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ギリギリの死闘

誤字脱字報告ありがとうございます。

レイド・竜王討伐戦は大詰めです。

「ぐうう! なんて事を……」


 奈々子ちゃんが放った【アメイジングコスモ】は確かにレティアの背中にある日輪の輪を貫いた。しかし、レティアは咄嗟に身体を捻った為に、日輪の輪を完全に破壊する事は叶わなかった。


「くっ、ごめんなさい! 破壊できませんでした!」

「ううん、助かったよ」


 本当に助かった。まじかる☆シールドの残り1枚に亀裂が入り、あと数秒しか保たなかった。内心、早く撃ってっと叫んでいたのはナイショだ。


「ななちゃんでかした。これで暫くは強力なスキルは発動できない筈だ」


 ルル様が興奮したように私の背中から乗り出す。


「しかし、それも時間の問題でしょう。あれを見てください」


 レティアに視線を送ると、【アメイジングコスモ】の攻撃を受けた場所が、少しずつ再生しているのが分かる。


 再度あれが復活し、先程の強力なスキル【ディメンションフレア】を放たれたら防ぎようがない。


 再生させまいと、私達は反撃に転じようと動き出した時、レティアが怒りの咆哮を放つ。

 すると、近くに飛んでいたドラゴン達が一斉に私達を狙うかのように襲って来た。


「邪魔しないで!」

「数が多過ぎます!!」


 私達を襲って来たドラゴンは30匹を優に超える。様々な色をしたドラゴン達が飛び掛かり、奈々子ちゃんを太い足で鷲掴みにし、上空へと攫って行く。


 間に合え! 【高速移動】!


 【飛行】と【高速移動】は相性が悪い。


 速過ぎて空中制御が不可能なので、本当に真っ直ぐにしか進まない。勿論ブレーキも無いので急には止まれない。

 

 まじかる☆シールドを展開し、奈々子ちゃんを攫った黄色いドラゴンに体当たりを仕掛ける。


「ギャア!!」


 黄色いドラゴンが、奈々子ちゃんの頭を噛じろうとした時、黄色いドラゴンの脇腹に高速で飛来した私の特攻が決まる。


 高速飛行状態で突っ込んだ私は、ドラゴンの体を突き破るとドラゴン内臓をぶちまけた。


「ほのりんさん!」

「ななちゃん!」


 お互いの手を取り合い、抱きしめ合う。


 奈々子ちゃんに怪我は無いみたい……良かったぁ……。

 

 安心したのも束の間、ルル様が私の耳元で焦りの声を上げる。


「2人とも!! 来るぞ!!」

「え……?」


 レティアの日輪の輪の再生が終わり、先程の強力無比のスキル【ディメンションフレア】が発動し、私達を狙って来たのだ。


 奈々子ちゃんを救う為に、僅かな時間を奪われた、その結界、レティアに再生の時間を与えてしまったのだ。


 まじかる☆シールドは間に合う? 間に合わない? 時間が限りなく凝縮して世界が止まっているような錯覚になる。


 ん? あれは?


 私の視界の上、真っ直ぐに降下している生物工学が見える。それはうぐいす色のドラゴンで、レティアの援護に来たのかと思ったが、どうやら様子がおかしい。あのドラゴンの背に見慣れた鎧と槍を構えた人の姿が見えたのだ。


「食らえや! 【蒼龍怒羅豪弐苦そうりゅうドラゴニク】!!」


 園田さんが放った蒼い龍がうねりながらレティアの右目を貫く。


「ギャアアア!!!」


 その攻撃で【ディメンションフレア】の軌道がズレる。


 プラズマを纏わせた攻撃は私達をかすり、分厚い雲を切り裂く。


「ひいいい!! レティア様になんて事を……!! ああああっ……殺されるぅぅぅ! 何してんのよ、馬鹿タケミチ!」

「なんだ? お前達の親玉も名前があるのか? あれを【ドラゴンテイム】にするのは……不可能か」

「馬鹿タケミチ! 竜族の王をテイムするなんて、なんて畏れ多い……馬鹿タケミチ、あんた死ぬわよ!」


 あははは、と園田さんは笑う。


「お前を置いて死ぬなんてできねぇ。死ぬ時は一緒だ」


 園田さんの口から甘い蜜のような言葉を言うと、うぐいす色のドラゴンは目を見開き、大きな目をぱちくりとさせる。


「……タケミチ…………私は死にたくないから馬鹿タケミチだけ死んで!」

「あっ! ひでぇ!?」


 何あのひとりと1匹……。あそこだけ空気が違うけど……まぁいいや、今が絶好のチャンス! これを逃すまい!


