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炎に包まれて

「熱っついなーもー!」


 火の粉舞う火山の頂上で、私はフェニックスとタイマンを張っていていた。タイマンと言う名の時間稼ぎだけど、フェニックスの攻撃方法は大体把握した。まだ奥の手を隠し持っていいなければ、確実に倒せると思う。


 飛行スキルを上手く使い、フェニックスの攻撃を避けているが、フェニックスの速度の方が早く、まじかる☆シールドでガードしなければダメージを相殺する事は不可能だった。


 飛行スキルと高速移動スキルの組み合わせを使えれば楽に戦えたかも? だけど、現段階では使い物にならない。何故なら早すぎて空中での姿勢制御が難しくて扱えなかったからだ。ルル様曰く、空中で自在に動けるスキルがあるらしいが、生憎そんなスキルクリスタルは手に入っていない。運良く飛行系モンスターから手に入れば御の字なのだが……。


「まじかる☆グリッターネイル!」


 時折、目くらましを使うが、フェニックスには効果が薄いのか、私を執拗に追い掛けてくる。ヘイト管理には役に立っているので、効果が薄くても何度も発動しておく。


「下の連中が動き出したぞ」


 背中にしがみつくルル様の声が聞こえ、火山の山頂の広場に視線を向けると、みんなが配置についているのが確認出来た。


「よし、急降下するよ! しっかり掴まって!」

「うむ!」


 ルル様が私の背中にしがみつき、一気に急降下して火山山頂の広場まで飛んでいくと、私が逃げたと思ったのか、フェニックスは敵愾心むき出しで私を追ってくる。


 よしよし、このままついてこい〜!


 地面スレスレに飛行し仲間達の間をすり抜けて行く。


「キエエエエエ!!!」


 待てえええ! と、フェニックスが言っている気がするが、人型のモンスターなら多少何を喋っているか分かるけど、鳥モンスターは残念ながら理解できない。モンスター言語のスキルがあるらしいけど、何の役に立つのだろうか?


 閑話休題。


 私が仲間達をすり抜けた後、それを追うようにフェニックスがやって来る。


「今だ! かかれ!」


 中村さんの号令と共に一気にフェニックスに対して総攻撃を仕掛ける。


「【三之太刀・月光】!」

「セイッ! 【ドラゴンスティンガー】!!」

「くらえ! 【雷鼓】!」


 マイクさん、園田さん、周防院さんの3人がフェニックスの正面と側面から強力なスキルを浴びせる。


「ギエエエ……」


 私にばっかり構っているせいか、他のハンター達の警戒が疎かになっており、フェニックスはあっさりと灰燼に帰す。


「ほのりん!」


 誰かが私の名前を叫ぶ。


 咄嗟に反転し、灰の中から魔石を探しだすが……。


「ぶっ! 灰が舞って視界が悪い!」

「ほのりん! 時間切れだ!」


 視界が真っ赤に染まる。


「ぬわーーー!!!」 

「あっ、ルル様! まじかる☆シールド!!」


 炎に包まれると次に衝撃が伝わる。背後に掴まっていたルル様は炎に包まれてしまった。

 私は自身を守るより、ルル様を包み込むようにまじかる☆シールドを展開し、爆風に身を委ねるように吹き飛ばされる。


『まじかる☆ドレスの耐久値が49%になりました』


「っ痛〜。ルル様大丈夫?」


 上手く着地し、ルル様を抱きかかえる。真っ白い毛並みは黒く焦げ、凛々しかった顔つきは嘘のように弱々しくなっていた。


「……我の毛並みが……」


 自分の怪我より毛並みの心配かい! 心配して損したじゃん! ……まぁ、私がフェニックスの魔石を取れば怪我をする事も無かったし、私の責任でもあるよね。次こそは成功しないと。


 爆発の直撃はまじかる☆ドレスの耐久値を大きく削り、次失敗したら最悪、変身が解け死ぬ可能性が出てきた。


「次がラストチャンスになるやもしれんな」


 ルル様も同じ考えだね。次こそは決着をつけるよ!


 フェニックスは警戒したのか、私達の上を旋回しながら様子を伺っている。再度、地面に引きずり下ろすのは難しいかもしれない。


「周防院よ、一瞬でも良いから奴を痺れさせれるか?」


 ルル様が周防院さんに何やら聞いている。フェニックスを引きずり落とす作戦でもあるのだろうか?


「そうですね、【雷鼓】や【雷撃】を撃ち込めば、一瞬ですが動きを止められそうですよ。ただ、射程が短いので近づく必要があります」

「分かった。恐らく次がラストチャンスになるゆえ、お主の力を借りたい」

「任せて下さい!」


 周防院さんが力強く頷く。


「もう一度作戦通りに行う。奴を地面に引きずり下ろす。周防院はほのりんのと共に、フェニックスを地面に落とす役割に変更、他のハンター達は総出でフェニックスを倒し、速やかに離脱せよ。作戦の成功の鍵はお前達に掛かっている。心して挑むのだ」


「「了解!!」」


 ルル様の激励にみんなの思いがひとつになる。

 マイクさんは返事をせずに黙って聞いていたけど、特に文句は無いようで直ぐにフェニックスを見据える。


「ほのりんさん、本当にやるんですか?」


 周防院さんの言いたいことは良く分かる。私も最初は怖くて仕方がなかった。でも慣らす時間も無いし何より確実に倒すには連携が足りない。ぶっつけ本番なのだ。


「大丈夫。私に掴まって飛ぶだけだし、周防院さんはスキルを当てたら逃げるだけの簡単なお仕事だよ」

「それが難しいのですが……」


 周防院さんはルル様の「お主の力を借りたい」の一言に清く了承したが、作戦を聞いた瞬間に顔を青くしていた。本人曰く、高所恐怖症なのだそうだ。ダンジョンで洞窟に籠もっていた方が心休まるらしいが、残念な事にダンジョンのメジャーアップデート後に洞窟系のダンジョンは減少し、様々な環境がダンジョンに現れたのだ。そして今回、運悪く私と空を共にするメンバーに立候補してしまったのが周防院さんなのだ。


