表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
憧れの魔法少女になれたけど、恥ずかし過ぎて死にそうです!!  作者: じゃむばた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/140

金星のダイアモンド

 十条穂華がエバンス達と食事に行ってから約1時間経過した頃、須藤はデスクワークをこなしていた。浮かれた十条穂華を見て何だか嫌な予感がしていたが、目の前の仕事がある以上ついていく訳にもいかず、溜まった書類や申請を次々と処理し、今日も残業かと溜息を吐いたところで須藤のスマホから可愛らしいメロディーが流れてきた。

 須藤はスマホを確認すると点灯したディスプレイに映っていたのは、須藤がサポートをしている十条穂華からの着信だった。何か問題でも起きたのかなと思い、すぐに電話を取る。


「もしもし、須藤です」

《ハイ、スドウ? 今いいかしら?》


 通話先から突然英語で名前を呼ばれ困惑する須藤だったが、通話相手が聞いたことがある声と英語の独特な訛りで、とある人物だと判断し用件を伺った。


「カナリアさんですか? うちのハンター、十条様に何かありましたか?」

《察しがいいわね。ホノカが倒れたの。日本帝都ホテルに来てくれない?》

「!? どういう事ですか?」

《事情はこちらに来てから話すわ。かなりクレイジーな事が起きたらしいのよ、早めにホテルに来てもらえる?》

「……分かりました」


 通話を切ると必要な物を鞄に詰め込み、オフィスから慌てて飛び出すと、後輩の辻山直樹とぶつかってしまった。


「きゃ!」

「おわっ! 先輩どうしたッスか突然」

「痛たたた……辻山君か。私の専属ハンターが倒れたらしくてね」

「えっと、たしか十条穂華でしたよね」

「私急いでるから!」

「あ! 先輩!」


 須藤はスーツの埃を軽く叩くと辻山に目もくれず、足早にエレベーターがある方へ走り出した。


 ▽


 須藤が日本帝都ホテルに到着すると、須藤と面識がある人物がいた。彼女は須藤が来るのを待っていたようで、エントランスホールから須藤の姿を見つけると、手を振りながらやって来た。


「ハイ、スドウ久しぶりね」

「……カナリア、今貴女と昔話してる暇はないわ」

「そうね。うちのリーダー達が貴女のハンターと食事中に倒れたって聞いて飛んで来たわ。取り敢えずついて来て」


 カナリア=フレーマー。年齢は35歳、女性。ブロンドの髪を上に束ねてお団子ヘアーにし、赤い眼鏡を掛けている。彼女はUSHAのChrome Tempest専属サポーターだ。須藤と彼女はIDA国際ダンジョン管理局で研修中に知り合った仲であり、当時の須藤の担当官でもあった。そんな彼女はChrome Tempestの専属サポーターとして契約しており、Chrome Tempestの本部はアメリカで活動中なのでカナリアまで日本に来る必要はない。しかし、マイク=R.エバンスが魔法少女に興味を抱いたのを切っ掛けに、カナリアも付いていく事になったのだ。

 

 カナリアの案内で日本帝都ホテルの最上階にあるスイートルームへやって来る。


「マイク、JHAのスドウを連れてきたわ」

「そうか、ホノカはそこに寝ている」


 ホテルの一室に入るとエバンスが寝室に案内した。


「穂華ちゃん!?」


 須藤が穂華が寝ているベットの前に行くと、穂華は気持ちよさそう寝ている。心配して汗を流しながら来たというのに、倒れた本人は涎を垂らしながらニコニコして寝ていたのだ。須藤は少しイラッとしたが、どうして穂華が倒れたかエバンス達に事情を聞き出さないといけない。


「エバンスさん、十条様が倒れた状況を詳しく説明してもらえますか?」

「まずは私達が日本に来た理由を話した。そして、魔法少女と接点のある人物がホノカ=ジュージョーである可能性を伝えた」


 何となく彼らが日本に来た理由を知っていたが、まさか直接接触してくるとは思いもしなかった。そして、あの鑑定も穂華を誘い出す罠とはつゆ知らず、須藤も反応してしまいミスを招いた結果になってしまった。


