表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
131/140

筋骨隆々グレーターデーモン

「お前達、相手をしてやれ」


 神峰はそう言うと手を払う。


 その動作と同時に神峰が召喚したであろう悪魔達が私達に向かって牙を向く。


 悪魔の数はリリスを含めて8体。


 悪魔の姿形は様々で、骸骨のような者もいれば、肉の塊のような者までいた。


 ただ言えるのは、この悪魔達はベリフェゴールの本気を出した時と同じかそれ以上の強さを持っていた。


 私はオタマトーンを振りかざし、悪魔の1体を殴りつけると、頭が潰れて血飛沫が舞う。


 コンマ一秒が流れる刹那の中で、悪魔達は私達の命を刈り取ろうと手を伸ばしてくる。


 私は息を吐くようにまじかる☆シールドを息を使用し、悪魔の鋭い爪を弾く。


 まじかる☆スキルの中には魔法の名前を声に発する必要が無い物が存在する。


 それはまじかる☆シールドやまじかる☆エンジェルハンドだ。これはまじかる☆スキルの中でも魔法ではなく、純粋にスキル枠だと思われる。


 そしてまじかる☆スターライトやまじかる☆エタニティは、オタマトーンを媒介として発動しているのは確実である。これは初期の頃から分かっていた事だけど、オタマトーンを持ってマジック☆スターライトを使わないと威力が半減するのだ。


 恐らく魔法とスキル似ているようで全く別物だと思う。全てまじかる☆スキルで統一されているので気がつくのがだいぶ遅れたが。


 そして、このまじかる☆プリンセスドレスになってからというものの、オタマトーンの進化に加えて痒い所に手が届くようになった。


 まず、まじかる☆プリンセスドレスは【高速移動】中の空力抵抗が明らかに減ったのだ。さらに、自動修復機能なのか耐久値が減っても気が付かない内に100%に戻っていた。さらにさらに驚く所はまじかる☆プリンセスドレスの布面以外のダメージも同等のダメージ軽減率だったのだ。

 これにより、頭部などの弱点を克服した事になる。


 そして、オタマトーン。

 これは珍妙な音を出す私の相棒でもある。


 私が魔法少女に成り立ての頃からの付き合いで、相棒歴ならルル様より上だ。


 そんなオタマトーンは進化した事により、あらゆるまじかる☆スキルが上限まで強化されのだ。これにより、まじかる☆グリッターネイルやまじかる☆プリズンもカンストし、スキルポイントが余ってしまう事態になってしまった。

 もちろん余らせるのは勿体無いので、ノーマルスキルの強化に回している。


 他にもオタマトーンに新機能が実装されていた。


 それは自動演奏モードだ。


 その機能は好きな曲を入れてボタンひとつで自動で演奏してくれる機能のひとつなのだ。


 ……ちょっと、そこの貴方? 今おもちゃの楽器だと思って馬鹿にしたでしょう? 


 オタマトーンはこうやって使うのよ!


「オタマトーン! オートプレイモード!!」


《まじかる☆エタニティ!》

《まじかる☆グリッターネイル!》

《まじかる☆アクアプリズン!》

《まじかる☆エタニティ!》

《まじかる☆グリッターネイル!》

《まじかる☆アクアプリズン!》 


 録音された私の声に反応して、オタマトーンが自動でまじかる☆スキルが発動させる。


 突然、私の魔法が乱発し、悪魔達は回避すらできずに巻き込まれる。


 まじかる☆エタニティで2体の悪魔を撃破。

 6体は目眩ましと水の牢獄で拘束し、奈々子ちゃんの魔法で止めを刺していく。


 オタマトーンは安価なおもちゃではない。


 凄い楽器なのだ!!


 本命だったリリスは後方で様子を覗っていたようで倒す事は出来なかった。


「何よあれ反則じゃない!」

「リリス、お前も戦え!」

「冗談じゃないわ! 私の主人は貴方じゃないのよ!」


 リリスは神峰に悪態つく。

 そんなリリスを神峰は冷めた目で見下ろす。


「ふん、所詮は道具に過ぎないか……後できっちりと、罰を与える。今は寝ていろ」

「!? きゃあああ!!!!」


 神峰は片手を振り下ろすと、リリスは地面にめり込むように潰れる。普通の人なら圧死しているが、リリスは歯を食いしばり必死に耐えている。悪魔の生命力なら死なずに耐えていられるのだろう。

 

「上位悪魔じゃないと魔法少女は止められないか……ならば!」


 神峰は懐から黒い魔石を取り出す。

 

