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求め会う2人

念の為R15な展開があります。

詳しく表現しちゃうと、ダメみたいなので内容は割愛で。

「マイク大丈夫? ちょっと呑み過ぎなんじゃない?」


 ホテル前に到着すると、メアリーさんが出迎えてくれた。

 マイクさんは顔には出ていないが明らかに普段と様子がおかしく、その言動からかなり泥酔しているのが分かったので、私が予めメアリーさんに連絡をしていたのだ。


 タクシーからマイクさんを下ろすと、私に体重を掛けるように凭れ掛かる。

 魔法少女の姿なので、大した重さは感じない。

 マイクさんの腰のベルトを掴み、しっかりと支え、メアリーさんと共にマイクさんが寝泊まりしている部屋まで連れて行く。


「珍しいわね、マイクがこんなにも呑んで来るなんて……そんなに美味しいお酒や料理を食べて来たの?」

「ただの日本の大衆居酒屋です」


 ひとつのテーブルに複数の客が同席するタイプだったので、自然と顔と名前も知らない隣同士が仲良くなったりする。

 そんな大衆居酒屋で、少しトラブルに巻き込まれたが、酒が入って来ると遠慮していた周りの人達と自然に会話する事になった。

 私を魔法少女ほのりんと知っていて、握手や一緒に写真を強請る程度なら私は対応した。

 マイクさんの場合は、日本語が話せると分かった途端、大勢の人から質問攻めにあっていた。

 グリフィスダンジョンの事や、合同合宿の事、強敵との戦闘、普段聞けない話や動画では伝え切れない話を聞いた客達は、それはそれは大盛り上がり。

 注文をしていないお酒や料理が次々と運ばれて来るので、カウンター席からテーブル席に移動する事になった。

 その後、テーブルの上には食べ切れない料理で溢れかえった。

 料金は最初に注文したお酒とツマミ代だけだったので、追加で来たお酒や料理は他の客が注文した物がサービスとして提供された物だと思う。

 少し有名になれた事で得した瞬間だった。


「相当楽しかったようね」

「そうですね、普段のマイクさんはいつもピリピリしてる感じでしたけど、今日は違いました」

「……そう。そっか。なら、少しマイクを見てて上げてくれない?」

「私がですか?」

「ええ、悔しいけど貴女が適任だから」


 メアリーさんはそう言うと、マイクさんをベットに寝かせ、手を振りながら部屋から出て行く。


 メアリーさんはマイクさんの事を好きだったのかな……? 本人の口から聞くことはできなかったけど、あの口振りや雰囲気から想像するに、気はあったと思う。

 マイクさんイケメンだし強いし、側にいれば惹かれるよね。


 お酒臭いマイクさんは静かに寝息を立てているので、そっと布団を掛けてあげる。

 時刻を見ると22時を回っており、明日のバイトの事も考えると、そろそろ帰宅した方がいい。

 さて、帰ろうかなと踵を返そうとすると、突然、私の左手を捕まれベットに引きずり込まれる。


「マ、マイクさん?」

「……」


 寝ぼけてるのかな? ちょっと驚いたけど……、がっつり包み込まれるように抱かれてしまったので抜け出せない……。


「行かないでくれ」

「……行きませんよ」

「変身を解いてくれないか?」


 私は変身を解くと、布団の中に星の欠片が溢れ消えていく。


 この展開ってアレよね……? 出来ればシャワー浴びたいんですけど……っ!? ひゃっ!?!


 マイクさんの手が私の太腿に伸びる。


「あの〜、マイクさん酔ってますよね?」

「少し呑み過ぎたようだ」

「確認なのですが、これからする事はお酒の勢いなのでしょうか? それとも愛がある行為なのでしょうか?」

「ああ、俺は穂華を愛してる、あの映像を見た日から、そして、共に戦っていく内にその気持ちは偽りではないと分かった。今一度言おう、マジカルガール、いや……穂華が欲しい」


