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永遠の放浪者①


 放浪者ワンダラーを探し始めて3年が経った。標的は最後にして最も手掛かりの少ない人物であったのだ。髪は互いに大分伸びきってしまった。無論俺達は三年前から懸賞金が掛かっている。美容師におめおめと髪を切らせるという訳にもいかないわけで、互いが限界まで伸びたと感じたら、相手に切らせている。つまり基本は放置だ。髪のことはさておき、放浪者の所在はここ3年でダンジョンの中であるという所に帰着した。交易人トレーダーと比較して都合が良いと思えることは、恐らく放浪者もこちらの存在には気付いていないという事であった。凡そ放浪者は大陸のダンジョンを南東から反時計回りで北西へ転々としている。居を構えないその動きは正に放浪者そのものだ。


「ここだナナシ。痩せ細った少女の目撃情報が有ったダンジョン。」


「今度は当たると良いな。」


 俺は探索の担当ではないという建前が有る。心持ちは呑気そのものだ。


「当たれば戦いになる。君がこの三年で強くなっているのは直に見てきた。現にボクらは度重なる襲撃を受け、それらを跳ね除けてきた。しかし相手は{災厄の苗床}かつて君から二肢を奪った強者つわものだ。今度飛ぶのは首かも知れない……。」


 分かっているさ。


「……そうだな。終わり良ければ総て良しだ。ここで気を抜くなんてことはしない。」


 災厄の苗床は残り一つ。世界樹の木版は戸惑いながらも、その情報を刻み続けた。つまり放浪者ワンダラーは絶対的に生きていて。生き続けてしまえば、災厄はやがて芽を生やす。


「行こうエルノア。」


「あぁ。」


 俺たちは進み続けなければならない。例えその先に、どれほどの深淵が待っていたとしても。永遠の放浪者、最有力所在地{トライデント斜塔街領内『神々の迷宮エル・ザ・ダンジョン』}最下層は49層とも謳われるその大穴倉に、きっと奴はいる。



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