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41話 ハラヤマキョウヘイとヤギどらごん

よろしくお願いします


 心臓が痛い。

鼓動の度に何かが噛み合っていないような気がする。

そのうち呼吸の仕方もすっかり忘れてしまいそう。

朝日を浴びて歩く通勤時間は恥ずかしい。とても恥ずかしくて消えてなくなりたい。太陽に等しく照らされているようで、自分一人があぶり出されているように思える。


こんな気持ちをして毎日生きているなんて自分以外の誰が知るだろう。


学生の頃の精神は最強だった。現実を廃絶したファンタジーに生きていた。

楽しい毎日が永遠に続くと信じていた。


何者にもなれず、何もなさず、誰にも愛されず、そうして絶命する未来が現実を帯びていく。


駅のホームの最前に立つ。

一歩踏み出せば、ホームに入る電車があの世へ連れて行ってくれる。


今にもスキップを踏みそうな足が重くなる。

一生涯持ち得る運をすべて使い果たしたと俺は思った。人生はじめて見る妖精が自分の両足をおさえていた。


乗らなくてはいけない電車のホームドアが開いても妖精は手を離さない。自分を置いて乗車する周りの視線が刺さるように痛い。


 ヤギどらごんはテコでも動かない。

足が動くようになったのは会社に休みの連絡を入れた時だった。



☆☆☆

 物事は日々良くならない。

日ごと生きるのが苦しくなる。


太陽は相変わらず自分一人を照らして笑っているように思う。


そんなとき自分は通勤バッグにつけた妖精のぬいぐるみを見て、深呼吸することだけを考えるようにしている。



ありがとうございました

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