 あの色は悪魔ベリフェゴールに纏わり付いていた黒い靄と同じ邪悪さを感じる。


 その魔石が黒く輝くと魔法陣が浮かび上がる。


「さぁ、出てこい! 【召喚】グレーターデーモン!」


 魔法陣の中心が真っ黒に染まり、光を一切通さない空間が現れると、浅黒い肌に赤い太い血管が浮き出た筋骨骨頂の悪魔が現れた。


 オーガキングよりも大きく、頭部の角は水牛の角のように曲がっており、背中の翼は大きく広げると、グレーターデーモンの4倍の大きさになった。


「オオオオオ!!!」


 グレーターデーモンの咆哮は空気を震わせ、地面の光の粒子を吹き飛ばす。


「菜々子ちゃん、この悪魔強いよ!」

「はい!」


 私は側面に移動しながら、まじかる☆エタニティを間隔を開けながら放つ、グレーターデーモンはその大きさと裏腹に機敏な動きで私の魔法を回避しながら私を注視するが、菜々子ちゃんの警戒も怠らない。


 菜々子ちゃんの、まじかる☆ブラッディホロウを回避すると、お返しにとグレーターデーモンの右手に渦巻く黒い玉を投げつける。


 その黒い玉は高密度の魔力が詰め込まれているらしく、黒いプラズマを発生させながら菜々子ちゃんに襲いかかるが、私のまじかる☆シールドでそれの進行を逸らす。


 攻撃を逸らす程度なのに、まじかる☆シールドの1枚に亀裂が生じている。最大値まで強化されているのこの威力……。まともに受けたらタダでは済まないかもしれない。


「人族の分際でこの力……実に興味深い……」


 突然流暢な日本語で話すグレーターデーモン。それでも動きを止めずに黒い玉を投げつけてくる。


 黒い玉の威力は高いが、直線的で発動から放つまでのタイムラグがあるので予め予測が出来るのが幸いか、私達は回避しつつ反撃を開始する。


「ガハハハ! 掛かったな!」


 グレーターデーモンの隙きを突いたつもりで後方に周り【怪力】ほのりんパンチをお見舞いさせようとしたが、グレーターデーモンは黒い玉を突然キャンセルし、レーターデーモンの姿が消える。

 

「ほのりんさん後ろです!」


 咄嗟に振り返るが太い腕が私の側面から轟音を立てながら迫り、私の身体にクリーンヒットする。


 バキバキと嫌な音が鳴る。


『まじかる☆プリンセスドレスの耐久値が80%になりました。ダメージ軽減率が減少します』


 ぐっ。左腕がやられた……。これではオタマトーンを構えられない。このままではグレーターデーモンにダメージを与えるのが難しくなる。


 殴られた衝撃で空中を孤を描くように吹き飛ばされ落下していく私の視界に、グレーターデーモンが追い打ちを仕掛ける為に私に迫っているのが見える。


 グレーターデーモンの黒い爪が伸び、私を串刺しにしようとした時、グレーターデーモンの体に棘が無数に生えた太い蔦が絡む。


 その蔦はあのグレーターデーモンの力でもびくともしな程頑丈で、必死に蔦を引き千切ろうとするが、棘がめり込み鋼の皮膚を切り裂く。


「ぐおお! 黒い魔法少女か! 小癪な!」

「少し大人しくしてて下さい。ほのりんさんコレを使って下さい」


 菜々子ちゃんから投げ渡され瓶の色ですぐに効果が分かった。この瓶に入った薬はハイポーションだ。


 私は口で蓋を開け、ハイポーションを飲み干すと、私の左腕から痛みが引き、腕を上げる事が出来た。


「ありがとう菜々子ちゃん!」

「この悪魔は厄介です! 一撃で決めましょう!!」

「うん!」


「「まじかる☆アタッチメント! アメイジングコスモ!!」」


 まじかる☆スキルブックから綺麗な宝石を取り出すと、その小さな宝石の中には銀河が閉じ込められており、虹色の力強い光を放っている。


 私はアメイジングコスモをオタマトーンの口に入れ、奈々子ちゃんのアメイジングコスモはマラカスに吸い込まれていった。


『オタマトーンの形状が変化します』


 オタマトーンの形状が変わり、星を散りばめたような美しい弓が現れる。


 弦を引くと光輝く矢が現れ、鏃に虹色の光が収束する。


 奈々子ちゃんの2つのマラカスは形を変え、カラビーナの形状に変える。


「「銀河まで届け!」」


 2人の力を合わせ、悪魔グレーターデーモンの魔石に当たるように願う。


「「アストラル☆シューティング……スターーー!!」」


 2人の力が合わさり、白く輝くエネルギーと黒く輝くエネルギーが合わさり、一筋の流星がグレーターデーモンの体を貫く。


「うぐっ! ……クソが! こんなクズ魔石で俺様召喚する小僧め……俺様の本来の力ならば、こんな小娘なぞ一捻りで殺せるのだが……」


 恨めしそうに神峰を睨むアークデーモンは、体が徐々に星や三日月に変わり、光の粒子となって消えていった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