22話 ナカジョウツヨシとヤギどらごん
よろしくお願いいたします。
スマートフォンのXperibが爆発的に売れ出した。
なんと、ヤギどらごん公式配信の時間、博士が持っていたスマホの機種がXperibと判明したのだ。
その瞬間、公式ストア、中古販売店からもXperibの現行販売機種が完売した。
「ずっとこれなんですよ」
いつもは何も言わない博士がポツリ。
その一言は記事になり、
その一言はすぐさまXperibの広告へ起用された。
当然、僕もその配信を見ていた。僕は誇らしかった。僕が持つスマホはXperibであり、Xperibとマルチウィンドウの相性の良さをとても気に入っていたからだ。
画面の上半分をヤギどらごん配信。下半分でSNSを開いてヤギどらごんファンアートを探す。こんな幸せなことができる端末に感謝しかない。
明日の学校で、Xperibを持ちながら、
「ずっとこれなんですよ」って言ってやる。
教室の話題を掻っ攫い、大爆笑させてやるのだ。
想像するだけで今から笑いが止まらなかった。
なぜだろう。
ベッドに入ったタイミングで長年の疑問を思い出す。
それは遠い昔に考えるのを放棄したもの。
1足す1はどうして2なのだろう。
たった一瞬の思考。それは胸の奥にしまうようにする。
明日の楽しいことだけを考える。
そしてナカジョウツヨシは眠りについた。
ありがとうございました。