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神・鑑定眼

「さぁ、1秒でも長く抗うのです」


 レティアの咆哮が木霊し、ビリビリと肌に伝わる。その驚異的な咆哮を受け、鳥肌が立ち、嫌な汗が背中を伝う。


 レティアの体が急激に変化し、太い四脚が現れ太い尾が生え首は伸びる、鋭い牙と角を生やし凶悪なドラゴンの顔がが現れる。


 そしてエナメル質黒い鱗は美しい光沢を放ち、黒い翼の後には黄金に輝く日輪を背負っていた。


 竜王アークバハムートのレティア。


 その存在は今まで出遭って来たボスモンスターよりも遥かに強く絶望的な存在だった。


 あのデスボールですら足元に及ばない。そんな存在だ。


 レティアの巨体が城の壁を壊し崩壊していく。


 慌てて私と奈々子ちゃんは【飛行】を使用し、上空へと避難する。


「……これは……」

「いつの間にドラゴン達が?」


 城の上空を覆うドラゴンの群れ。

 その数は数百匹はいるかもしれない。


 ふと別行動をしている仲間達が気になり、城の外で待機しているマイクさん達を確認すると、眼下に他のドラゴンより一際大きい赤いドラゴンが地上に降り立ち、ケルビンさんと対峙しているのが見えた。


 救援に向かいたいが、崩れた城から光弾が私達に向って高速で飛来して来る。


「奈々子ちゃん避けて!」

「――っ!!」


 既の所で光弾を回避し、レティアがいた崩れた城の上層を見据えると、崩れた城の瓦礫と砂埃の中から黒い翼が伸び、黄金に輝く日輪の輪が浮かび上がる。


「どちらかが滅びるまで戦うのが試練。その命、最後まで燃やすがいい」


 レティアは床を蹴り、その巨体に見合わぬ速度で私達に向かって来る。


 咄嗟にまじかる☆シールドで防御をするが、レティアの体当たりをもろに受け吹き飛ばされる。


「ほのりんさん!!」


「ぐううう!!!」


 強い!! まじかる☆シールドが1枚砕けた。


 まるでタンクローリーに突っ込まれた気分だ。


「まじかる☆レイディアントムーン!!」


 奈々子ちゃんの魔法がレティアに直撃するが、黒い鱗は1枚も光の粒子に変わる事は無かった。


「硬い……でも諦めない!」


 奈々子ちゃんは2本のマラカスを操り、まじかる☆レイディアントムーンを交互に繰り出す。


 レティアはそんな奈々子ちゃん攻撃を煩わしいと感じたのか、私から奈々子ちゃんへと標的を変える。


 背後の日輪の輪が回転し強く輝き出す。


 幾何学模様の魔法陣が無数に展開され、光弾が奈々子ちゃん目掛けで放たれる。


 奈々子ちゃんのまじかる☆スキルは防御系と回復系のスキルは一切無い。その代わり、奈々子ちゃんのまじかる☆スキルは攻撃系とデバフ系のスキルを取得しているので、私とは戦闘スタイルが全く違うのだ。

 

 奈々子ちゃんは空中で反転し、光弾から回避しようとするが、光弾の機動が変わる。


「追尾するタイプですかっ!」


 無数の光弾が奈々子ちゃんにの背後を追う。


 高速飛行の中、まじかる☆レイディアントムーンを当て、光弾を打ち消していく。


 逃げる奈々子ちゃんにの正面に突如としてレティアが現れ、大きな口を開けて噛みつこうとする。


「させない!!」


 私はレティアの横っ面を思いっきり殴りつける。

 【怪力】ほのりんパンチを受けたレティアの頬の鱗が数枚剥がれ落ち、黒い巨体が一瞬ぐらつく。


「やっ!」


 奈々子ちゃんはレティアの体を縫うように背後に回ると、追尾していた光弾がレティアの体に着弾し激しい爆音が空に鳴り響く。


「ななちゃん大丈夫?」

「ええ、助かりました」


 レティアはあんな攻撃じゃ倒せない。現に黒煙の中からは禍々しいオーラが溢れ出している。


「この私に傷をつけるとは……。しかし、人の身では決して私に勝てぬと悟がよい」

「気をつけろほのりん! 竜王の力が増しているぞ!」


 背中にしがみついるルル様が、警告を発する。


 私の目でも分かるくらい、レティアの力が膨張しているのが分かる。


 これが竜王アークバハムートの力なのか、正直、勝てるか分からなくなってきた。


「ほのりん、ななちゃんよ、焦るでない。今は回避に専念し竜王の弱点を探るのだ」

「長期戦は不利そうだね」

「ですね、竜王アークバハムートは想像を超えた力を持っていましたが、さらに力が強くなっているのを感じます。あの力はどこから湧いているのでしょうか?」

「恐らくだが……クラス【皇帝】のスキルかもしれぬ……」

「何か分かるの?」

「我の真・鑑定眼でも詳細は分からんが、【皇帝】のスキルが関係していそうだ。それが分かればな突破口が開けるやもしれん」

 

