伊豆旅行計画
ブクマや評価いつもありがとうごいます。
新しいプリキュア可愛いですね。
コメコメが健気なのと500キロカロリーパンチがツボってます。
私はホストクラブから脱出した後、姿を隠したままダンジョンセンター前に到着すると、こっそりとダンジョンゲートの中に入った。
「ふぅ〜疲れた」
「華々しい外界デビューだったな。これは話題になるぞ」
「あ……しまった〜〜〜……」
城神高校の生徒達を助ける事に必死で、後先の事を考えるのを失念してたよ……。
唯でさえ渋谷の人口は特に多いのに、ダンジョンゲート前に私が出て来たら話題になるよね。どうしよう、恥ずかしくて外に出られないよ〜。
恥ずかしさのあまり両手で顔を隠し、しゃがんで悶え苦しむ。この恥ずかしさは発狂しそうだ。
「いいぞいいぞ。この調子なら新たなナヴァラトナが発現するかもしれない」
そのナヴァラトナを出すのに、あんな恥ずかしい思いを何度もしないといけないと思うと、とても憂鬱だよ。
「はぁ……暫く渋谷ダンジョンに来るのを控えようかな」
私の言葉を聞いて、ルル様が慌てた口調で話す。
「何故だ! ダンジョン攻略も順調ではないか。我は困る!」
困ると言われましても……。
外は魔法少女をひと目見ようと殺到していたし、ダンジョンセンター前は大混乱。メディアも来ていたし、城神高校の事件もあったから暫くは渋谷ダンジョンに行くのを止めた方が良いと思うの。
「そういえば伊豆にダンジョン出来たんだよね?」
「小規模ダンジョンが出来たぞ。そこに行くなら我は文句は無い」
ルル様はダンジョンに行ければ良いのね。
それなら、須藤さんに相談してみようかな。土日を利用して行けば泊まり込みで行けるし、伊豆と言えば温泉だ。久しぶに温泉に浸かり、疲れを取るのも良い。
ふふふ、温泉か〜。お金もそこそこあるし、少し贅沢しちゃおうかな〜!
「ルル様、次合う時は伊豆だね」
「うむ、我は動画を編集してまっておる」
「……程々にね」
変身を解くとダンジョンゲートを潜り、渋谷ダンジョンゲート前に出る。
渋谷ダンジョンゲートは凄い人集りで混乱を極めていた。まるで、ハロウィーンイベントを彷彿とさせる光景だ。
「あ、十条様お帰りなさいませ。大変申し訳ございませんが、混乱を収めるべく、私も駆り出されておりまして、また後日お話を聞かせて貰っても宜しいでしょうか?」
「わかりました。後でメッセージ送りますね」
私は須藤さんを心の中で応援し、渋谷を後にした。
電車に揺られ喫茶しぐれに帰ると、店内は満員で賑わっていた。今朝のバイトは諸事情で出られなかったので、お手伝いをする事にした。
「穂華助かるよ」
「いえいえ、今朝出れなかってのでお詫びも兼ねて頑張ります!」
私はホールを担当し、お客さんの注文を聞いたりテーブルにコーヒーや軽食を配膳していく。
忙しいと時間の経過はあっという間で、閉店の20時になってしまった。
「お疲れ様」
「咲さんお疲れ様でした」
「先にお風呂入って来なさい」
「分かりました〜」
熱いお風呂に浸かり、今日の疲れをゆっくりと癒やす。
今日は大変な目にあったな〜。ダンジョンのボスも厄介だったし、外に出たら城神高校の生徒達が拉致されていたし……。
あの時、外で叫んでいた人がいなければ、助けに行けなかっただろう。あの掲示板の情報提供者の人にお礼のコメントでも書いておこうかな。
その後、夕食を取り、まひるちゃんが寝る時間まで遊んだ。
そして、私は今週の土日を利用して伊豆に出来たダンジョンへ行こうと模索し、須藤さんに伊豆ダンジョンについて詳しく聞くために通話アプリのチャット機能を使う事にした。
『十条 穂華です、ダンジョンの件ありがとうございました』
チャットを送った瞬間にスマホからピロンっと音が鳴り、確認してみると須藤 奈々子の名前と可愛らしい猫のアイコンが映っていた。
『早速ご連絡ありがとうございます。ダンジョンで、ご用事をお済みになられた様子で、安心しておりました』
『その説は本当にありがとうございました。話は変わるのですが、伊豆のダンジョンって私でも入れますか?』
『伊豆に出来たダンジョンは現在、自衛隊とJHAが封鎖しております』
えー! 行っても入れないとなると予定が狂っちゃうな〜。かといって名古屋に行くのも面倒だし……。
どうしようかと迷っていると、スマホに通知が鳴り、確認すると須藤さんが興味深い内容を送って来た。
『JDSTが渋谷ダンジョンを始め、札幌、名古屋、熊本を同時に攻略しているせいか、新たに出来たダンジョンの調査ができておりません。私がJHAに調査申請を出せば通ると思いますので、いかがなさいますか?』
流石須藤さん。未調査のダンジョンで尚且封鎖されているダンジョンなので、他のハンター達に邪魔をされずに探索を進められる。これは是が非でも須藤さんにお願いしないといけない。
『本当ですか? なら土日を利用して伊豆に出来たダンジョンへ行きたいです』
『任せて下さい。何なら宿泊先も良い所を探しておきます!』
須藤さんに全て任せれば楽が出来そうなので、この際、全てを任せてしまおう。
『本当ですか! 助かります。それでは宜しくお願いします』
可愛いスタンプを押してチャットは終了した。
土曜のバイトが終わり次第、伊豆へ温泉旅行とついでにダンジョン攻略だ!
