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70話 タクシマユウマとヤギどらごん

よろしくお願いいたします。



 白場が池を通って俺は学校へ通っていた。


池を囲うフェンスにヤギどらごんぬいぐるみが括り付けられていた時期が一時いっときあった。ぬいぐるみの間隔は10メートルくらい。


その光景を見ることができるのは部活の朝練で家を早く出る時だけ。同じ部活仲間にもクラスの友達にも話したが放課後にはぬいぐるみが撤去されていて話としては盛り上がらなかった。

同じ道を通る友達にも勿論確認したが、部活で朝練のある自分しかヤギどらごんのぬいぐるみを見ていないようだった。


自分だけがヤギどらごんぬいぐるみを見ている日々を過ごしているとさすがに気味が悪くなってくる。

俺は信じてもらおうとさらに早くに家を出て親友を呼びつけて一緒に白場が池を通った。


いつもより20分ほど早く池に着くと、ヤギどらごんぬいぐるみをフェンスに付けている男がいた。

その男は自分を真っ直ぐ見て言う。

「写真はダメだよ。写真を撮る子は悪い子だよ。いままで写真撮ってないから許してたんだよ。写真はダメだよ」

ビーチサンダル、トランクスパンツ、ランニングシャツ。身に着けているものすべてがへたっている50代くらいだろうおじさん。

動揺を隠すように俺達は挨拶だけしてそそくさと学校へ向かった。

その出来事以降、白場が池を1人で通ることは辞めて、まわり道で学校へ行くことにした。朝練に遅刻しそうな時だけはダッシュで白場が池を走り抜ける。


そんな時、フェンスに括り付けられたヤギどらごんぬいぐるみが必ず横目に映る。ヤギどらごんの首とフェンスが麻紐で括られているとても気味の悪い光景だ。



☆☆☆

白場が池で男性の首吊りがあった。

気味の悪い話だが、それ以降、池のフェンスにヤギどらごんが括り付けられることはなかった。

ありがとうございました。

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