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修禅寺日枝神社ダンジョンクリア

本当はダンジョン20層にしたかったのですが、ダレるので止めました。

 6層のボス部屋前。

 ボス部屋の前で私はスキルポイント消費し、スキルの強化を済ませていた。


 まじかる☆ドレスアップ〈☆☆☆☆→☆☆☆☆☆〉

 まじかる☆シールド〈☆☆→☆☆☆〉


 魔法少女の衣装の強化、一撃で破壊されたシールドの強化の2つだ。

 特に40層相当の強さを持つ、スカイスネークの魔法は私の防御を安々と貫いてくる強さを持っていた。気休めとはいえ強化しないよりマシだろう。


 強化した魔法少女の衣装とシールドの感触を確かめ、ボス部屋の扉に視線を向けると、ルル様が側に寄って来る。


「準備はよいか?」

「うん。とうとう6層だね。私の実力だと6層をクリア出来るか微妙なところ」

「今日無理にクリアする必要はないのだろう?」

「うん明日もあるし、別にクリアできなくても別の機会に来ればいいかな〜」

「そうだな、このダンジョンはボス戦のみだが、報酬の事を考えるとまぁまぁだな」

「私的には微妙」

「ほのりんには無用な物が多かったが、若返りの実を手に入れたのは大きいのでは?」

「そうだね~、私が使ったら20歳に戻れちゃうね!」


 20歳に戻れるなんて夢のようだけど、3歳若返った所で変化を感じるかな?

 須藤さんの感想を聞いて試してみようかな。



 ルル様と雑談後、ボス部屋の重い扉を開けると部屋の中央に、赤い丸い球体があった。

 あの姿に見覚えがある……。


「デスボール……」

「ん? ほのりんよ知っているのか?」

「ちょっとね……」


 ルル様と出会う前だ。私が初めて渋谷ダンジョンに入り1層で現れたモンスターだ。

 私に暴行を加えてきた2人組をあっさり殺し、何故か私を渋谷ダンジョン41層へと連れて来た謎のモンスターである。


「あのモンスターは徘徊する者の内の1匹、デスボールだ。既に知っているかもしれんが、奴は小さな体を転がし、ダンジョンの階層を無視して自由に移動している」


 え? ダンジョンの階層を無視して移動出来るの? かなりヤバいモンスターだったんだ……。


 ルル様の説明は続く。


「奴は音に反応し襲ってくる。また擬態のスキルを持っており、本体が現れると殺傷能力が高い触手で攻撃を仕掛けてくるので気をつけるのだ」


「ありがとうルル様」


 一度戦った事があるけど、ルル様の説明で新たな発見があった。

 何となく予想はしていたが、デスボールは音に反応し襲ってくるらしい。

 以前戦った時は暗い瓦礫の中で、私が魔法少女の秘密の呪文を唱えたら動き出した襲って来た。

 音で反応するなら、離れた場所から魔法を放てば奇襲を仕掛けられるかもしれない。

 無理せず確実にノーダメージクリアが出来るので確実に倒しておきたい。


 私は小声でまじかる☆スターライトの魔法を唱える。


「また会えたねデスボールさん。星に変えてあげるわ♪まじかる☆スターライト!」


 一直線にデスボールにまじかる☆スターライトが飛んで行くが、突然デスボールが跳ね上がり、魔法を回避した。


「げっ!? 避けられた?」


 デスボールは膨れ上がると体積の20倍の大きさになり、無数の触手が生えてくる。


 41層で戦った時と変わらない姿だ。

 2本の太い触手……あれには注意しないと。

 それにあの素早い動きを封じるには、地面と接触している触手を狙うのも手ね。


 一度戦った相手。無理せず落ち着いて対応すれば勝てるはずなので、距離を取り魔法で対応する。


 デスボールの触手が攻撃をする予備動作が見える。


「まじかる☆シールド!」


 パンッとソニックブームが発生したとほぼ同時に、まじかる☆シールドにデスボールの触手が当たった。

 事前に触手による鞭攻撃が来る事を知らなかったら、大ダメージを受けていただろう。

 攻撃後が反撃のチャンス、私は一気に加速する。


『加速』


 デスボールの鞭を回避し懐に潜り込みと、【剛力】のスキルを発動させ右ストレートを打ち込む。


「はぁあああっ!」

「ピギィッ!」


 拳が胴体にめり込むと、ボコっと音が鳴りデスボールは高く空中に跳ね上がる。

 空中では回避行動は出来ないので倒すなら今が絶好の機会だ!


