100話 小学5年生とヤギどらごん
よろしくお願いいたします。
※最終話ではござません。
※まだ続きます
8月27日 太陽は真っ黄色 曜日は覚えていない。
夏休みの終わりまであと数日。
サマーキャンプもプール教室もミニバスの夏合宿も祖父母との団体家族旅行も全て満喫した。
残りの夏休みは何をして過ごそうかタジマミハルは考えた。
結局、友達は夏休みの宿題をしなければならなかったり、祖父母の家に行っているということで遊ぶ予定は立てられなかった。
だからタジマミハルは少しのお小遣いを持って家を出て1人散歩をすることにした。
コースは近所の公園4つを周る散歩に決定する。
朝8時でも日差しは暑い。汗がすぐにシャツを濡らす。帰ったらシャワーを浴びて、今日の日記を書く、そして夏休み明けの提出物の確認。歩き始めて少しずつ温まる体に対して頭が冴える。朝にすることで1日の予定が明確になる。彼女は父からそう教わっていた。
鍔付きの帽子はメジャーで活躍する日本人野球選手が身につけているブランド。これは祖父からのプレゼント。
シューズは祖母から貰った膝に優しい国産のもの、いつ走り出しても絶好調で走りきれる。
恵まれていると思う。
自分が関与できない環境の部分において感謝してもしきれないものがある。そしてそれに応えたいとも思うし、生まれ変わりがあるとしてもまたタジマ家として皆と会いたいと本気で思っている。
母親は言う。
「今日は昨日とまるで別物だから、毎日全てに感謝して全てに真摯に向き合いなさい」
ひとりきりの散歩は頭がよく回り、景色の懐かしさに浸る隙もなくタジマミハルは散歩コース最後の公園まで着いた。
散歩の小休憩にベンチに座ろうとすると、その陰に妖精がいるのが見えた。弱っているのか短い舌を出したまま目を瞑って横たわっている。水道の水をかけてあげようと持ち上げようとするもタジマミハルの手は妖精をすり抜けてしまう。彼女は触れられなかった。彼女は走って近くのコンビニで必要そうなものを見繕って買った。だが結局必要だったものはアイスだけだった。
妖精の顔の前にアイスを出すと、目を開けて舌を伸ばしてペロッと舐め始めた。辛抱強くアイスを3本食べさせたところでヤギどらごんが胸に飛び込んできた。私はヤギどらごんに触れたのだ。私が簡単に思いついた日記の内容なんかすぐに消し飛ぶ。今日は家の周りを散歩をしました。、から始まるなんてものじゃない。予測不能でワクワクすることがこれから起こるんだとわかった。私は笑っていたと思う。
どうしてかわからないけど、ヤギどらごんは私を気に入ってくれたのか、次の日も、その次の日も毎日私と遊んでくれた。
家族にも秘密の、私と妖精さんの夏休みの過ごし方。
夏休み最終日の夜まで
私はヤギどらごんちゃんと最高に楽しい時間を過ごした。
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ありがとうございました。




