表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/53

19 (突入作戦2)

 パスっ…。

 赤木()が 狙撃で敵の頭を撃ち抜いて倒し、L96A1のボルトを引いて再装填…。

 ミハル警備のB部隊が倉庫の入り口を抑え、手を振って合図をする。

「命中…次、3.5時の方角、距離300…A部隊の援護をお願いします。」

「了解…」

 電子機器は 極力現場に持ち込みたくないので、ドラムのユイは 私の観測手になって貰っている。

 撃つ…命中…。

 外を歩いていたペイディの構成員が 頭を撃ち抜かれて倒れる。

「命中を確認…A部隊が死体の回収中…。

 次、特戦部隊の援護に行きます…えっ…」

 レッドである私を除いた それぞれの色の名前の隊員が、驚くほど 効率良く相手を排除して 死体を隠し…ポイントに進んでいる。

「流石…3年経っても腕は衰えていないようだな。

 次は?」

「ルート上の敵は これで全部です。

 それにしても…特戦と言うのは、良い腕の集団なのですね。

 トニー王国のドラム歩兵と良い勝負が出来るかもしれません。」

「良い勝負ね…」

 トニー王国軍には 2万人の軍人がおり、1日で120体生産が出来るドラムを20万体も保有している。

 そして その1体ですら、1km先の静止している敵の頭を撃ち抜ける選抜狙撃手(マークスマン)だ。

 ドラムの全部が 特殊部隊級…。

 しかも 運よく破壊出来た所で、その情報は 生存個体に共有されて経験値になる仕組みだ。

 特殊部隊級の人間が 一時的にドラムに勝てる可能性も まだ残されているが、トータルだと 絶対に勝てない…。

 全身義体であるグリーンと任務をしていると 本当に人間と言う種族のスペック限界を感じるし、彼が それを超えている事を痛感させられる。

 自分の能力に強い自信を持っている特戦メンバーに取って、成績不振によってメンタルをボロボロにさせられて 自殺してしまう事も珍しくはない。

 私は それを避ける為に、突撃より彼の援護が上手くなるしかなかった。

「そろそろ私も引退なのかな…。

 ユイ、無線解除、全体通信…「こちらレッド、全員が配置に付いた。

 指揮通信車(CCV)聞こえるか?」

『こちらCCVミハル…感度 良好…。

 各隊員の無線を受信…通信良好…異常無し…』

 ウ~~~。

「今、警報が鳴った…予想より早いな…敵が攻めて来るぞ。

 作戦は事前の通り、各自、報告を密に…作戦開始…」


 ナオ(オレ)達は、突入を開始して 廊下を走る。

 音に気付いて こちらを見ている敵6人に オレは、ウージーマシンピストルを即座に相手に向けて 撃ち込み、無力化…制圧…。

「狭いな」

 咄嗟(とっさ)に撃ったせいで 即死を取れず、うめき声を上げている敵兵士の頭にレーザーが当てられた所で、オレは横に回避して 後ろのグローリーがMP7で狙撃…敵兵が頭を撃ち抜かれて大人しくなる。

 オレは 壁に背を向けてドアノブを回すと パパッパパッと言う音と共にライフル弾がドアが貫通して蜂の巣状態になる…。

 普通に開けていたらヤバかった。

「制圧が難しいな…」

『任せて』

 ユキナが そう言うと、ガラスの割れる音と銃声が部屋の中で響く。

「バックアタックか…」

 建物の外に出て、窓側から こちらを向いている敵を撃ち抜いたのだろう。

『そう、アタシは窓から行く』

「了解…」

「こっちだ…撃て撃て撃てぇ!!」

 次の敵達が廊下に雪崩込み、AKを構える。

 狭い廊下内では 回避スペースが取れない…。

 となると、後退だな…。

 銃を向けている相手とは、銃撃戦をしない。

 グローリーは 制圧した近くの部屋に飛び込み、オレは銃を撃ちながら後ろ向き状態で下がる。

『こちらユキナ…敵の後ろを取る。

 5秒 陽動を頼む。』

「はいよ」

 曲がり角に隠れた オレは フラッシュバンのピンを引き抜いて廊下に投げ込む。 

「なあっ」

 強烈な光が敵を襲って目を封じ、敵は オレからの追撃を避ける為に闇雲に銃を掃射してオレ達を殺そうとする。

 弾幕のせいで こちらは撃ち返す事が出来ないが、敵の背後からユキナが 弾切れになった敵を狩って行く。

 フラッシュバンは、慣れていない人だと6秒は混乱すると言われている。

 これが正規の軍人なら1秒程度で復帰が出来る。

 元自衛隊所属の ユキナも フラッシュバンの被害を受けているかもしれないが、慣れと ヘルメットのミラーバイザーは、一定以上の光量は通さないし、減音もされているので、特に動きが止まる事も無い。

