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アルファミリア

私の足元には意識を失った可憐な少々が横たわっている。外傷は無さそうなので、ホッと胸を撫で下ろす。


 もし、りぼんちゃんに怪我をさせらたらファンからの攻撃を受けて大炎上してしまうので、ヒヤヒヤしながら戦った。


 りぼんちゃんの首に掛けられた可愛らしいネックレスを破壊すると、黒い靄が立ち昇り、その靄がひとつの塊になると悪魔のような禍々しい姿を現す。


「この娘でも駄目か……本当に目障りだな白い魔法少女……」


 悪魔ベリフェゴールが現れる。これは本体なのだろうか? 富士に現れたベリフェゴールが本体だとおもったが、こうやって現れると他に本体が存在してると思える。


 悪魔ベリフェゴールが言っていたベリフェゴールの魔玉。


 ベリフェゴールの話によると、ベリフェゴールの魔玉には特別な物が存在しているらしく、その特別な物は自身の人格を移し増やせるのだと言う。


 それが本当ならりぼんちゃんに取り憑いたベリフェゴールを倒しても、根本的に解決した事にはならない事になる。


 そんなベリフェゴールは手を顎に当てると、深く考えこむ。


「黒い魔法少女もそうだったが、魔法少女は完全にコントロールができない。僅かだが意識が残るし完全に力を引き出せないのは何故だ?」


 ベリフェゴールは何やらブツブツと独り言を言っているが、私達には余裕は無い。一刻も早くベリフェゴールにこんな事を止めさせないと。


「悪魔ベリフェゴール、操っている全ての人を開放しなさい!」

「ン〜やだよ〜」


 あんにゃろー! もう怒ったぞ!


「消えなさい! まじかる☆エタニティ!」


 まじかる☆エタニティが命中するとベリフェゴールの影は徐々に消えていく。


「白い魔法少女……十条穂華め……、俺様は何処までお前を追いかけて地獄に落としてやるからな! 待ってろよ!」


 ベリフェゴールは去り際に捨て台詞を吐いて、完全に消失した。


 完全に倒せないとなるとかなり厄介だ。


 暫くは他のハンター達と協力してベリフェゴールの魔玉が付いている魔道具を破壊して周る必要がある。


「……あれ、ここは? あれ、ほのりん? 夢じゃない……?」


 私はりぼんちゃんの両手を優しく握る。


「もう大丈夫だよ、りぼんちゃんは悪い奴に操られていたんだよ」

「……夢の中で黒い羊のお化けが、魔法少女を倒せって言うんです。でも、私は魔法少女ほのりんの大ファンだし、必死に抵抗していたです」


 操られている状態では夢遊病みたいになるのかな……? ベリフェゴールも言っていたけど、魔法少女には洗脳が完全には効かないようだ。


「!? この衣装、夢じゃない! 私も魔法少女に!?」


 混乱していたりぼんちゃんが、自身の魔法少女風衣装を見ると驚き慌てふためく。


「これには色々事情があってね……」


 神峰や悪魔ベリフェゴールがりぼんちゃんを操り利用した事を教えた。その流れで、無理矢理りぼんちゃんは魔法少女に変えられてしまった事を伝えた。


 もちろん魔法少女のクラスチェンジオーブの入手方法は伏せてあるが、りぼんちゃんはおぼろげに夢の中でひとりの女性が襲われている場面を目撃したようだが、すぐに別の人に視界を隠されて何も分からない状況になったようだった。それは神峰が見せないようにしたのだろうか?


 私の事や奈々子ちゃんの事、そして今世界中で起きている事や、そしてこの場所で私とりぼんちゃんが戦う事になってしまった事を分かりやすく簡素に説明した。


 私の説明にりぼんちゃんは納得したようだ。


 りぼんちゃんを介抱していると、私の背後でやたらとテンションが高いルル様がいる。少し気になって振り返ってみると、


「2人のLIVE配信視聴者は世界で1位と2位を独占中だ。コメント欄も祭り状態だ」

「あ、まだ配信してたの? ルル様、配信は終了だよ! 早く止めないと!!」


 ルル様の発言でとんでもない事に気がついてしまった。


 私、りぼんちゃんの前で自身の正体バラしてるじゃん! うわーーやっちまったーー! これじゃあ【魔法少女は身バレしない】が意味無いじゃん。そういえば、ベリフェゴールも私のフルネームをサラッと口走ってるじゃん……。やられた、私のロハスな生活がああああぁぁ。死ぬ……は、恥ずかしくて死にそう!!! あぁ……私の夢が…………完全に終わった……。


