に浸かり、ネット配信のドラマを観ながらアイスを食す。そしてちびちびと酒を口に含み、口の中がケミカルないちご味に変わる。40度の湯船は私を包みこんで温める。

これが私の時間であり、心を許す時間であり、幸せな時間である。

入浴剤はドラッグストアで購入した金木犀の香り。前から使おうと楽しみに用意していたものだ。

今の私の幸せといえばこれくらいのものである。

 アイスの最後の一口をスプーンで掬ったとき、目の前にヤギどらごんがいて、最後の一片ひとかけをとても羨ましそうな目で見ていた。

不思議と驚きはしなかった。浴槽の蓋の上にはスマホ、缶チューハイ、アイス、そしてヤギどらごん。なんとも不思議な対面。

アイスの乗ったスプーンを彼岸の口元へ伸ばすと、ヤギどらごんは短い舌でぺろりと舐めた。

そしてヤギどらごんは目を薄く閉じて微笑む。とても可愛いらしい光景。それを見て私の口元もゆるむ。ほんの数秒の間、浴槽の蓋の上でヤギどらごんは踊りを見せてくれた。ずいぶん久しぶりに心から笑った気がする。


 この高級アイスを毎日食べられるくらい頑張ってみようか。

 幸せもモチベーションも私にはこれくらいで充分なのだ。





☆☆☆

次の日の入浴にはヤギどらごんはいない。

その次の日にはヤギどらごんがいた。

また次の日にはいない。


ヤギどらごんは金木犀の香りが好きなのかもしれない。



下へスクロールすると、

☆☆☆☆☆をタッチして評価できます。

ブックマーク、評価はより励みになります。


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