80/107
65話 流星に願いを
よろしくお願いいたします。
夜は21時半。
僕と友達は中学の敷地を囲うフェンスに肘を乗せ、体重を預けて各々楽な姿勢でいた。
僕の手首に掛けてあるコンビニの袋には焼鳥1本とブラックサンダー1個。それと近くの自販機で買った力水サイダー。
僕は焼鳥を咥えながら、友達はグミを噛みながら暗闇を覗く。涼しい風は寝ぼけを覚ますように頭を覚醒させる。
理科の先生の言うことが正しければ光り始めて30分が勝負らしかった。
空から光が落ちてくる。
まぁ綺麗だ。
長野の宿泊体験で見た夜空の星ほどではないが、それでも胸に残るものがある気がした。
中学生活も残り半年を切った。
受験という山場を控え、なぜ僕らは空を覗くのか。
本当に叶ってほしい願いは何か。
自分でもわかっていない。
そんな日々を疑問に思わないように生きている。
僕が残したものは何か。
理科室の椅子の裏に彫った「ヤギどらごん参上」くらいだろう。
掃除する時に気づかれるかな。
たったそれくらいのものである。
ありがとうございました。