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憧れの魔法少女になれたけど、恥ずかし過ぎて死にそうです!!  作者: じゃむばた


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不老長寿の果実

 須藤さんがゴブリンチャンピオンを圧倒し首を落として光の粒子に変えると、魔石と宝箱が出現しダンジョンゲートも現れた。これは渋谷ダンジョンと同じ仕様だと思われる。

 そして、オタマトーンが魔石を自動で食べなかった事を確認すると、やはりパーティーを組んだとしても、私がモンスターを倒さないと自動で魔石を取得してくれないらしい。


 私は須藤さんと一緒にクリア報酬の宝箱を開封し、中身を確認するとそこには、スキルクリスタルがひとつとポーションが入っていた。


「スキルクリスタルとポーションが入ってるね。幸先良さそうだね」


 私はスキルクリスタルとポーションを手に取りと須藤さんに見せる。


「そうですね、ゴブリンチャンピオンからはスキルクリスタルはドロップしませんでしたが、宝箱のスキルクリスタルはどんな効果か予想が付かないですね」


 モンスターからスキルクリスタルがドロップすれば、そのモンスター特有のスキルが手に入るチャンスだけど、宝箱から得られるスキルクリスタルの効果はランダムなのだ。

 それならばルル様の出番だね、鑑定宜しくお願いします!


「スキルクリスタルの鑑定なら我に任せよ。ふむむ!」


 私が持ったスキルクリスタルをルル様がじっくりと見ると、すぐに鑑定結果が出たようだ。


「これは体力上昇〈小〉だな」

「当たり?」

「当たりでもなくハズレでもないですね。ダンジョンセンターに良く持ち込まれるスキルクリスタルのひとつです。ちなみに買取価格は約30,000円ですね」


 高いのか安いのか微妙な値段だが、体力上昇スキルなら体力に自信がない女性や、高齢で体力が低下した人にも有効かもしれない。


「それでは次に行ってみましょう」

「はーい」


 私達はダンジョンゲートに触れると、新たに修禅寺日枝神社ダンジョン2層のへのアクセスが可能になっていた。

 迷わず2層を選択し、ダンジョンゲートに飛び込むとと、1層と変わらぬ景色が広がっていた。


「また同じ場所?」

「似ているが違うようだぞ? 奥からボス特有の気配を感じる。心して行くが良い」


 風景は変わらないがボス部屋はすぐ隣の部屋らしい。

 ボスが連戦なら次は私の番だね! 私も須藤さんのようにスタイリッシュほのりんになって格好良くモンスターを倒してみよう!


 1層と同じにように重い扉を開けると、広い空間に赤紫色の巨大なサソリがいた。大きさは普通自動車並の大きさで、尻尾の毒針がこちらに向いている。 


「大きいサソリだね。あれって強いの?」

「あのモンスターの名はポイズンキャンサー。このダンジョンのボスモンスターの傾向からすると、1層のボスレベルは10層と同等かそれ以上、即ち2層のボスモンスターは20層のボス相当だと思った方が良いな」


 渋谷ダンジョンで出てきたサキュバスレベルと同等かそれ以上か……サキュバスの魅了のスキルは厄介だったけど、あのポイズンキャンサーに注意しないといけないのは、やはり巨大なハサミと巨大な毒針だろう。

 毒無効のスキルを保持しているので毒に対しては怖くないが、あの太い針で刺されたら大怪我間違い無しだ。

 

