猫かと思ったらソビエトだった。
2022年4月28日、日本はゴールデンウィークに入ろうかという日。
道端で猫を見た。
真っ赤な猫だ。
僕はファミチキを買って帰る途中だったので、そのファミチキを一口分ちぎって猫を呼んだ。
「ほれほれ、ファミチキだぞ?」
猫は振り返るとファミチキの匂いを嗅いだ。僕はそれを道路に放り投げ、猫はそれを食べた。
「うまいかー?」
「スパシーバ!」
猫は奇妙な鳴き声を立ててゴロゴロ言い出した。
「スパシーバ? ロシア語だよな確か……」
僕は猫の喉を撫でながら観察した。
血よりも赤い毛並み、そしてその額には傷があった。
ハンマーと鎌。
そう伝説のシックル&ハンマー。
「お、お前はまさか!」
「粛清にゃー」
猫かと思われたそれは、伝説のソビエトだった。