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ドリームブレーカーとヤギどらごん  作者: ヤギどらごん応援隊員
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98話 人助けとヤギどらごん

1話を読んだあとに読んでほしいです。




 放課後の帰り道で女性がうずくまっている姿を見た。

夕暮れ過ぎの公園で周りには自分以外誰もいない。

7限授業の後だからもう19時を過ぎている頃。

「助けてください」

女性の小さな声がする。俯向いているから表情は見えないものの辛そうな声であることはわかる。

スマホを取り出しいつでも119番通報できるようにして近づく。


 なにかおかしい。違和感を感じる。

女性の姿勢だろうか。

長い髪の毛は乱れて顔の前に垂れいて近づいても女性の顔は見えない。

女性の足の裏はしっかり地面をとらえている。

両手は懐にあり、小さく丸まっているという表現がぴったりだ。


「助けてください」


女性の大きな声に心臓をはたかれたようだった。

苦しむ人の前で自分は観察するような真似をしてしまうなんて。


手の届く位置まであと一歩というところで足が止まった。

妖精が女性を囲んでいた。

6体のヤギどらごんが手を握って女性を中心に円をつくる形となっていた。


「助けてください。辛いんです」


女性の甲高い声が響く。

ヤギどらごん達は女性に手を貸すでもなく、ただ囲っている。女性は身動きが取れないようでただ助けを求めるのみ。


「今、救急車を呼びます。待っていてください」


「ありがとう。でも今すごく辛いの。私の手を取ってほしいの」

女性の手が自分の方へ伸びるも、周りを囲うヤギどらごんによってその手は届かない。


「通報された方ですよね。救急車は向かわせています。すみませんが、女性の特徴をもう一度良いでしょうか」


何回かやり取りしてスマホから大きな声がした。


「離れてください。女性から距離を取ってください。まだ判断できませんが、連続通り魔犯の可能性があります」


女性に救急隊員のこの声が聞こえたかわからないが、自分は伝えることにした。


「あと5分ほどで救急車が来ます。自分は水を汲んできます」


顔を上げた女性と目が合った。

「逃げるな」



その直後、俺は家まで全速力で走って帰った。

ヤギどらごんが正しかった。

俺の判断も正しいと思うことにした。


その日の21時に警察から電話があった。

そして次の日の全国ニュースとなった。


1つ溜息が出る。

俺はあの公園はもう通れない。




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