 私は息を整えるとポイズンキャンサーの前に立つ。

 須藤さんが録画しているので、まじかる系の武器や魔法は禁止だ。

 もしも、魔法が封じられた戦いや、城神高校拉致監禁事件のように人に対しても素手で戦う必要が出てきた場合に対応出来るように、格闘に慣れた方が良いかもしれない。


「よし、まずは小手調べから」


『加速』


 一気に加速し、ポイズンキャンサーの側面に移動し右ストレートを胴体に打ち込むと、鈍い音共にポイズンキャンサーの胴体が2m程吹き飛ぶ。

 よし、効いてる。この調子で確実にダメージを当てていこう。


 加速で尻尾の先に付いてる毒針を回避していく。

 ポイズンキャンサーの攻撃方法は単調で、毒針攻撃と2本のハサミで攻撃の2択しかないようだ。

 他にスキルも無さそうなので私は【剛力】を発動させ、尻尾を掴むとジャイアントスイングの要領でぐるぐる回転させ、巨大なポイズンキャンサーを投げ飛ばす。

 【加速】で追いつき、ボールを蹴り上げるように蹴るとポイズンキャンサーは光の粒子に変わり魔石を落とした。

 ポイズンキャンサーさん、ちょっと可哀想だったかな……。


 指先で魔石を触れると魔石が消え吸収されたのが分かる。


『ポイズンキャンサーの魔石を取得し、スキルポイントが10ポイント付与されました』


 少しづつだが、確実にスキルポイントが貯まっている。

 まじかる☆ドレスアップを1段階強化する為に貯めても良いし、魔法の強化やノーマルスキルの強化も捨てがたいので、とても悩ましい。

 スキルポイントの割り振りは落ち着いた時にやろう。


「さて次は3層だな、渋谷ダンジョン30層相当レベルとなると、真剣に立ち向かわないと予期せぬ反撃を受けるかもしれん」


 ルル様は冷静に分析し判断しているようだ。

 私も気を抜いてる訳ではないが、少し物足りなさを感じる。

 次は須藤さんとタッグを組んでボスに挑んでみようか。


 ダンジョンゲートに入ると、また同じ空間に出た。何も無い空間は、歩く度にコツコツと音を反響させる。


 ボス部屋に入ると1本の大きな木が生えていた。緑色の葉が生い茂り大きな赤い実を実らせていた。


「ルル様あれは?」

「あれはトレントの変異種だな。珍しい事に赤い実を実らせている」

「珍しいの?」

「本来トレントは枯れ木だが、稀に葉を生やしてい奴もいる。しかし、赤い実を実らせたトレントは珍しいな」

「へ〜、あの実って食べれるのかな?」

「どうやら食べられるらしいぞ」

「なら、サンプルとしてひとつ欲しいですね」


 須藤さんはJHAに提出するデータと一緒に、あの赤い実を所望しているようだ。

 あんなに沢山赤い実が成っているので、ひとつとは言わず10個くらい持って帰れば良いと思う。


「須藤さん、一緒にあのトレントをやっつけましょう」

「分かりました。サクッとやって次へ進みましょう」


 私達がトレントに近づくと、トレントは激しく枝を揺らし威嚇をしてくる。そして、太い幹から2つの丸い窪みが私達を睨めつける。

 まるで意思を持ったおばけの木で、お化け屋敷に設置したら大人気になりそう。


 そんな事を考えつつ、私達はトレントに攻撃を仕掛けていく。

 トレントの強さはそれ程でもなく、自在に伸ばしてくる枝を鞭のように使い攻撃してくるので、気をつけながら接近すればそれ程脅威ではなかった。

 須藤さんと連携を確認しながら戦い、怪我を負う事無くトレントを倒す事に成功した。


「思ったより強くなくて拍子抜けだね」

「いえ、ほのりん様が強すぎるのです。私の短刀では枝を切り落とすので精一杯ですが、ほのりん様は殴っただけで太い幹をへし折ったではありませんか。人をお辞めになったのですか?」


 酷い言われようだ。私も殴ったら、まさかトレントにヒビが入るとは思わなかった。

 さらに追撃を加えるとトレントはバリバリと音を立て、へし折れてしまったのだ。


「結果はどうあれ、トレントを倒せたからいいか〜。この赤い実を集めよう」


 トレントが消滅すると同時にトレントの枝に実っていた赤い実は消えてしまったが、戦闘中に落ちた赤い実は消えずに残っていた。私と須藤さんで計7個の赤い実をゲットしたので、私が3個で須藤さんが4個で分ける事になった。


「この赤い実って林檎みたいだね」

「そうですね。仄かな林檎の香りがしますし、林檎のトレントなのでしょうか?」


 須藤さんは早速トレントから取れた赤い実を齧ると、水々しい果汁が溢れ出し、甘酸っぱい林檎の香りが広がると一瞬だけ須藤さんの身体が光ったような気がした。


 須藤さんは美味しそうに食べている姿を見て、私も食べたくなり、赤い実を齧ろうとしたその時、ルル様が止めに入る。


「まてまてお前達、その赤い実は考えて食べないと大変な事になるぞ!」


 え? 大変な事になる? 私はまだ食べてないけど、須藤さん食べちゃったよ?

 私は須藤さんが心配になり、慌てて須藤さんの体調を伺う。


「須藤さん大丈夫ですか? どこか具合が悪くありませんか?」

「……いえ得には何も」


 顔色も良く問題無さそうだが、ルル様の言った「大変な事になるぞ」とはどう言う意味なのか?


「ルル様、この赤い実は食べれると言っていたけど、大変な事って何? 変な効果でも付いているの?」

「この実は食べられるが、一つ食べると約1歳若返る効果がある。下手に食べすぎると赤ん坊になるぞ」

「「は!?」」


 1歳も若返るなんて、伝説の不老長寿の秘薬と同じ効果じゃない! ひとつ丸々食べきってはいないけど、須藤さんは1歳若返ったのかな? パッと見変化は分からない……。


「……なるほど。取り敢えず1個は研究用に確保できたし、残り2つ食べれば、私の年齢が23歳ぐらいに若返るんですね。うふふ……」


 須藤さんは残りの赤い実を見て、うっとりしている。

 私も女性として須藤さんの気持ちは良く分かる。たったひとつを食べれば、1歳若返るなんてとんでもない効果だし、世界中のセレブが大金を出しても買うアイテムだ。

 トレントから得た若返りの赤い実は、地面に落ちた7個しか得られなかったけど、倒さずに全ての実を回収出来たら人生を2回は経験出来たかもしれない。


「ほのりん様は食べないのですか? なんなら私が……」

「食べます! あげませんよ!」


 私は必死に赤い実を隠し、まじかる☆ボックスに投げ入れた。


 まじかる☆ボックスについては1層を攻略した時点で説明済みなので、ダンジョンで得たアイテムは一時的に全て私が預かっている。

 

 ボストレントを倒した時に出現した宝箱の中身は、ポーションとハイポーションだけだった。

 アイテムはを回収した後、私達はダンジョンゲートに飛び込み4層へと向かった。




若返りも良いですが、皆さん的には異世界転生したい派ですか? 私はクラゲになって海を漂いたいです。


読んでいただき、ありがとうございます。

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