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09 (生身か?サイボーグか?)

 ミハル警備、寮、談話室…。

 ナオ(オレ)が訓練が終えて 寮に戻ると、マトイがテレビを占領してアニメを見ている。

 画面に映っているのは、明らかに映像が古い巨大ロボットアニメだ。

「おーナオお帰りぃ…」

「ん?これ?ヴォルテックスか?」

 5体のロボットが合体して、雷エフェクトを纏っている刀で 角がある敵と戦っている。

「なんや知ってるんかぁ?」

「まぁ、じいさん所にビデオが合ったから…じいさんがロボットアニメが好きでね…。

 当時、ネットなんかが無かったから、ずっと見てた。

 それにしても、マトイは レトロアニメが好きなのか…」

「と言うか、ジャパニメーション全般やねぇ~。

 こっちの言葉はぁアニメで学んだかんなぁ」

「アニヲタでガンマニアか…」

「そ、アニメはぁ何でも教えてくれるぅ。

 特に これはぁ思い出深くてなぁ…」

「確かにストーリーは良いとは思うが、そんなにか?」

「フィリピンではぁヴォルテックスがぁ人気だからなぁ。

 陸軍の軍歌なんてぇ完璧にヴォルテックスやしぃ…。」

「は?軍歌?

 フィリピンって、一時的に 日本が占領しちまったから、反日だと思ってたんだが…」

「そりゃあ、昔はなぁ…。

 今は精々がぁ、じいさん世代…。

 まぁウチんじいさんはぁ日本軍でぇ連合軍にぃ殺られたぁらしんが…。」

 マトイが少し笑いながら言う。

「あ~そう言う事…それで?」

 オレは話を切り替える様に言う。

「ああ、ヴォルテックスかぁ…。

 これは 革命や暴力描写があって、残りの4話を残してぇマルコス大統領が放送禁止にしちまってなぁ…。

 後のぉエドゥサ革命の小さな切っ掛けになったんやぁ」

「アニメ1つでか…」

「そ、ウチは 99年の再放送組なんやけど、今のフィリピンだと日本語が喋れなくても、ヴォルテックスのオープニングを日本語でぇ歌えるヤツはぁ結構多い。」

「そんなに人気なのか…あの時は ガキだったから雑に見てたのかな…。」

 オレはソファーに座り、ヴォルテックスを見始めた。


「おっヴォルテックスか…懐かしいな…。」

 ミハルが いつもより少し遅れて帰って来た。

「ミハルも知っているのか…」

「まぁね…前にもマトイに見せられたから~。

 あっそうだナオ…高校は 決まったか?

 そろそろ行く所を決めて、受験勉強をしないと…」

「あ~この学校にした。

 ちょっと遠いが、通信制だしな…。

 原付で行ける」

 オレはタブレット端末をミハルに見せる。

「あ~ここか…ん?スマホの持ち込みOK?」

「そ、今の時代、スマホなんかのサポートを有効活用する為の能力も求められる。

 人間が苦手な暗記を機械に任せて、人間は機械の情報を適切に処理して、問題の解決を目指す…それぞれの長所を生かした良い考え方だなって…」

「なるほど…これは…定員割れ対策かな…。

 とは言え 面白い取り組みだな…」

「?」

「今の時代、少子化で学生が集まらないから 授業料を得られ無くて、潰れる学校が多い。

 それを解決するには バカでも合格させるしかない…それがFラン…。

 実際、合格した生徒の中には 小学2年で習う九九が出来なかったり、そもそも日本語のテストを読めなかったりするヤツもいたりする…。

 過去問を見る限り この学校は 中の上位の頭が必要になって来るからな…。

 そんな状況で 一定の品質の生徒を確保するとなれば、機械のサポートを受けるしかない。

 まぁ四六時中スマホを持ち歩いている事が一般になっている今の社会では、頭だけで問題を解く必要が無いって判断だな。」

「ん~それは 良い高校なのか?」

「良いと思うよ…発想自体はサイボーグと同じだしな…。

 ただ、それを社会が受け入れるかは また別。

 まだ 大半の学校からは カンニングって言われるだろうしね…。」

「ミハルは、如何(どう)思うんだ?

 これは カンニングなのか?」

「私からすれば、人は道具を使う事で ポテンシャル以上の能力を発揮 出来る動物だ。

 素手で動物には勝てないし、足も遅い…でも、銃や車を使えば、自分の性能を道具でカバー出来る…それが人…。

 だからスマホを使う事自体は問題ないって思ってる。

 でも『陸上競技で原付を持ち出すな』みたいに、世の中には 生身でやる事に価値がある場合もある。

 まぁそれでも私は、高性能な手足を付けてパラリンピックで金メダル取っちまった訳だけど…。

 で、ナオは如何(どう)思うんだ?」

「いずれ、人は ミハル見たいに機械と融合する時が来ると思う。

 生身の性能に固執するのも、それは それで問題だと思う。

 オレも、技術が進歩して安価に安全に全身義体になれるなら、身体を強化するだろうしな…」

「慣れちゃえば それまでだけど、高性能な身体ってのも問題なんだけどな…」

 ミハルはそう言うと、キッチンに行き夕食の準備を始めた。

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