表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/140

恥ずかしくて倒れそうです!!

 ダンジョンガイドブックをピラピラ捲り、初心者オススメスポットの紹介ページに目を通した。


 1層はモンスターの数は少なく、ビッグイヤーラビット、スライム、ゴブリン、グリーンプラントの4種類が出現する。

 基本的に1匹単位で出現するが、パーティーの人数によって増減することがあるそうだ。

 城神高校の学生が複数のビッグイヤーラビットと戦っていたのは、パーティーの人数が多かったからだろう。


 2層はモンスターが2体ペアで現れる可能性が上がるそうだ。出現モンスターも1層のモンスターにビッグスパイダーと呼ばれる大きな蜘蛛が現れるらしい。

 2層のボスはビッグスパイダー2匹と、ビッグスパイダーの上位種であるレッドスパイダー1匹の計3匹と記載されていた。

 

 なるほど…1層でモンスターを倒すより、2層で複数体を相手にした方が効率が良さそうだけど、その分競争率は高そうね。

 下層へ向かえば向かうほど、人との接触は避けられる。……倒したことのないモンスターを倒しつつ、ボスを倒して下層へ向かった方がいいかも? 最悪、スキルポイントは人が少ない階層で稼げばいいし……。


 そうと決まれば一度ダンジョンゲートに戻り、2層に飛んだ方が早いだろう。

 来た道を戻りダンジョンゲートに触れ、2層を選んでゲートの中に飛び込むと、1層と変わらない風景が続く。


「よし索敵、索敵〜」


 うさ耳カチューシャをぴょこぴょこ動かし、音を立体的に感じる。


「ビビッと来ましたねぇ〜、向こう側に戦った事がないモンスターの反応!」


 人の反応もないので焦らずゆっくり進む。

 複数を相手にするなら、なるべくモンスターに察知される前に先手を取りたい。


 この曲がり角にいる。

 そっと曲がり角にから覗くと、スライムの他に白菜? が地面から生えていた。

 あれは…食品系のドロップアイテムかな?