 ……そう言われてしまっては拒否はできない。

 寧ろ私もマイクさんが……その……好きだし……? あぁもう……思考が追いつかなくなってくるよ。


 マイクさんが私を求めるように、私もマイクさんを求めている。

 マイクさんみたいな素敵な人とお付き合いしたいと思っていたけど、自分の理想の高さが仇となって今の今まで男性とお付き合いした事もないし、そういった経験も勿論無い。


 正直、この後の展開はどうしたら良いか分からないので、経験があると思われるマイクさんにリードして貰う形になるだろう。


 こういう時によって酔えないなんて、不便なスキルだな〜。酔った勢いでなんとかなるとは思えないけど、今よりマシな気分だったかもしれない。

 今は不安が勝ってる感じだけど、後はなるようになると信じたい。


 頭の中でぐるぐるしてる間に事は進み、長い長い夜が続いた。



 翌朝、現時刻は午前4時を回った所だ。

 空はほんの少し青くなってきており、後30分もすれば日が出て来るだろう。


 ふと顔を横に向けると、私の隣には美しい裸体の男性が横たわっている。

 美しい顔立ちに、ホワイトブロンドの髪はまるでアニメのキャラクターで登場するような男性だ。性格も良くて、とても強く、その……鍛え抜かれた身体が凄かった。

 他のモノと比べるモノが無いのでナニが凄いとかは説明できないけど、世の中のカップルは凄い事をしているんだな少し関心してしまった。

 

 そんな事より、本日18時にレイド・竜王討伐戦が始まる。それまでの時間は有意義に過ごす予定だ。


 まずは、喫茶しぐれのモーニングの準備をしてバイトを始める。

 バイトが終わったら奈々子ちゃんとランチに行って、買い物を楽しむつもり。

 死ぬかもしれないけど、やりたい事は今の内に済ませておかないと、レイドをクリアした後が忙しい。きっと遊ぶ暇すら無くなるだろう。


 そんな訳で、そっとベットから這い出すと、床に落ちた服や下着を回収していく。


「痛ぅ……」


 まだ異物が入った感覚が残っていて痛い。

後でポーションでも飲んでおこう。


 洗面所にやって来ると、秘密の呪文を唱えて魔法少女へと変身し、まじかる☆スキルブックから妖精のケープを取り出して羽織る。

 すると鏡に映った私は透明になり、その姿は私でも視認する事は不可能だった。

 スキル【気配遮断・小】にスキルポイントを2段階分振り、【気配遮断・高】に強化を済ませる。

 マイクさんには悪いけど、咲さんに何も言わずに朝帰りしちゃうので、なるべく早く喫茶しぐれに帰る必要がある。

 まぁ、ホテルから歩いて数分の所にあるんだけどね、折角だからスキルの効果も確かめたいので、このままホテルから離脱させてもらいます。


 マイクさんが寝ている事を確認し、そっと客室の扉を開くとホテルのロビーまで【忍び足】を発動させてコソコソと歩く。まるで忍者みたいだ。


 ホテルの出口に向かい外へ出ると、ブロンドヘアで眼鏡を掛けた女性が立っていた。

 彼女は確か……カナリア=フレーマーさんだ。

 久し振りに見た彼女は誰かと話しているようで、そっと2人の横を通り過ぎようとした時、話している内容が少し耳に入って来ると、思わず私は足を止めてしまった。


「魔法少女はマイクと寝たの?」

「ええ、2人はとうとう恋仲になったようですよ」

「なら、ナヴァラトナのひとつは確実に生まれているわね」


 え? 今、ナヴァラトナって……。


 カナリアさんと話している謎の女性は、カナリアさんより明るいブロンドヘアで、柔らかいウェーブが特徴だった。

 目は赤く、まるでモンスターのように輝いている。

 私の鼓動が早くなる。


 普段の私なら気が付かなったかも知れないけど、今の私は魔法少女に変身しているので、何となくこの謎の女性からモンスターの気配を感じる。しかも、かなり強い……!


「ケルビンを最初に充てがおうとしましたが、どうやらマイクが好みだったらしく、上手くいきませんでした」

「ま、しょうがないわね。別のプランで行くから気にしないで」

「はい」


 頭の整理が追い付かない。

 この人達は何の事を話しているの? ケルビンさん? マイクさん? 私の事? これって聞いちゃマズいやつじゃ……。


 動くに動けなくなった私は、息を殺すしか選択幅はなく、彼女達の会話に耳を傾ける。


「しばらく私は富士の研究所に籠もるから、貴女はそのまま監視をよろしく」

「? 富士ですか?」

「そうよ。大詰めの仕事が残ってるのよ」

「そうですか。分かりました、このまま任務を続行します」


 謎の女性は微笑むと、ビルとビルの間に消えて行き、カナリアさんはホテルへと戻って行く。


 何故、街の中にモンスターが? 流暢に言葉を話すモンスターはダンジョンに存在するが、ああやって人とコミュニケーションを取り、人と変わらない生活を送っているなん信じられない。

 しかもあの会話の内容、モンスターとChrome Tempestは繋がっている? 富士に何かあるの? まさか、私が潜入しようとしている工場と何か関係が? それよりも早くルル様と奈々子ちゃんに相談しないと! 


 私は足早に喫茶しぐれに向かい、スマホで奈々子ちゃんに連絡を取った。





やっと結ばれた2人に新たな影が…

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