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18 (守れない急所)

 1階 近接戦闘(CQB) 訓練所…。

 パパパ…パパパ…。

 ナオ(オレ)のウージーマシンピストルから6mmBB弾が放たれ、組員の鼻に当たる。

「あたっ」

「ハイ死亡…退避(たいひ)して…。

 はい そこ、死体は銃を持って行かないよ…置いてって、次。」

 射殺された組員は、キャスター付きのベニヤ板を押して外に出て壁を閉める。

 何部屋も壁を取っぱらった大部屋の中に 大量のベニヤ板の壁が並んでいて、疑似的な室内を作っている。

 天井には ベニヤ板が無く、見張り台から部屋の中を観察出来る様になっている。

 組員は 両手でガバメントをしっかりと構えた 基本撃ちの為、被弾面積は大きくて当たり易いが、横に並んで面制圧をする事で命中率の低さをカバーしている…。

 流石(さすが)にオレも回避するスペースが無ければ避けられない。

 しかも、リロードタイミングを狙おうにも 別の組員が間を埋める様に撃ってくる。

 組員の素人の様なリロードの遅さも、別の組員がカバーする事で対応している。

 確かに この息のあった連係(れんけい)だと やりづらいが、そもそも正面に出たら負けだ。

 大量の人数で 攻められている敵役のオレに出来る事は 徹底的にその高度な連係(れんけい)を崩す事に集中する事だ。

 日本のドアは左で固定されている外開き方式なので、部屋に組員が入って来る場合、まずは左前が目に入り、右の壁に隠れている場合、反応が1テンポ遅れる…その隙に相手の側面から鼻の後ろを狙って撃つ。

 その次は ソファーや棚などの家具を倒して足場を悪くさせ、足を止めた隙に横から撃ち込む。

 基本的に相手の正面からの戦闘は避けて、相手の銃口が見える位置にいない事が鉄則だ。

 そして 狙う場所は 鼻の後ろで首の上辺りの脳幹(のうかん)部分を狙う。

 脳幹(のうかん)は 呼吸、心拍、消化、体温調節などの生命維持に かかわる重要器官で、そこを破壊されると敵は神経伝達を遮断(しゃだん)されて 身体が ストンと落ちる…。

 しかも、頭はヘルメット、胴体には 防弾チョッキを着ていても、鼻 当たりには 装甲が無いので、弾が当たれば 即死を取り易い。

 それは 機動隊との戦闘で実証済み…。

 パパパ…。

「あ痛た…。」

 弾が組員の股間部分にヒット…これは もう1つの弱点だ。

 男の股間は 勃たせる為に動脈が集中しており、更に神経も集中してる。

 ここを撃ち抜いた場合、激痛と大量出血と銃を落とす事が期待 出来る…そして、ここも また装甲が無い部分だ。

 実践(じっせん)した事は無いが、多分 女にも有効だろう。

「あ~240発…とうとう撃ちきったか…。」

 今の所 40キル…平均6発で1人仕留めている計算になるか?

 周囲のガバメントは、オレが 弾を使い終わったら壁の外に送っているが、8発しか入らない都合上、もう 撃ちきっている事が多い。

 そろそろ撃たれるだろうな…。

「後、10キルは出来るかな~」

 弾が無ければ 殴れば良いじゃない…。

 そんな考えの元、組員に接近して手首を(つか)んで外側にひねる…。

 そうすると銃が上を向く、ヒジの裏をチョップすれば、自然と腕が曲がり、銃が自動的に(あご)の下まで持って行ってくれる…パパッ。

 この時、相手の斜め横から入るのが基本だ。

 銃を正面に向けられた場合は 手首を(つか)んで上に上げ、背中を相手の腹に潜りこませて、手首を下に向けさせる…。

 その後、手首に力を思いっきり入れれば 手が開き、組員が(つか)んでいる銃を床に落とせる。

 片手撃ちの相手に対しては 手で内側から上に上げる、外側から叩き落とす形で 下に下げる方法で対処 可能だ。

 敵が複数いるなら、敵を盾にする形で 敵の射線を封じる。

 だが、それも もう50キルまでで、最後は オレの体力と男の体格さによる力業で 体術の動きが止まり、組員ごと撃たれた。

Hit(ヒット)~。

 まぁ味方ごと撃つのが 一番死傷者が 出なかったりするからな…。」


「何なんです…あの子…。」

「これで機動隊を手玉に取ったのか…。」

「本当に殺しのプロっているんだな~オレ 射撃に自信があったんだけど…。」

 鼻と股間を重点的に狙われた組員達が床に座りながら それぞれの感想を言う。

「は~い皆さん、お疲れ…。」

 天井付近から ベニヤ板の部屋の中 全体を見渡せる 見張り台の上に乗っているミハルが言う。

「何だ見ていたのか…。」

 マズイな…室内だけを警戒して上には 気を配っていなかった。

 いつ ミハルが ハシゴを上ったのか記憶に無い。

 ミハルが銃を持っていたらヤバかった。

「さてと…そのままで良いから聞いてくれ…。

 冬月組のキミ達は 1ヵ月後の戦闘まで 私達の会社に貸し出して貰う事になった。

 六花との契約は 既に成立、前金をさっき受け取った。

 これから1ヵ月間…我々と一緒に訓練に参加して貰う。

 家は 社内寮を使って貰い、朝と晩の2食を付ける。

 何か不足があれば行ってくれ、全部 経費で落とす。

 以上、何か質問は?……無いな…それじゃあ、部屋の割り当てをするから集合してくれ」

 ミハルがそう言うと 組員達は まるで 貸し出しが 想定されていたかの様に、立ち上がって、降りて来た ミハルの所に集まって綺麗に整列をした。

「それじゃあ…行くと」

 ミハルが手を上げ、ミハルと組員は寮に向かって行った。 

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