表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/140

いざ! 伊豆修善寺ダンジョンへ!

 1日置いて、私達は渋谷ダンジョン61層ユグドラシルの塔の前に集合した。塔の外はモンスターの気配は無く、待ち合わせに適した場所でもある。


 私は集合時間1時間前に着て変身を済ませようとしたけど、既にJDSTのメンバー達は到着しており、ダンジョンゲートから現れた私と目が合う。


「十条さん。変身してから来た方がよかったのでは?」

「変身する場所がないので……」


 油目さんが困ったよう顔をしている。そんな事言っても自分の部屋で変身するにしても目立つのでできない。仕方ないので電車に乗って渋谷ダンジョンに行ってから変身しているのだ。


「恥ずかしいので、あまりジロジロ見ないで欲しいです……」

「あ、すみません!」


 油目さんは慌てて荷物を纏め始める。チラチラと視線を感じるけど、他の人達も来るので早く変身は済ませておきたい。


「らんらんらぶはーと♡まじかる☆ドレスアップ!!」


 キラキラした虹色の粒子が辺り一面に溢れ出し、私の周りが星とハートで埋め尽くされていく。着ていた服が消え、POPな効果音と共に身体にジャストフィットする可愛らしいデザインの魔法少女風衣装が次々と装着されていく。


「まじかる☆が〜る♡ ストロベリーほのりん☆彡」 


「「…………」」


 ジロジロ見ないでと言ったのに、派手な演出とアピールで嫌でも視線が集まる。気恥ずかしくなり、体温が上昇するのが分かる。


 う〜。やっぱり人前で変身するのは馴れないな〜……。


 魔法少女の設定を考えた人は、どうしてこんな変身シーンを考えたのだろうか。アニメを見てる分には気にしてはいなかったけど、いざ自分が変身してみると、恥ずかしくて恥ずかしくて変身するのが辛い。ルル様的には羞恥エネルギーが貯まるから問題無いらしいが……。


 気づかなふりをしているJDST達も微妙な空気が流れているが、彼らも私が変身しているところを見るのは2度目だ。今後も当たり触らずな距離でいて欲しい。


「お待たせしました」


 奈々子ちゃんがダンジョンゲートから出てくると、続々と他のメンバー達が集まり、ものの数分で全員が揃った。


 ルル様もどこからともなく現れ、みんなの点呼を取り終わると、ルル様が私に向って目で合図をする。


「伊豆修善寺ダンジョン1層行き。ダンジョンゲートを開きます〜。まじかる☆ゲートオープン」


 ダンジョンゲートが開いた。修善寺ダンジョン直通片道1秒なのでとっても楽ちんだ。


「さぁ、どうぞお入り下さい〜」


 ひとりひとりダンジョンゲートに触れ、ゆっくりと入っていく。


 何でみんな恐る恐るダンジョンゲートに入るのかな? 何度も使っているのに、信用無いのかな。まぁ、いきなり伊豆の修善寺ダンジョンだよと言われても信じられないかもね。


 ダンジョンゲートに触れれば、行き先がウィンドウに表示されるので間違っても別のところには飛ばない。あくまで私が指定した場所へと行けるのだ。


 ルル様が入るのを確認し、最後に私がダンジョンゲートに入ると、久し振りの空間に出た。


「ここが伊豆修善寺ダンジョン? 随分と殺風景っすね」


 末留さんが緊張感の欠片もない事を言う。言いたい事は分かる。確かにここは何もない正方形の部屋で、正面にはボス部屋と背後には帰還用のダンジョンゲートしかない。雑魚モンスターも現れなければ宝箱も何も出てこないエリアなのだ。


 ルル様がボス部屋の前に立つ。


「今一度簡単に説明しよう。伊豆修善寺ダンジョンは全6層のダンジョンで、ボスしか現れない。そのボスを倒せば次に進める仕組だ。6層のボスはソロで撃破しないと金のメダルは手に入らないから注意するように。質問は?」


 メアリーさんが挙手する。


「5層まではパーティーで行っていいの?」

「構わん。6層にチャレンジする際は必ずひとりでダンジョンゲートに入るように」

「わかったわ。ありがとう」


 その後は特に質問が無いようなので、誰か先に行くか決める事になった。


「まず俺が先に行こう」


 マイクさんが我先にとボス部屋の前に立つ。

 特に誰も文句は言わないので決まりだろ。


 危険なボスがいるので念の為注意を促すことにする。


「無理しないで下さいね。危険だと判断したら、部屋から出てダンジョンゲートで地上に戻って下さい」

「分かった」

 