「まじかる☆スターラーーイト!」


 オタマトーンが発光し口から綺羅びやかな星々が溢れ出すと、デスボール目掛けて飛んでいく。


「ピッ!? ビギィーーー!」


 デスボールは触手で私の魔法をガードしようとするが、触手が星に触れたそばから光の粒子に変わり、抵抗虚しくデスボールの体は爆発し星になって消えていった。

 

「快勝だな」


 ルル様が機嫌良く話すけど、気を抜いたら私が殺られていたかもしれない。

 正直な話、徘徊する者はダンジョンで出遭ったモンスターの中ではかなり異質な存在だ。

 こんなモンスターが1層に現れると知ったらダンジョンは間違いなく閉鎖されるレベルだよ。

 他のハンター達が接敵して被害に遭わない事を願うばかりである。


 デスボールのドロップ品は無かった。その代わり、ボスクリア報酬の宝箱の色が違う物が出てきた。

 いつもなら木製の宝箱が出るのだけど、今回は銀色の金属製の箱が現れた。


「ルル様、宝箱の色が違うんだけど何か知ってる?」

「あれは通常より良い物が入っている宝箱だな」


 おー、レアアイテムが入ってるかも? これは期待が膨らむ。

 早速宝箱を開けると、メダルが1つ入っていた。

 そのメダルは金色で不思議な模様が描かれており、非常に重たい。


「何これ?」

「ふむ。我の知識にも無いアイテムだな。念の為に持っていた方が良いだろう」


 用途不明のアイテムだがダンジョンの宝箱から出るアイテムだ。きっと何か重要なアイテムに違いない。

 私はまじかる☆ボックスに金のメダルを仕舞うと、ウインドウがポップアップする。


『小規模ダンジョン修禅寺日枝神社ダンジョンをクリアしました。クリア報酬をお受け取り下さい』


 そのウィンドウが表示さらた後、目の前に1本の金色の鍵が現れた。

 私がその金色の鍵を手に取ると、出口へと続くダンジョンゲートが開いた。

 宝箱がクリア報酬じゃなかったんだね、クリア報酬は別にあったんだ。


 私が不思議そうに鍵を眺めていると、ルル様が目を見開き驚いた表情を浮かべている。


「これは竜王の鍵ではないか。高難易度レイドとは運が良いな」

「あ、やっぱりレイドの鍵だった?」

「うむ。この竜王の鍵は女郎蜘蛛の巣などとは比べ物にならぬくらいの難易度だ。今のほのりんでも厳しいかもしれぬ……」

「なら暫くは行かなくてもいいかな。無理して攻略する必要もないし」

「むむむ。魔法少女専用クエストをクリアするには必須だが……」


 ルル様はクエストがどうとか言っているけど、クエストのクリア条件って他の人と一緒にクリアしないといけないのよね。

 まず私はソロなのでこのクエストはクリア不可能かもしれない。ごめんねルル様。


 あ、そうだ。ルル様に言っておかないとイケない事があったんだ。


「ルル様」

「ん? 何だ?」

「今日の修善寺ダンジョンの動画はネットに上げるのは禁止ね」

「!? な、何故だ! 確実に再生数を稼げるぞ?」

「須藤さんがJHAに今日録画した物を提出するの。もし、その動画とルル様がネットに上げた動画が似ていると、私の正体がバレてしまうの」

「ぐぬぬ」


 ルル様は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、何度もネットに公開したいと言うけど、私は全て却下した。

 JHAに私の正体がバレると囲い込まれる可能性があるし、様々な制約が付きそうなので、今バレるのは得策では無いのだ。



 私は変身を解いてダンジョンゲートに入り地上に戻ると、須藤さんが外で待っていた。


「お帰りなさいませ十条様」

「あれ? ずっと待ってたの?」

「いえ、6層までのダンジョンと伺っておりましたので、そろそろお帰りになられるかと思いまして、外で待機しておりました」


 クリアする時間も計算済みですか恐れ入ります。


「ダンジョンクリアして来たよ。ルル様曰く、ボス撃破報酬目的なら美味しいダンジョンだってさ」

「なるほど、上に報告してさらなる調査が進めば一般開放されるかもしれませんね」


 他の小規模ダンジョンは分からないが、伊豆にある修禅寺日枝神社ダンジョンはボスダンジョンだった。

 中々スリリングのある戦闘だったが、今回の報酬はイマイチだった。


 あ、折角だから5層の宝箱から見つけた短剣を須藤さんにプレゼントしよう。


「須藤さん、ボスクリア報酬で出て来た短剣があるんだけど、私は使えないから上げるよ」


 美しいデザインの短剣で、切れ味が良さそうな短剣を須藤さんに差し出すと、須藤さんのクールな表情が一瞬驚きに変わる。


「え? 宜しいのですか? 売れば結構な金額になるかと思いますが……」


 須藤さんは短剣を太陽の光に当て、じっくりと観察している。


「この短剣は連撃の短剣って言う名前で、斬り付けると3回斬り付けるらしいですよ」

「ま、魔剣ですか……そんな能力が付いていたら家が買える値段では……十条様ありがとうございます、大事にします」


 須藤さんはとても大事そうに短剣を持つと優しく微笑む。

 まさかあの短剣に家が買えるほどの価値があるなんてねぇ……え? ないよね?


 とんでもない物を須藤さんにプレゼントしてしまったかもしれない。

 でも須藤さんはとても喜んでいるので良しとしますか。

 





 

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