11 (機械の戦友)
午後…。
「よっ車の修理に来たのか?」
ミハルの指示に従って倉庫に行くと、グローリーと装甲が 穴だらけのドラムがいる。
「起きていたのか…てか非番だろう。」
「まっ、やる事無いし…それにコイツを直してやらないとだな…。」
装甲に付いているボルトを工具で外して行き、穴だらけの装甲を外して行く…。
「ん?ニック…じゃないよな…コイツがユイか?」
「ええ…そうです。
いや~脱がされる~へんたい~。(≧▽≦)」
ユイが装甲を外され、棒読みで言う…ディスプレイに表示されている顔文字は何だか楽しそうだ。
「オマエの裸に欲情する人間はいねぇよ…。」
「ヽ(TДT)ノ ナゼダァ」
グローリーの言葉にユイが更にボケる。
「ふふふ…やけに 表情?豊かなヤツだな…。
新人のナオです…よろしくお願いします先輩。」
相手はドラムとは言え、同じチームの戦友になるヒト?だ。
オレは握手を求める。
「先輩ですかぁ(≧□≦)ノシ ヨロシク!!」
ユイは少し照れたような感じで、オレの手を握る。
「よし…外れた…。
本体フレームは 抜かれてないよな…。」
グローリーが内部の装甲を触って傷が入っていないか調べる。
「はい~私、傷物になって いないみたいです~(≧□≦)ノ」
「それ、言い方間違っているから…。
ナオ…新しい装甲。」
「あ~これね…うっ重っ」
重さにして おおよそ10㎏…。
材質は ケブラーをメインとした複合装甲…。
それを前と後ろに取り付けて 合計20㎏だ。
「よく、こんな重い装甲を付けて動けるな…。」
「軍人が持てる積載量が30~40㎏程度だったか。
そこから 装備に掛かる重量を引いて行って 防弾チョッキに割り当てる重量を計算すると2㎏位で、これ以上になると行動に支障が出てくる。
なんで 単純にプレートを厚くして 防御能力を上げる事が出来ない訳なんだが、ドラムなら積載量が100㎏を軽く超えてるから、分厚くて重い装甲でも装着 出来る。
ちなみに、実戦では 10㎏の防弾盾とP-90にサブマガジンや重い荷物を持たせるから50㎏は行くな…。」
「盾役か…もうドラムに任せておけば良いんじゃないか?
その方が安全だろう。」
ドラムは単体で特殊部隊 隊員に完封するだけの能力を持っている。
しかも、その特殊部隊級のドラムが トニー王国の陸戦部隊には 20万機もいて、1日に教育済みのドラムが 120機は 生産出来てしまい、更に厄介な事に苦労して撃墜したとしても、撃墜要因を解析して全個体にアップデートし続ける機能まである。
この為、最低でも製造に15年の時間が掛かり、経験値の引継ぎが難しい人間では、長期的には確実な敗北が待っている。
そこにいるドラムも その中の1体と言ったと事か…。
「まっ殺しなら、もうドラムが一強だからな…。
ただ、コイツは オレが組み立てたヤツで、トニー王国のデータは受け継いでない。
頭が空っぽの状態からオレが色々と教えて行った。」
「て ことは、コイツは まだ化け物じゃないと。」
「そっ…あ~いや、最近 人を超え初めて来たけど、コイツは オレの指示を聞くように出来ている。
ちゃんと制御は 出来ているよ…。」
「そっか…ポジションは?」
「盾役と荷物持ち、後は狙撃手の排除かな~。
射撃管制システムがあるから、P-90で600mまで対応出来る。」
「ほう、600…」
P-90の有効射程は200m程度だ。
それを3倍まで伸ばす何て 普通なら出来ない。
「そう言えば なんでP-90?使いにくいってのに…。」
「何か知らないけど P-90だとドラムと相性が良いんだよな…。
マトイは弾が5.7mmだからって言ってたけど」
「分かった。
そんじゃあ…ミハルが待ってるし 仕事に行くよ…。」
「おう…またな。」