 大気が不安定になり、太陽を隠すように分厚い雲が覆い始め、太陽の陽射しを遮ると黒い雲は今にも大粒の雨を降らしそうだ。

 

「私は王、竜族の誇り高き王。神より授かりし力を受けてみよ【ディメンションフレア】」


 背中の日輪の輪が大きく広がり、太陽のように輝く。


「!? ななちゃん! 私の背後に!」

「っ、はい!!」

「まじかる☆シールド全開!! スキルポイント全振りぃぃいい!!!」


『まじかる☆シールドが〈☆☆☆☆☆〉→〈★★★☆☆〉にレベルアップしました』


 竜王アークバハムート、レティアが力を収束したエネルギーの塊はレーザー砲のように発射される。


 その力はプラズマを放ち、近くにいたドラゴン達を巻き込みながら突き進む。


 強化されたまじかる☆シールドは、私達を覆うように包み込み、【ディメンションフレア】の直撃を受ける。


 【ディメンションフレア】はまじかる☆シールドに当ると表面に弾かれ四散する。


 その膨大なエネルギーは大地をえぐり、他のドラゴン達を巻き込んでいく。


「ぐぅうううう……!!」

「ほのりんよ、月のパールは何処にある?」


 月のパール? あ、まだルル様に捧げて無かった。って、ちょっと何処触ってるのよ!


 ルル様が私の身体を弄り、月のパールを探し出す。


「そこじゃない! そこは胸だから! 月のパールはいちごポケットの中!」

「ルル様! 私が代わりに取ります!」


 フレアスカートの苺の刺繍には小さなポケットが付いている。ケルビンさんとの戦闘の後に、ルル様に渡しそびれたナヴァラトナの宝石だ。


 奈々子ちゃんがポケットから月のパールを探し当てると、ルル様に手渡す。


「おお、これで7つの宝石は集まった。よし、我の真・鑑定眼がさらに強化され、【神・鑑定眼】になったぞ!! 早速、【神・鑑定眼】!!」


 ルル様の瞳の輝きがさらに増し、瞳の周りに五芒星が浮かび上がる。


「見えた! 【皇帝】のクラスは恐ろしいな……。あらゆるステータスを耐性を向上させ、自己再生能力まである。さらに魔力は背後の日輪の輪から無限に供給している」

「ルル様! それでは私達に勝ち目が無いのでしょうか? ほのりんさんの、まじかる☆シールドも限界が近いです!」


 奈々子ちゃんが言っている通り、既にまじかる☆シールドは1枚破壊され、残り2枚。その2枚目もヒビが入り、もう直ぐ限界を迎える。


「やつの弱点は背中の日輪の輪だ、あれを破壊すれば魔力を供給できなくなる」


 弱点を知れたのは良いけど、この危機的状況を打破するには八方塞がりである。


 まじかる☆シールドが破壊されたり解除するようものなら、【ディメンションフレア】で即死かもしれない。

 攻撃に転じられるチャンスが無いのだ。


「2枚目が割れた! 後1枚しか無い!」

「私が【アメイジングコスモ】で狙います!」

「お願い!」


 奈々子ちゃんは、まじかる☆スキルブックからアメイジングコスモを取り出し、虹色に輝く銀河が収められた宝石がマラカスに取り込まれる。


『マジカルマラカスが形態変化します』


 2つのマラカスは形を変え、カラビーナに似たライフルの形状に変える。


 スコープを覗き込み、竜王アークバハムート、レティアの背後に見える黄金に輝く日輪の輪に照準を定める。


「銀河まで届け!」


 開放の力、願いの力……今、解き放つ。


「アストラル☆シューティング……スターーー!!」


 静かに、それでも鋭く力強い一筋の光は真っ直ぐにレティアの背後の日輪の輪を貫いた。



ナヴァラトナも残す事あと2つ

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