88話 ハシバキルイコとヤギどらごん
よろしくお願いいたします。
24℃に保たれた室内。
心地良い冷気に微睡むように、ハシバキルイコはベッドの上で目を閉じる。
彼女は寝る前に決まって唱えるものがある。
物心ついた3歳から唱えているもの。
「神様、守護神様、ご先祖様、今日もお守りくださいましてありがとうございました。お父さん、お母さん、さっちゃん、ろうくん、お休みなさい」
家族が揃って寝ていた時からの古い習慣。
唱える内容については学生時代は転々としていた。
学生時代の終わりは
「神様、守護神様、ご先祖様、今日もお守りくださいましてありがとうございました。健康、部活、課題、書道、水泳ありがとうございました。お父さん、お母さん、さっちゃん、ろうくん、お休みなさい」であった。
今はハシバキルイコも社会に出て3年になる。
仕事も一人暮らしにも慣れてきた。
会社のことを考えて、心臓が苦しくなるときは、いつもヤギどらごんぬいぐるみを強く抱くことでうまく耐えていた。
これはほんの思いつき。
目を開けて、枕元のヤギどらごんを撫でてみる。
「神様、守護神様、ご先祖様、今日もお守りくださいましてありがとうございました。ヤギどらごんさんいつもありがとうございます。お父さん、お母さん、さっちゃん、ろうくん、お休みなさい」
父、母、姉、兄の安全を祈って、妖精に感謝をして彼女は眠りについた。
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ありがとうございました。