「さぁ、フェニックスが待ってるよ~。まじかる☆エンジェルハンド【飛行】付与」


『まじかる☆エンジェルハンド発動。【飛行】を周防院 すおういんめぐみに付与成功』


「はわわわ……と、飛んでる!」

「上手く飛べるコツは行きたい方向へ念じながら身体を向けるといいよ。まぁ、フェニックスの動きを止めるまでは私に掴まっててね」

「わ、分かりました……」


 今にも吐きそうな周防院さんを連れ、徐々に上昇し速度を上げていく。


「ひいいい」

「周防院。漢を見せろ!」

「私、か弱い乙女ですー!」


 ネットでは雷神姫らいじんきと呼ばれているのは内緒にしておこう。


フェニックスが私達の存在を確認すると火球を放ちながら迫ってくる。


「うわわわわ! 来てますよ!!」

「ちょ、暴れないで!!」


 真横スレスレで火球が飛んでいくと、火球が発する高温で肌をジリジリと焦がしていく。


 数発、火球を回避し、孤を描くようにフェニックスに対して飛行し、真上を取る。


「周防院さん!」

「ははははい!! 【雷撃】!!」


 バチンっと雷が落ちる音が聞こえると、フェニックスから白い煙が立ち上り、白目を向き動きが止まる。


「ありがとうございます! 周防院さん!」


 周防院さんは私から離れると同時に【怪力】で強化したオタマトーンを胴体に打ち込む。


「ビェェ!!」


 フェニックスは真っ逆さまに山頂に激突し、動きが止まる。


「今だ!!」

「舞え! 【ダンシングエッジ】!!」

「はあん♡ 【アルバトロス殺法】♡」

「お、俺も! 【チャージストライク】!!」


 ケルビンさんが叫ぶと、菜々子ちゃんと萬田さん、更には末留さんのスキルが炸裂する。

 

 無数の刃がフェニックスの炎の体を裂き、萬田さんの謎の技がフェニックスの頭部を破壊し、末留さんの一撃がフェニックスに打ち込まれると、硬い溶岩で出来た地面に巨大なクレーターを作る。

 

 フェニックスの胴体に私は着地すると、灰になっていくフェニックスを眺める。


「そこだフェニックスの胸の辺りだ」

「うん」


 灰化がゆっくり進む中、私は灰の中に手を入れる。フェニックスの胸の中、人間で言うと心臓がある場所だ。

 硬い物を掴み掬い上げると、真っ赤な魔石が現れた。


「ん?」

「まずい! 何かが起きるぞ!」


 え? 何かが起きるって何よ? って、うわっ!!!


 魔石が燃え上がり私を包み込むこむ。咄嗟にルル様を振り解き、私から離れさせると燃え盛る炎の向こうからルル様の声が聞こえる。だけど、何を言っているか頭に入って来ない。今、身体が焼ける苦痛でそれどころでは無かった。


「あああああああああ!!!!」


 熱い! 死ぬ! 誰か助けて!!!


『まじかる☆ドレスの耐久値が48%……47%……46%……45%……』


 熱くて目も開けられない。


 息もできない。


 いつぞやのリッチに火炎魔法の直撃を受けて以来の苦痛だ。あの時も目も開けられないし、息もできなかった。だけど、今回は逃げる事はできない。手に持っているフェニックスの魔石をオタマトーンに食べさせる必要があるのだ。


 ぐっ……身体が動かない……。このままでは死ぬ……。


『魔法少女は諦めない が発動しました。全ステータスが向上しました』


 脳裏に死が浮かび上がってくる。このままでは焼き殺されてしまう。まさかここまで来て別の攻撃パターンをしてくると予想だにしなかった。

 スキルの【熱耐性】でもこれだけのダメージを受けるなんて、対策不足にもほどがある。スキルポイントを消費して熱耐性を強化しておくべきだった。


 ……あ、そうか。


 私は必死の目を開けると、目が焼ける激痛に襲われる。叫びたいのを我慢し、必死にウィンドウに表示されている、まじかる☆スキルブックから【熱耐性】にスキルポイントを振った。



『スキルポイントを100ポイント消費し、【熱耐性】から【火炎無効】になりました』


 一瞬で身体を焼いていた炎の熱を感じなくなり、右手に掴んだ魔石を見る。


 左目は火傷で失明したのか、見えないので右目で見る。今の私の状況を知りたくはないけど、全身大火傷で大変な事になっているかもしれない。


 フェニックスの魔石を砕けば倒せるが、今回はオタマトーンの口に入れてスキルポイントに還元する予定だ。


 薄れゆく意識の中、オタマトーンの中に魔石を入れ、私自身にまじかる☆ヒーリングシャワーを掛ける。


『まじかる☆ドレスの耐久値が28%です。【魔法少女】を維持できません』


『変身を解除します――』


 まじかる☆ヒーリングシャワーが間に合って良かった。全身の痛みが消えた瞬間に、安堵からか、意識がプツリと切れた。



フェニックス戦終了です。

変身が解けてしまい穂華の正体が……

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