4話 サトウハルヨシとヤギどらごん
よろしくお願いいたします。
ここ数日間、私は弟に振り回されていた。
弟は「ヤギどらごんに呪われた」と叫び、
私にアイスの絵を求め続けていた。
家で絵を描いてあげていたのだが、それでも足りないらしく、昨日はとうとう学校でも描き上げる羽目になったのである。
しかしそれも過去の話。
昨夜、弟の絵を求める声が止んだ。
弟曰く「姉ちゃんと同じ高校の人にレアカードをたくさん貰った」と喜んでいた。
弟の癇癪が止んで嬉しい限りだが、ヤマシマサヤは姉としてカードをくれた人へ感謝しなければならないと考える。そして翌日の教室、自席で一人頭を捻る。一体どうやって恩人を探せばいいのだろうか。
「ハルヨシ昨日、小学生にカツアゲされたのマジで笑うわ」
「カツアゲじゃねーし、俺がカードをあげたの!」
「お前急にカード買ってんのも笑うし、その場で小学生に全部あげるし、あげたパックを一緒に開けたら、全部レアカードなのお前持ってるわ」
「あれは笑い止まらないよね」
「小学生も一緒に笑ってたよな」
いつもの3人組は教室で昨日あったことを話して、その周りも皆笑っていた。
コウタを救ったのはハルヨシくんだった。
ヤマシマサヤは嬉しい気持ちが沸々と湧き、彼から目が離せなかった。
誰も気づいてないけれど、ハルヨシくんの頭の上にはヤギどらごんが座っていた。コウタの呪いを引受けたのか、それとも解除できたのか、そんなことは私にはもうどうでもよかった。
体は自然とハルヨシくんの方へと歩き出していた。
ありがとうございました。
この話は終わりです。
これからは1話完結が続くと思います。
ブックマークや評価してくださるとさらに励みになります。