 私は崩れ落ちるとりぼんちゃんが優しく背中擦ってくれる。


 うう……りぼんちゃんって優しくて本当に良い子だね。


「丁度ななちゃんも終わったようだ。向こうへ行こう」


 落ち込んでる暇は無い。


 私は重い腰を上げ、りぼんちゃんと共に奈々子ちゃんの元へ向った。




「りぼんさん、正気に戻られましたか?」

「あ、はい。その節はご迷惑をおかけしました」


 ペコリと頭を下げる。


「りぼんちゃんは悪くないです。悪いのはこの人です」


 見るも無残な神峰奏司が横たわっている。手の骨は折れているのだろうか、曲がってはいけない方へ曲がっており、顔はボコボコに腫れ上がっていた。


「神峰奏司、貴方の悪巧みもここで終了です。悪魔達と結託し、世界中の人々を操り、神になろうとした貴方の行いは到底許す事はできません! 神妙にお縄につき、法で裁かれなさい!」


 おおお、奈々子ちゃんカッコイイ!! ドラマで出てくる女刑事さんみたいだ。


「ゴフッ……僕は……私は諦めない……ぞ……」

「まだそんな事を――」


 私が神峰を非難しようとした瞬間、光弾が私達に向かって放たれたのが見え、私は即座にまじかる☆シールドを張り、攻撃を防いだ。


 その威力は途轍もなく高く、私達は吹き飛ばされてしまった。


「往生際が悪いなぁ。見ていて本当に不愉快だよ」


 倒れている神峰の前に、背の低い女の子か男の子か分からない人物が立っていた。見た目は12〜14歳くらいだろうか、白髪のセミロングの髪に白いワンピース。透き通るような白い肌に、瞳はルル様の同じ金色をしている。


「どいうつもりだアルファミリア!」

「水を差すようで悪いけど、ここまで僕の筋書き通りってやつさ」

「な、何を言っている……」


 アルファミリア……ルル様が言っていた私達の世界側の守人だろうか? ルル様とアルファミリアの会話を聞いていると、何やらきな臭い展開になって来た。 


「この神峰も面白いぐらいに動いてくれて笑えたよ。リリスの話を鵜呑みにしてここまで働いてくれたんだお礼はしないとね」

「……ゴホッゴホッ……な、何を……」


 神峰は血を吐くと、アルファミリアを這いつくばりながらも、その白い人物に視線を送る。その視線には何か期待を籠めているのか、歓喜を浮かべており、この不利な状況を覆せるような希望を持っているのだろうか?


「僕を楽しませてくれてありがとう。そして、彼らをここに呼んでくれてありがとう。少し痛いけど、君の中にあるナヴァラトナは僕が貰っておくね」

「!? あ、ぎゃあああああ!!!」


 アルファミリアは一通り感謝を述べると、神峰に手を振りかざす。すると、神峰は念動力の類いだろうか? ボロボロの神峰は空中に浮かび上がる。


「ぐあああああああっっっ!!!」


「少し減ってるけど問題ないな」


 アルファミリアはそう言うと、神峰の胸からナヴァラトナのひとつ、ケートゥのキャッツアイを抜き取る。


「ぐあああああ…………」


 ぷつりと糸が切れたように動かなくなる神峰を、もう用済みだと言わんばかり雑に地面に投げ捨てるアルファミリア。


「ルルも良くここまで働いてくれた。本当に感謝しかないよ。さぁ、ルル、そのナヴァラトナを僕に寄越すんだ」

「うっ!? ぐっ……ぐああああああ!」

「「ルル様!!」」


 ルル様の胸から8つの宝石が飛び出し、アルファミリアの手に収まる。


「さぁ、僕がこの世界の新たな神となり、ユグドラシルの全ての門を開こう」


 アルファミリアの身体から凄まじい力が溢れ出し、ユグドラシルの門が音を立てながらゆっくりと開こうとしていた。



 

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