▽
翌朝、モーニングの準備を終えると喫茶しぐれをオープンさせる。
「おはようございます」
「お、今日も元気だね」
お得意様の鈴木さんだ。
サラリーマン風のこの男性は職業不詳だが、毎日朝早く出金しているようで、モーニングを注文し食べ終わると駆け足で店を出て行くほど忙しい人だ。
「いつもので頼むよ」
「はーい。少々お待ち下さい〜♪」
珈琲豆を挽き、サイフォンで出来ての珈琲を作ったら、コーヒーカップに注ぐと店内が珈琲の香りに包まれる。
「お待たせしました、玉子サンドセットとホットブレンドです」
「ありがとう。うん良い香りだ」
珈琲をひと口飲むと満足そうな表情を浮かべる鈴木さん。
「美味しいね。穂華ちゃんの表情も良いし何かあったの?」
大変な目に遭ってばかりで良い事は少ないが、伊豆旅行計画を立てていたので、それが表情に出ていたのかも知れない。
「悪い事もありますけど、良い事もあって毎日が充実してますよ」
「そうかー、それは良かったね。ここに来た当初は不安そうな表情で暗かったもんね。今は見違えるほどだよ」
鈴木さんのお世辞は素直に受け取ろう。
私がここに来た当初は慣れない環境で不安だったし、両親にいつ連れ戻されるか心配であった。
ダンジョンに行くようになってから次第に強くなっていく私は、自分自身に少しだけ自信が付いたような気がするのだ。
それもこれも鈴木さんもそうだけど、咲さんを始め、寿史さんやまひるちゃんのお陰だ。
「そう言えば昨日、渋谷に魔法少女ほのりんが現れたんだってね。しかも悪い奴をやっつけたって話で、今ニュース番組でも取り上げられているよ」
私はカウンター上にあるテレビ画面を見ると、丁度昨日起きたニュースを放送した。
《――今朝のZAP! ニュースです。昨日午後、渋谷ダンジョンゲート前に、今話題の謎の魔法少女ほのりんが現れました。突如現れた魔法少女はダンジョンセンターの職員と何かを話すと、目にも留まらぬ速さで渋谷の街を駆け抜けて行きました。当時、ネット掲示板に犯行予告なるものが書き込まれ、魔法少女ほのりんが対応に当たっと推測されます――》
「渋谷のホストクラブで若い学生が監禁されたらしくてさ、ほのりんが助けに行ったらしいよ。正義の味方でみたいでカッコイイよね。うちの娘も大喜びでさ〜。咲さんから聞いたけど穂華ちゃんもダンジョンに行ってるんでしょ? 穂華ちゃんはほのりんと会ったことない? もしサイン貰えたら1枚お願いしてもいい?」
会ったことも何も、私が本人ですから! なんてことは言えない。私はサインを貰えたら貰ってくると約束をしてしまった。
サインを書く機会は一生無いと思うけどね。
午前のバイトを終え、お昼の賄いを食べている時に、咲さんに土日を利用して伊豆に行く事を伝えた。
「伊豆? お金は大丈夫なの? バイト代前借りする?」
「あ、大丈夫ですよ。ダンジョンで良い物を拾ったので、そのお金で温泉入って来ます」
「いいな〜、暫く温泉なんて入ってないわ〜」
「今度みんなで一緒に行きましょうよ」
「そうね! 今年はゴールデンウィークも店を開いてたから、まひるの夏休みに合わせて何処かに行こうかしら?」
おお〜夏休み。夏休みって言葉の響きは最高だね。大学の夏休みに、台湾に行った事を思いだす。只管食べる観光ルートだったので、帰る頃には体重が増えていたのはショックだったけど。
昼食を終えて、部屋でゴロゴロして1日を過ごす。今日と明日はダンジョンアタックはお休みだ。
そして、須藤さんから伊豆のダンジョン利用許可申請が通ったのと、ホテルや移動手段まで用意したと連絡が来たのは、その日夜であった。
JHA = Japan Hunter Association(日本ハンター協会)アメリカならUSHAです。
その上にダンジョン庁があり、さらにその上にInternational Dungeon Administration(国際ダンジョン管理局)が存在しております。
読んでいただき、ありがとうございます。
ブックマークと広告下↓の【☆☆☆☆☆】からポイントを入れて応援して下さると嬉しいです!宜しくお願いします