「奈々子ちゃん!」

「はい!」


「「まじかる☆アタッチメント! アメイジングコスモ!!」」


 まじかる☆スキルブックから綺麗な宝石を取り出す。その小さな宝石の中には銀河が閉じ込められており、虹色の力強い光を放っている。


 私はオタマトーンの口に入れ、奈々子ちゃんのアメイジングコスモはマラカスに吸い込まれていった。


『オタマトーンの形状が変化します』


 オタマトーンの形状が変わり、星を散りばめたような美しい弓が現れる。


 弦を引くと光輝く矢が現れ、鏃に虹色の光が収束する。


 奈々子ちゃんの2つのマラカスは形を変え、ライフルの形状に変える。


「「銀河まで届け!」」


 2人の力を合わせ、竜王アークバハムート。

 レティアの魔石に当たるように願う。


「「アストラル☆シューティング……スターーー!!」」


 2人の力が合わさり、白く輝くエネルギーと黒く輝くエネルギーが合わさり、ほうき星のようにレティアの体を貫く。


「ばっ……馬鹿な……こんな事が……」


 黒い鱗が徐々に星屑に変わり崩れ落ちていく。


 大きな巨体は真っ逆さまに落下し、城の頂上に落下した。


 私達は後を追うようにレティアの側に降り立つと、煌めく星屑の中から人の姿をしたレティアが立ち上がる。


「まだ生きてる!?」

「待つのだ、ほのりんよ」


 止めを刺そうとオタマトーンを構えると、ルル様に止められた。


 レティアの姿を見ると、身に纏うローブは無く、生まれた姿をしていた。


 顔や腕、足や背中は黒い鱗で覆われているが、女性らしい部分は人の肌のように白く美しく、大きな2つの物が鎮座していた。


「ふう……気分が良い」

「正気に戻ったか?」

「ええ、ありがとう、セントゥーリアの守人よ」

「え? どいうこと?」


 私と奈々子ちゃんは顔を見合わせるが、お互い混乱しているのか、次の言葉が続かない。


「竜王の気の流れがおかしかった。まさかとは思ったが……」

「私が長い年月眠っている間に、何か細工をされたようですね」

「竜王よ、お主を操れるのは神だけだ。これは神が仕掛けた弄れか?」

「……だとしたら、この戦いは試練とはほど遠いもの……だだの殺戮です、この世界もきっと私達が破壊したのでしょう」


 申し訳無さそうに視線を落とす。

 

 レティアは神の神兵と言っていた。今までこうやって世界を破壊してきたのでないか? ルル様のせいで、疑心暗鬼に陥る。何が真実なのか分からない。


「このような無意味な戦いは神は望んでおらず、私達の存在意義を否定するものです」

「存在意義とは?」

「私達は鍵を使った者に試練を与えます。勿論私達と戦う事になりますが、私の真の力、日輪の力は使う事はありませんでした。日輪とは魔を滅する為の力であり、人族に使うモノでありません」


 となるとアレかな? 私達はハードモードでレイド・竜王討伐戦に挑んだって事かな? それは強過ぎる訳だ……。こんなの普通のハンター達がチャレンジしても数分で全滅だよコレ。


 しかし、レティアの話が本当なら、このレイドは私達を殺す為に仕組まれたものであり、そんな事が出来るのは神と呼ばれる存在だけだと云う。


 もし、神と呼ばれる存在が私達を殺そうと画策するのなら、その動機が分からない。


 単純に目障りだから? それとも何か目的が有るのだろうか?


「さて、そろそろお別れのようです」

「竜王よ、さらばだ」

「ええ、セントゥーリアの守人よ……しばしの別れです……」


 竜王レティアは別れを告げると、光の粒子に変わり、魔石だけを残した。


 その魔石は赤色ではなく、黄金に輝く魔石だった。


『竜王アークバハムートの魔石を取得しました』


『EXスキル【魔法少女は願う】を取得しました』


『条件が未達成なので【魔法少女は願う】は発動する事はできません』


 あ、今回は聞き取れた。でも今は、使えないみたいだけど、使用条件って何だろうか?


「ルル様? この【魔法少女は願う】の発動条件ってどうすれば良いの?」

「どうやら、世界の危機が迫った時に使う事が出来るようだ……このスキルが使われないを願うが……」


 世界の危機が迫った時に使えるスキルとは物騒だ。ルル様が言ったように、このスキルを使わずに済めば良いけど。


 竜王レティアの様子がおかしかった事や新たなEXスキルもそうだけど、分からない事だらけでモヤモヤ感が残る。


 ルル様は知っているのか知らないのか、何やら考え事をしているようで私は何度か問い正したが、ルル様はうわの空だ。


 地上ではドラゴン達との戦闘も一段落したようなので、私達は一度、皆と合流する為に地上へと下りる事になった。


 

 

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