 本当に分かったのだろうか? 毒を操るヤバいモンスターもいるんだけど……。


 ボスに挑む順番が決まりマイクさんが入っていく。1戦目は、ゴブリンチャンピオンだ。マイクさんなら楽勝だろう。


 私はルル様と1度のダンジョンの外へ出る事にした。


 修善寺梅林は観光客はいない。表の修善寺には入る事はできるが、梅林はダンジョンゲートが現れてからは調査の為に閉鎖されているのだ。


 ひぃ〜、暑いな〜。ダンジョンの方が涼しいじゃん。


 日陰に隠れる為に、ダンジョンの近くに併設されている仮設テントに入った。中は涼しくはないけど大きい扇風機もあり、外にいるより幾分ましだった。


「私達は外で待っててよかったの?」


 ルル様に聞いてみる。何となく予想はしているけど念の為。


「ほのりんは既にクリア済みだし、他の連中もいざという時に助けに入れる。我らが手を貸しても良いが、皆プライドが高い。とりあえずやらせて様子を見た方が良いだろう」


 私はルル様の話しを聞きつつ、アイテムボックスから二本満足バナナ味を取り出し、一本をルル様にあげる。ルル様は美味しそうに咀嚼し始めた。


「いざと言う時、私もダンジョンの中にいた方がいいんじゃないの?」

「心配無用。我の力が更に強まり、ダンジョンの様子が分かるようになったぞ」

「へ〜、凄いじゃん。マイクさんトップバッターだけど、今どの辺?」

「6層のボス部屋の前だな」

「は?」


 私の聞き間違えだろうか? 今、ルル様は6層のボス部屋前と言ったように聞こえたけど……。


「ルル様、今なんと?」

「ほのりんの王子様は6層のボス部屋前だと言った」


 えー! 6層のボス部屋とか早すぎない? ダンジョンに入って10分くらいだよ? 宝箱回収せずにボスだけ瞬殺してる? と、言うよりルル様がサラッと言った言葉が気になる。


「6層のボス部屋まで行けたのは凄いけど、ルル様、王子様って誰よ」

「ん? マイクのことだ。あの男と繁殖行為をしたいのだろ?」

「ぶっ! ゴホッゴホッ……繁殖行為って……」


 もっと別の言い方あるじゃん。動物じゃあるまいし……いや、ルル様から見たら私達も動物か。いやいやいや、そんな事より! 色々誤解を生む発言だから訂正しないと!


「あのね、ルル様。私はマイクさんの事を素敵だなって思うけど、恋愛対象じゃないのよ? ハンター界隈では有名人だし、空の上の人なの。私なんかが釣り合うはずないじゃない」

「なら本人同士、想いをぶつけてみないとな」

「え?」


 ルル様の視線が私ではなく、私の後方を見ている気がする。何か嫌な予感がし、ゆっくりと振り向くと、仮設テントの入り口に、長髪の美しいホワイトブロンドの人が立っていた。とても30歳とは思えない美貌だ。むしろ、大人の色気のある男性だ。


「……お、お早いご帰還で」


 どこから話しを聞いていたのだろう? 胸の鼓動が怪しい動きをしていて苦しい。


「……私は、マジカルガール……いや、ホノカに興味があるな。勿論女性としてだ」

「ほーれ、実は相思相愛ってやつではないか、良かったな」

「ちょっ! ルル様! 茶化さないで! ……あはは、マイクさん……私、こんなちんちくりんだし、取り柄も無いですしマイクさんとは住む世界が違い過ぎますよ〜」


 私の話を聞いても表情変えず、そっと隣に座る。そして、私の手にマイクさんの手が優しく添えられる。


 もう何なの……どうしたら良いの?


「あの……マイクさん?」


 ゆっくりとマイクさんの顔が近づいてくる。


 あっ、このままじゃ、取り返しのつかない事に――。


「ヘイ、マイク! ここのダンジョン余裕だったな!」


 唇が触れようとした瞬間、仮設テントの入り口から元気な声でケルビンさんが入って来た。


 私はびっくりして、思わずマイクさんから顔を背ける。


「おお?? 何だ取り込み中だったか?」

「……おいケルビン外に出ろ」

「なんだ? ダンジョン2週目行くか?」


 マイクさんとケルビンさんは仮設テントから出て行くと、テントの中はやっと静かになる。しかし、私の耳の中は緊張と恥ずかしさのあまりか、音がこもって聞こえる。


「その調子なら次のナヴァラトナも近いな」

「ルル様は私をからかって楽しい?」

「楽しいか楽しくないかと言われると、楽しいな」

「もう!」


 ルル様に怒りをぶつけても涼しい顔をしている。このモヤモヤをどうしたらいいのか分からない。後で私も修善寺ダンジョンに入ってモンスターを倒して発散してこよう。




 

マイクさんと穂華の距離感、そして今後の展開が気になりますね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