(迂闊だったわ……鑑定されたかどうかなんて、

普通の人じゃ分かりっこ無いのに……)


 しかし、今は鑑定うんぬんの話しは後回しにし、穂華が何故倒れたかを知らないといけない。疲労なのかストレスなのか? 話を聞いただけではストレスなような気もするが、須藤はエバンスの話の続きを聞く。


「私達の話を聞くと、ホノカは非常に焦った表情を浮かべた。私は更に確信に迫る為に【神域】と呼ばれるスキルを使った」

「神域? それはどんなスキルですか?」

「神域とは悪意や敵意を持った者に対してステータスダウンの効果を与え、味方にはステータスアップの効果を与える。更に私の神域の範囲に入った者は私に対して好意を抱いたり、素直になったりする効果がある」

「……要するに無防備な十条様に対してスキルを使い、剰えマインドコントロールをして情報を聞き出そうとしたのですね? ……これ国際ダンジョン法に違反していますよ。カナリア、これをどう落とし前つける気ですか?」


 エバンスの話を聴いていたカナリアは途中から顔面蒼白になっていた。まさかエバンスが日本のハンターに対して、このような愚業をするとは夢にも思わなかったのである。カナリアは必死に弁明しようとしたが、適切な言葉が浮かばない。否、もはや言い逃れができないのである。


「スドウ、これは私の責任よ……。どんな処罰でも受けるつもり」

「責任の追求はまた後日です。十条様はその神域を受けて倒れただけですか?」


 エバンスは懐からハンカチに包まれた1cmくらいの透明で美しい宝石を取り出す。傍から見てもダイアモンドに見える。


「これは?」

「ホノカかの倒れた時、突然胸から出てきた宝石だ。これについて何か知っている事はあるか?」


 穂華の中から宝石? 何の事かと思った須藤だったが、先日、神峰奏司から魔法少女についてある秘密を教えてもらった。それはナヴァトラナと呼ばれる宝石だ。その宝石はどんな願いでも叶えてくれる宝石なのだそうだ。

 それが目の前にあるダイアモンドがそうなのかは知らないが、穂華の中から出てきたとエバンスが言っていたので神峰が言っていたことは事実なのだろう。しかし穂華の秘密を彼らに話す事はできない。


(詳しい事は穂華ちゃんやルル様から聞くとして、今は宝石の回収と穂華ちゃんをどうするかね)


「……私から話す事はないです。その宝石は十条様が起きたらお返しになって下さい」

「わかった。今はこれ以上の詮索は止めよう。起きたら彼女にも謝罪をしよう」

「そうして下さい」 


(今は、ね。ダンジョンランカー1位に目を付けられては誤魔化しは効かない……時間を稼ぐにしても正体がバレるのは時間の問題だし、後は穂華ちゃん次第よね)


 須藤はもし穂華が身バレしても全力でサポートしていくつもりだ。本人がハンター業を続けていくのが無理だと判断したらそこまでだが、須藤はなるべく穂華がハンターを続けられるように配慮するつもりであった。


 十条は穂華に対して身体を揺さぶり、むりやり起こす。


「十条様! いつまで寝てるんですか? こんな時間に寝てたら変な時間に目が覚めちゃいますよ」


 ▽


「――――ま!」

「――――さま!」


 ……遠くの方で声がする。ストレスMAXで疲れてるの。まだ寝かせて……。


「十条様!」


 ん〜、奈々子ちゃんの声が聞こえる?

 奈々子ちゃんは心配症だなあ〜。私は大丈夫だって言ったじゃない。ほら、こうやって暖かいお布団に包まってスヤスヤと……ん?