 なんで道端に白菜があるのか謎だったが、すぐにその答えが分かった。

 あの白菜は突如として歩き出したのだ。足が6本生え、カサカサと虫のように歩き出したのだ。


 取ろうと近づいたら、アレが飛び掛かってきたら嫌だなぁ……まずはアレを先に倒しちゃおうかな。


 曲がり角から飛び出し、オタマトーンを白菜のモンスターに向けて魔法を唱える。


「まじかる☆スターライト!」


『まじかる☆スターライト 発動』


「ーー?!!」


 白菜モンスターは星になって消えていく。全く手応えがないので、その流れでスライムも星に変えていく。


「お掃除感覚で倒せばそれほど苦ではない……かな?」


『グリーンプラントの魔石を取得しました。スキルポイントが、6ポイント付与されました』


 そして、グリーンプラントがいた場所には白く輝く水晶のような物が落ちていた。

 拾ってみるとウィンドウが開く。


『スキルクリスタルを使用しますか?』


 スキルクリスタル。

 それはダンジョンで生きる上では必須と言っても良い物である。

 これを取得する事によって様々な恩恵を得られるが、使ってみないと分からない。時間があればダンジョンセンターの鑑定に出しても良いかもしれない。


「これってとても高価なアイテムなんだよね。売れば大金が……ごくり…」


 金欠なのでお金は欲しい。しかし、スキルも欲しい。

 少し考えたが今回はスキルクリスタルを使ってみる事にした。


『スキルクリスタルを使用し、光合成 を取得しました』


 目を疑う内容に私は驚いた。

 それは光合成。魔法少女らしからぬそのスキルに一瞬思考が止まるが意識を取り戻し、まじかる☆スキルブックを確認する。


 スキルの光合成の効果は分からないが、一般的に光合成とは葉緑素をもつ生物が、光のエネルギーを用いて二酸化炭素と水から炭水化物を合成することをいう。

 私は葉緑素を持った魔法少女になったのだろうか? 植物と人間のハイブリッド生命体が新たに生まれたかもしれない。


「……光合成ができるからって役に立つとは限らない……か」


 しかし、植物のように光のエネルギーで必要な栄養素を得られるならダンジョンでの活動時間が伸びるかもしれない。


『光合成の効果が発動』


「おお!?!?」


 私の不安とは裏腹に特に身体には異常はないようだ。だが、光合成と言えば光だ。光に当たらないと効果がないと思われる。


「鑑定スキルが有れば詳しい効果を調べられるんだけどな〜」


 得られるスキルやアイテムは説明が曖昧だ。

 スキルを取得するまで効果が分からなかったり、ボスゴブリンを倒して出てきた宝箱のポーションすら判断出来なかった。

 この光合成のスキルも説明はないが、光を浴びて栄養を作ると考えれば結構便利かもしれない。

 まぁ、スキルは検証しつつ先に進みましょうか。


 残りスキルポイントは8ポイント。【魔法少女の相棒】と【まじかる☆ボックス】は両方共100ポイントで全然足りない。

 時間が許す限りモンスターを探してひたすら戦うのみである。


 ▽


 次のモンスターを索敵していると、モンスターが3匹固まっている場所を見つけた。

 少し気になる事があるのだが、100m程度離れた場所に1組のパーティーが他のモンスターと戦っているのが分かった。

 そのパーティーは、私が見つけたモンスターの場所まで移動して来る可能性があったので、どうしようか少し迷う。


 道は別れてるけど、私と戦っている時に来られると嫌だなぁ……。


 極力、人と会うことを避けてるのには理由がある。それは恥ずかしいからだ。うさ耳カチューシャを着け、魔法少女の衣装を着た23歳の女がオタマトーンを振り回しモンスターと戦っているのだ。

 想像しただけで恥ずかしくなり、しゃがみ込んでしまう。

 他には噂話を減らす為だ。噂ではネットに魔法少女の話題が上がっているらしく、なるべく魔法少女に関する情報を漏らさないようにする必要がある。

 すでにJDSTや城神高校の生徒や先生に姿を見せてしまったが、人助けの為なので仕方ない。

 

 できればあのパーティーが来る前にモンスターを倒しきりたいので、私は3匹のモンスターがいる場所へと走り出す。


「あれは……ビッグスパイダー! ラッキー!」


 ガイドブックに載っていたモンスターだ。

 3匹のビックスパイダーが私に気が付き、威嚇してくる。


「シャァァァ!」

「まじかる☆スターライト!」


『まじかる☆スターライト 発動』


「ジャァァァ!」


 まずは1匹目っ。

 ビックスパイダーが蜘蛛の糸を吹きかけるが、走り回って移動しているので難なく回避する事に成功。


「そこっ! まじかる☆スターライトー!」


『まじかる☆スターライト 発動』


 2匹目は私を必死に蜘蛛の糸を飛ばし、動きを封じようとしてくるが、動いている対象を狙うのは不得意なのか当たることは無く、まじかる☆スターライトが直撃し、星の粒子へと変わる。

 そして最後のビックスパイダーである3匹目が見当たらない。


 ビックスパイダーを探そうと振り向いた時、3人組のハンター達と目が合う。

 げっ……もう来たの? 3匹目のビックスパイダーは3人組のハンター足元に転がっており、やがて光の粒子に変わっていく。


 取られた。悔しい。


 ダンジョン内ではどんなルールがあるか分からないが、これは横取りになるのであろうか? 私が戦っていたモンスターが他のパーティーを襲った場合は、襲われたパーティーの所有権になるのだろうか?


『ビックスパイダーの魔石を2個を取得、スキルポイントが3ポイント付与され、スキルポイントの合計は、11ポイントになりました』


「すまない、横取りみたいな形になったしまった」

「……べつに…かまいません」


 相手のから謝罪の言葉を受け取り、私も返事をするが、内心早くこの場から立ち去りたくて仕方がない。


 ふと、私の目の前にアイテムが落ちている事に気がつく。私がそのアイテムを拾って確認すると、蜘蛛の糸を巻いた物のようだ。


「……君、凄い格好でダンジョンにいるんだね」


 槍を持った男性が私の姿をまじまじと見ながらな話し掛けてきた。

 凄い格好……私の魔法少女の衣装の事を言っているのだろうか? それともうさ耳カチューシャの事を言っているのだうか? ……恐らく全てを含めて「凄い格好」とこの人は言っているのだろう。


「ぐ、具体的に何処が凄いのでしょうか?」

「え?」


 聞き返されるとは思っていなかったのか、槍の持った男性は固まる。


「いやーすまんすまん! 仲間が失礼な事を言った。気を害したら謝る、すまなかった」


 仲間の1人が私に謝罪をするが、謝罪をする必要はないと思う。何故なら私自身が凄い格好でダンジョンにいると自覚しているからだ。


「いえ、気にしないで下さい。先を急ぐのでこれで失礼します」

「あ! あのっ……」


 引き止められそうだったので、逃げるようにこの場を走り去った私。


 ひ〜〜、凄い目で男の人達に見られた〜〜! 恥ずかしい〜〜〜!


 彼らの私を見る目はもの珍しさに興味を抱いた目だった。あのままあの場所にいたらどうなっていたか分からない。


 あ〜もうっ! 恥ずかしくて倒れそうです!!


読んでいただき、ありがとうございます。


ブックマークと広告下↓の【☆☆☆☆☆】からポイントを入れて応援して下さると嬉しいです!宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