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01 (間違った優等生)

 朝、ミハル警備、寮…ナオ(オレ)の私室…。

 ピピピピピ

「ふああ…起きた。」

 目覚ましで起きたオレは、新しいジャージに着替えて、髪をまとめ、プラークチェッカーを使って歯を赤く染め、念入りに歯を磨いて行く。

 部屋を出た頃には、掃除機をかけて廊下を掃除するユキナの姿があり、その音を聞いたマトイとグローリーが部屋から出て来る。

 リビングにいるのは、ここの寮長で このミハル警備…いや、他にもある色々な子会社を束ねた ミハル カンパニーの社長…ミハルが朝食を作っている。

「おはよ…」

「おはよう…ふああ…」

「ミハル…得濃茶」

「はいはい…」

 目玉焼きにウインナー、サラダに味噌汁に ご飯と、いつもの朝食…。

 そして、いつものユキナの山もりの食事…。

 得濃茶を すするマトイ…。

 先日の冬月組との共同作戦のカチコミ案件がやっと終わり、また いつもの日常が始まった。

「さて、今日の予定は…。

 ナオは 午前は 私と勉強…午後はトレーニングルーム。

 ユキナは、免許で、グローリーは?」

「マトイがカスタムした競技用ライフルの試射…。

 午後は、トレーニング。」

「マトイは?」

「ウチは 大会が近いーから、選手の銃の調整ぇ。

 後ぅ、午後に 私服姿の自衛官や警察が来るから、ナオは警戒しない様になぁ…」

「分かった。」

「それじゃあ、今日も頑張って行こう」

「「お~」」

「それじゃあ、走りに行くか…」

「ああ…」

 オレとユキナ、グローリーは いつも通り 朝のランニングに行く準備を始めた。


 午前…談話室…。

「うーん…何でテスト?」

 ミハル()にナオが聞く。

「オマエ、中学で やらかして、高校受験が吹っ飛んだ だろう。

 1年遅れで 来年の春に通信制の高校に入学させる。」

 前科持ちなどの社会のクズを多く雇っているこの会社は、元犯罪者を表社会復帰させる事も 国から受けている 立派な仕事だ。

「もう就職しているんだから、学歴は いらないだろう。」

「いや…この仕事は一種のギャンブルだ。

 仕事中に死んじまったら、今まで稼いで来た金額が使えなくなっちまうから、老化が始まって 身体が思う様に動かなくなってきたら、稼いだ金を元手に転職する それが この会社の正しい利用の仕方。

 ここに残り続けても良いけど、少なくとも転職をする前提で 今の内に進めとかないとな…。

 今時、中卒での転職なんて まず採用されないから、高卒は必須。

 可能なら大学の卒業資格は欲しいかな。」

 学費自体は ナオの養父であるナオキが出してくれるから 多分、問題ないだろう。

「大学か…いくら掛かるんだか…。」

「世の中には 奨学金(借金)無しで無料で…いや、金もくれる大学もあるんだぞ。」

「防衛大だな…」

「そう、そこなら 私から実務経験アリの推薦状を書けるしな。

 で、そこに何年かいれば、幹部自衛官として、指揮官になる。

 そうなれば、命に係わる仕事は下の階級のヤツに任せて、安全な後方から部下に命令をして 現場の倍の金額を貰える。

 ナオキも防衛大出身だしな。」

「その方向で進めて行く事になるのか…」

「まぁ…それが今の所、ナオが取れる道の最適解…。

 幹部自衛官なら嫁も見つけやすいし、子供が生まれても十分に養える。」

「その嫁が金目当てのクソ女だったとしてもか…」

「まぁ…選べる幅は 増えるだろうからな。

 と言う訳で、まずは学力テスト…そこから頑張って行こう。」

「分かった。」


 数時間後…。

「さてと…テストの出来は…」

 国語…日本語の問題をいくつか間違え、逆に中国語は得意。

 まぁ今の日本は、中国語が半分 公用語になっているからな。

 今の子供には 日本語を話せない日本人も出て来ているから、それに比べれば まだ優秀…。

 ただ、日本語の漢字じゃなく、中国語の簡体字が混ざっているな…そこは修正だな。

 続いて英語も優秀…。

 なんかプログラムの構文の様な書き方になっている所もあるし、直訳じゃなく意訳になっていたりしているが、ちゃんと基本を押さえている。

 後、最低限 覚えた単語を柔軟に組み合わせて 文を作っているな。

 これは アメリカ軍がベトナム戦争時に 外国人部隊と最低限の英語での意思疎通をする為に編みだされた『必須200単語』だな。

 細かいニュアンスを伝えるのは難しいだろうが、TOEICスコア200位の会話は出来るだろう。

 海外に行っても十分に活躍 出来る様に、英会話も やらせてみるか…。

 次、数学…。

 これは 文句なしの全問正解…。

 やっぱり、アスペルガーは 答えがしっかりしている問題が得意なんだろうな…。

 続いて、理科…。

 細かい間違えがある物の 元素記号を完璧に習得しており、分子構造に美的センスを感じている。

 と言う事は 化学式と構成式さえ分かれば、薬品や現場で爆弾を調合する事も出来るだろうな…。

 最後に社会…。

 歴史と経済に分かれるのだが、ここは壊滅…。

 原因は 正解を書いているからだ。

 歴史も経済も、アメリカ、中国、韓国の思想が多分に含まれた 教科書通りの間違った答えを書かないと正解にならないと言うのに、真面目に正しい答えを書いている。

 ここは割り切らせて、覚えさせるしかないか…。

「普通に優秀だな」

 中学の成績が 中の上だった事もあり、公立高校なら大体は行けるだろう。

「そんな優等生がアレだけの事をやらかすって事は、相当に溜まっていたって事だよな。

 まぁ企業側からしたら扱いづらい 人材だと言う事は 変わらないんだろうが…。」

 そんな事を私が言いつつ、ナオの今後のカリキュラムについて考え始めた。

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