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憧れの魔法少女になれたけど、恥ずかし過ぎて死にそうです!!  作者: じゃむばた


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夜間訓練でレベリング

「周防院! 止めを指せ!」

「はい! はああああ! 【雷神撃】!」


 周防院さんの刀から放たれた斬撃は、以前見た時より遥かに威力が上がっていた。

 紫電が迸る一撃はサーベルタイガーの首を一刀両断すると、辺りに肉が焦げる匂いが広がり、私のお腹の音が鳴る。


 小腹が空いたな……。

 そういえばおやつ食べてないや。


 私はボス戦中にも関わらず、まじかる☆ボックスから携帯バランス栄養食の2本満足を取り出す。今日はチーズケーキ味だ。

 1本をルル様に上げると上機嫌で頬を膨らませ食べ始める。餌付けしてる感じで可愛い。

 そんな姿を見た中村さんが呆れた口調で話しかけてくる。


「戦闘中だというのに気が抜け過ぎではないのか?」

「と、言われてもね〜」

「ほのりんは3体仕留めてるからな」

「しかしだな……」


 言わん事は分かっているつもりだ。

 開幕サーベルタイガーを1匹瞬殺して、2匹を格闘で倒した後はアイテム回収し、JDSTの戦闘を見学して、かれこれ30分経過しているのだ。

 暇過ぎて私が4匹目を狩ろうとしたら中村さんに止められてしまった。

 JDST達の経験値稼ぎの為にボスは残して欲しいらしく、最後の1匹を倒すのも時間がかかっていた。

 中村さんと周防院さんは強いが、戦闘に時間が掛かるのは、他の隊員達の能力差があり過ぎるのが原因のような気もする。


「中村さん、他の隊員達は次の階層からは少し辛そうですね」

「そうだな。40層のボス戦では流石に勝てないかもしれない」


 レイドに参加してもらうのは中村さんと周防院さんだけになるかもしれないなあ……。できれば後方支援部隊が欲しいけど。


「なーに、暫くレベル上げに勤しむさ。魔法少女殿に先を越されたくないからな。ハッハッハッ!」


 中村さん率いるJDSTには是非頑張って欲しい。

 竜王の鍵以外の鍵が手に入れば良いけど、生憎これしか持っていない。

 レイドクリアの為に、皆のレベルを底上げしてもらわないと困るのよね。



 素材や魔石を回収した後、ダンジョンゲートに入り、次の階層へと進む。

 相変わらずの草原エリアが広がっているが、とうとう夕暮れ時なのか辺りはすっかり茜色に染まり、少しづつ夜の帳が降りようとしている。


 私の目は夜目も効くので問題はないが、JDSTは夜間装備を取り出し、夜のモンスターからの襲撃に備える。


「JDSTは夜間でも活動するんですか?」

「普段はしないが、訓練も兼ねて夜間でもダンジョンアタックする事がある」


 私の質問に中村さんが答える。

 なら私も夜間訓練もしようかな? スキルポイント稼ぎたいし。


「そうですか……既に私達の周りをモンスター達が囲んでいるので良い訓練になりそうですね」

「なに!? それは本当か? 全員戦闘態勢!」

「「了解!!」」


 私の目には先程の階層ボスだったサーベルタイガー他、夜行性のモンスター達が次々と集まって来ている。


 暗視ゴーグルを着けている人いるし、まじかる☆グリッターネイルは使えないか。

 不意打ち対策の為に、私はJDSTの背後を狙うモンスター達を排除しながら立ち回ろうかしらね。


 JDSTの構成はタンク2、アタッカー5、ヒーラー1、サポート2の構成で、交代要員で更に2人が待機しており、計12人態勢のパーティーだ。

 人数が多いので、多種多様な戦闘スタイルを持っており、モンスターに合わせて構成を変えられるのはJDSTの強みだろう。

 勿論デメリットはあって、移動速度の低下、コストアップ、隊員達の体調管理、経験値の分散などである。

 ルル様の話によると、経験値の分散は12人以下ならそれ程変わらないらしく、それ以上になると、ひとりあたり2割減っていくそうだ。

 私も含めて現在は13人構成なので、2割以上取得経験値が減っているかもしれないけど、私は魔法少女の仕様上、経験値が一切入らないのでメリットは一切ないのだ。


 タンク役の中村さんがモンスターを煽り立て、注意を引くとモンスター達が次々と集まってくる。

 このままでは危険なのでアタッカー達が攻撃を仕掛けモンスター達の数を減らしていく。


 さて、私もスキルポイント稼ぎとスキルクリスタル目当てに頑張りましょうかね。

 早速、私は辺りを見渡し、草陰に隠れた魔物達に対して魔法を放つ。

 

