91話 ある島の少女とヤギどらごん?
よろしくお願いいたします。
ある海外のニュース。
それは、小さな島で島民同士の殺し合いが行われていたというもの。
生き残ったのは少女1人だけ。
少女が島から脱出して、それから島の状況が明らかになりました。
原因は熱帯化による植物の変化。その島でよく食べられる天然の木の実が、幻覚作用、殺人衝動をもたらしていたことが発覚しました。
少女はカメラに向かって言います。
「家族も友達も皆が目の前からいなくなりました」
「症状が出たあと、恐らく皆が一人きりで行動していたのだと思います。仲が良かった皆の死の瞬間は見なくて良かったです」
「はい、島のことは知っています」
「電子機器は使えませんでした」
「私は木の実を食べてから手足の痺れが5日間続きました」
「私は一人きりの状況がとても寂しくてぬいぐるみとずっと一緒に過ごしました。食欲もなかったのでぬいぐるみさんに食料を渡していました。すると日ごとにぬいぐるみが大きくなって、皆がいなくなって4日目の夜に私を背中に乗せて空を飛んで、海を越えてくれたのです」
「ぬいぐるみは日本の友人からプレゼントされたものなの」
「私をここまで連れてきてくれたあと、飛んで島まで戻ったのだと思います。はい、結果は知っています。それでも大きなぬいぐるみさんはまたどこかで誰かを救っていると私は信じています」
この少女の報道は大きく取り上げられ支援もたくさん集まったが、少女が島に戻るには長い時間がかかるそうだ。
☆☆☆
少女が木の実を食べても殺人衝動が出なかったのは、ぬいぐるみさんのおかげなのでしょうか。それは誰にもわかりませんでした。
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