「クリア…次、行こう…」

「分かった」

 オレは ユキナと合流して奥に進む。


「こちらグローリー…外から敵さん…。

 ガバメントを装備、こちらは 相手の射程外から撃っています。」

 グローリー()は、MP7で相手の胴体を狙って 200m先の相手にしっかりと撃って行く…。

 敵の数が多いし、そろそろ 弾の弾道から こちらの射撃地点を特定されるだろう。

『援護は?』

「大丈夫…ユイ!」

『狙えます…。

 マスター側から左の1名が こちらから狙えません。』

「分かった…よし排除、殺傷を許可、残りを撃て…」

『了解しました…』

 ユイは的確に敵の頭を狙い、一発で倒れる。

 対して、赤木は 撃った後は 敵が苦痛の叫びを上げていて 次々と仲間を呼んで行く。

 腎臓への精密ショット…ここを撃たれると地獄の激痛を10分間体験して死ぬ事となる。

 仲間が助けに来れば また腎臓を撃ち抜き、次々と叫び声が増えて行く。

 これは ヘッドセットショットより、難易度が高い 撒き餌作戦だ。

 叫び声により、他の敵を恐怖させて兵舎に閉じこもらせ、敵の増援を断つ…。

 狙撃精度を突き詰めた 的当て競技のノリに近いユイより、戦術的に殺さない 効果的な方法を選んでいる。

 流石に ライフル競技で優勝するだけあって、スナイパーとしての能力は、ユイより上だろう。

「それにしても部隊が分断された…早く戻らないと…」

 そう言いつつ、僕は廊下に出てユキナ達を追うのだった。


 ナオト達の部隊が派手に戦闘をして行くれている事で、敵兵がナオトの方に向かい、均等に配置していた敵兵に数の偏りが生まれる。

 陽動の成功だ。

 ナオキ()は壁にお手製の爆薬であるC4を設置して信管を差し込み、素早く退避する。

 俺のF-2000の下部に取り付けられている単発の簡易ショットガンには スラッグ弾が装填出来るから この壁も簡単に抜けるんだが、跳弾で人質を巻き込んじまうのが怖い。

 信管作動…爆破!

 爆薬を使って壁に俺の上半身がギリギリ入る位の穴を開け、中には、カーテンを閉めた窓の近くにいる敵兵と、出入口のドアにAKを向けている敵兵の側面を付く事が出来た。

 パパッパパッ…。

 F-2000を腰でしっかりと構えた俺は セミオートで敵のコメカミを正確に撃ち抜き、ここから見える2人がダウン…。

 生き残りが 驚いて こちらの穴に銃を向けた所で、こっちは退避…。

 窓側から菊池(イエロー)蒼井(ブルー)が、ドア側から黒田(ブラック)桃山(ピンク)が同時に突入…。

 イエローとブルーが堅実なM4…ブラックとピンクは 薬莢受けを取り付けた試験段階の20式小銃だ。

 パパッパパッ…。

 機動隊なら逮捕するのだろうが、自衛隊は捕虜は取るが、逮捕は出来ない。

 そして、テロリストは捕虜になれない。

 人質を取った時点で 彼らの結末は もう決まっている。

 両面からの同時突入だと言うのに 誤射も無く、完璧な突入…。

 そして、確実な死…。

 次々と こちらに反応する暇も与えず、敵が倒れて行く。

「ひぇえええ…」

 毎年3万人の国民を自殺に追い込んでいるのに 裁かれない有能議員(大量殺人者)は、民間人の様な悲鳴を上げる。

「クリア…」

「迎えに来た…怪我人は?」

 ゆっくりとドアから入ってきた甚平姿の俺は 手足を縛られている人質に聞く。

「いいえ…」

「そっか…」

「クリア」「クリア…」

 ユキナとナオト…それから少し遅れてグローリーがやって来る。

「敵は?」

(無力化)した…この兵舎は制圧…今、出入り口をB部隊で固めて貰っている。」

 ユキナが言う。

「そっか…」

 俺達は 人質の身体をペタペタと触わり、服もめくる。

「何を…」

「爆弾やナイフなんかの危険物を持っていないか調べている。

 人質の中に テロリストがいて 突入部隊が皆殺しにされたり、後は身体に爆弾を取り付けて 俺らごと吹っ飛ばす可能性もある。」

「私が テロリスト達の仲間だと…。

 テロリストと話し合いもしないで、こんなに人を殺して…オマエ達の方がよっぽど テロリストだ。」

 彼は 反戦主義の平和主義者で、民衆を先導して自衛隊の軍備を低下させ、海外での自衛隊の活動に 一々 文句を入れたりと、自衛隊の防衛能力を低下させ、他国に侵略をされる事を望む ()()()だ。

 武器を捨てて 相手と交渉は出来ない…互いに武器を突きつけた状態じゃないと対話は成立しない。

「アンタらが 銃を持っていて、誘拐された時にテロリストを その場で射殺していれば、ここまでの犠牲者は 出なかった。」

「いやぁ触らないで変態…男に触れる位なら死んだほうがマシよ!!」

 向こうでは、男性嫌悪(フェミニスト)ユーチューバーのオバサン(女性)が、ボディチェックをしようとしている隊員に吠えている。

「あ゛~」

 オマエの身体で 興奮なんてするかっての!!

「私がやろう」

 この場で唯一の女性隊員であるユキナが言う。

「はぁ…ああ、頼む」

 どいつも こいつも、緊急時だってのに こっちが自分の意見が聞いてくれると思ってやがる。

「よし、問題無いな…」

 脚のロープをナイフで切り、人質を全員 立たせる。

 後ろで縛られている手は そのままだ。

「それじゃあ、皆、脱出だ…ナオキ」

「ああ…」

 救出部隊を運ぶ ナオト達は人質に近づいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