 さっきまで私は何をしていたんだっけ? たしか、誰かと食事をしていたような……あ! マイクさん達とホテルのレストランに来ていたっけ?。

 そして……あれ? 何か重要な事が起きたような? 思い出せない……。


 激しく揺すられ、ほわほわした夢の中から覚醒すると、目の前に奈々子ちゃんの顔があった。その表情はとても怒っているような顔をしているので、どうしてそんなに怒っているのか私には理解できない。


「穂華ちゃん! 寝ぼけてないで早く起きて下さい!」

「……ほへ? 奈々子ちゃん? なんでここに? ってここどこ?」


 辺りを見渡すと豪華な内装に窓から夜景が見える。

 ……本当にここどこ? 何で私はこんな広いベットに寝てたのかな。


 ふと、部屋の奥に立っている人影を見つける。あれはたしか、メアリーさんとケルビンさん、そしてマイクさんだ。そして赤い眼鏡を掛けた知らない女性がいるが、あれは誰だろう?

 

 はて……? 私さっきまで、レストランで食事を……していたような?


 私の顔から血の気が引くとカタカタと震えが襲って来る。


「穂華ちゃん、やっと状況が理解出来たようどすね。穂華ちゃんホテルのレストランで倒れたそうですよ」

「……たしか、マイクさんから何かスキルを使われて……」


 私の話を聞いていたのか、マイクさんが私が寝ているベットの側にやってくると、申し訳無さそうに言葉を述べた。


「ホノカ、本当にすまない。まさか倒れるとは思わなかったんだ」

「あれって何んだったんですか? 悪意は感じなかったのですが」

「あれは【神域】と呼ばれるスキルで、範囲に入った者に対して悪意や敵意を持っている者を遠ざけたり、味方のステータスを上昇させる効果がり、他にも相手の感情や思考をある程度コントロールが可能なんだ」


 私はマイクさんに対して悪意や敵意は一切無いのに私は倒れた。倒れる前に胸が痛みナヴァトラナが出そうになったので、それを抑える為に意識を集中させた。そして、抑えきれずに胸から“金星のダイアモンド”が飛び出てしまったんだ。

 

 私のナヴァトラナはどこ? あれはとても大事な物なの!


「私が倒れたのは、その神域ってスキルのせいじゃないです。あの……私の胸から何か出てきませんでしたか? あれとても大事な物なんです」

「……それはこの宝石か?」


 マイクさんの右手にハンカチが乗っており、その上にはダイアモンドが輝いていた。そのダイアモンドの大きさは人差し指の爪くらい、約1cmの大きさだった。


 私はマイクさんからダイアモンドを受け取ると大事そうに胸の前に祈るように包み込む。


 良かった。大事なナヴァトラナ。これがないとルル様が困っちゃうよね。

 早くダンジョンに行って、ルル様にナヴァトラナを渡さないといけない。


 私がベットから這い出ようとすると、メアリーさんから止められた。


「待ってホノカ。今日は大事を取って今夜はここに泊まっていって」

「え!? でもバイトもあるし……」

「車を出してあげるわ」

「そうだぜ、マイクが迷惑をかけたからな」

「ぐっ……ホノカすまない。改めて謝罪はしよう。今はゆっくりと休んでいてくれ」


 ベットは大きく内装が素敵な客室だ。

 恐らくここは日本帝都ホテルのスイートルームで1泊100万円くらいするはずである。

 そんな部屋を使わせてくれるなんてなんて素晴らしい人達だと思う穂華だったが、マイク達はこれから起こる問題に頭を悩ます事になる。


「十条様、私はこれからエバンスさん達と話し合いがありますので別室に移動します。後日詳しいお話があると思いますが、今夜はゆっくりお休み下さい」

「はいは〜い、奈々子ちゃんお休み〜」


 奈々子ちゃん達を見送った私は、スウィートトルームで優雅な夜を過ごしたのだった。


 


エバンスさん達に穂香は普通のポーターじゃない事がバレました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