「そこ! まじかる☆スターライト!」

「ギャウンンン!」


 おし、まず1匹目。

 オタマトーンを演奏しつつ、まじかる☆スターライトを乱射していく。

 次々とサーベルタイガーが星になって消えていくと草原に広がる星の海がとても幻想的だ。

 そんな景色に感動していると、周防院さんがやって来た。


「あの……ほのりんさんの強さはとても有り難いのですが……もう少し光量を下げることってできますか?」


 ……あ、暗視ゴーグルか。

 私のまじかる☆スターライトはエフェクトが激しくて眩しいのよね。

 たしかに暗視ゴーグルを付けたJDSTの人達は眩しくて戦いどころではないかもしれない。

 私ってもしかして邪魔なの? そうなの? そうだとしたらちょっと悲しい……。


 うっ、また胸が疼く。

 こんな事でもナヴァトラナが反応するんだ……。私の悲しみすらエネルギーに変えてしまうなんて、魔法少女って謎が多過ぎる。


「これでも手加減してるんですよ…」


 私はオタマトーンで感情表現する。

 なんとも気の抜けた音に、私と周防院さんの間に微妙な空気が流れる。別にわざとやっているワケではなく、オタマトーンはこんな音しか出ないのだ。


「皆さんの邪魔になるのもあれなので、格闘で頑張ります……」

「お願いします」


 とは言ったものの、巨大サーベルタイガーはツキノワグマぐらいの大きさがあり、牙は私の腕の長さくらいある。

 正直な話し、格闘で倒すのは怖い。マジで怖い。

 プロの格闘家にグリズリー相手に素手で戦えますかと聞いたら、100人中100人は戦えないはずだ。たぶん。



 完全に日が落ちた草原は暗闇が広がり、空にはミルキーウェイが広がっている。

 ゆっくりと眺めていたいけど、草原の方からモンスターの目がキラリと反射して見える。

 こちらに向かって音を立てずにゆっくりと近づいてくる。サーベルタイガーのスキル【忍び足】だ。

 このスキルは名前の通り、足音がしなくなるスキルで隠密系スキルの一瞬だ。これがあると敵に見つかり難くなったりするのだ。

 

 続々とサーベルタイガー達が集まって来ているので、ひとつくらいはスキルクリスタルが落ちてくれると嬉しいなと思いつつ、私に飛び掛かろうとしていたモンスターの攻撃を避け、思いっ切りモンスターを殴り付ける。


「ほのりんパーンチ!」


 携帯バランス栄養食の1食分のカロリーは約170キロカロリーなので、170キロカロリーパンチだろうか? 私のパンチを受けたサーベルタイガーが光の粒子へと変わっていく。


 一撃でモンスター達を屠っているけど、ここのモンスター達は強い。

 私もダメージを受ける時があるが、その場合はまじかる☆ドレスの耐久度が10%前後削れるので、余裕はあまりない。極力、被ダメージは受けないように避け専で戦っているのだ。


 サーベルタイガーの群れを倒し、スキルクリスタルを数個確保する事ができた。

 ルル様に鑑定して貰おうかと思った矢先、JDST達が戦っている場所のさらに奥から、何やら一際大きいサーベルタイガーが近づいてくるのが見える。

 この群れのボスだろうか? 中村さんもその存在に気づいており、他の隊員達に指示を出している。


 ……あのサーベルタイガーは強そうだ。

 被害が出る前に、私も参戦した方が良さそうね。


 私はまじかる☆ボックスにアイテムを仕舞うと、オタマトーンを片手に中村さん達が戦っている場所へ急いで向かった。



昼間より夜のほうがモンスターが凶暴です。

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