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ギミック満載魔法人形

GW楽しんでますか? 私は食っちゃ寝生活です。

そんな訳で、本日2回目の更新です。どうぞ。

 数時間粘り、ミラージュパペットを500体以上狩ってやっとスキルクリスタル〈認識阻害〉をドロップした。

 

 ドロップ率が低い事は知っていたけど、私の運でも中々落ちないとなると、レアリティが高いスキルクリスタルなのかもしれない。

 折角だし、昨日、周防院さんとじゃんけんで勝ち取ったスキルクリスタル〈気配遮断・小〉も、ついでに使ってスキルを取得しちゃおう。


『スキル【気配遮断・小】を取得しました』

『スキル【認識阻害】を取得しました。【認識阻害】が、まじかる☆アタッチメント【怪盗マスク】に変化しました』


 おや? 久しぶりの、まじかる☆アタッチメントだ。

 怪盗マスクって目元を隠すタイプのアレかな? それとも白塗りの不気味な仮面かしら?

 

 まじかる☆スキルブックから怪盗マスクを取り出すと、目元を隠すタイプのマスクが出てきた。

 マスクのデザインは陶器のように白く光沢があり、綺羅びやかな装飾が施されているのが美しく、特に目を惹くのが目元の蝶のデザインだろう。

 その蝶の羽は細かい宝石が散りばめられており、さらに生きているかのように羽がゆっくりと動いている。

 身につけずに部屋に飾っておくのも良いかもしれない。


「それがスキルなのか?」


 マイクさんが不思議そうに、私の手の上に乗っているマスクを見つめている。


「うーん、【認識阻害】のスキルを取得したのですけど、稀にクラス【魔法少女】の影響で効果が変わるスキルがあるんです」


 例えると初級水撃魔法のスキルを取得した時に、まじかる☆アクアプリズンに変化した。

 他にも別の方法でスキルを取得する事が出来るけど、説明は割愛する。


「ルル様、この怪盗マスクの効果って認識阻害と、どう違うの?」


 スキルとして【認識阻害】が発動してくれるだけで良いので、いちいち怪盗マスクを使わないといけないのは、少々……結構手間だ。


「怪盗マスクは【認識阻害】の上位互換だと思って良い、怪盗マスクを見に着ける事によって【魔法少女は身バレしない】が強化され、一度正体がバレた相手でも、ほのりんをほのりんとして認識する事ができなくなる。試しにマイクの前で身に着けてみよ」

「ルル様の説明はこんな感じらしいから、私の事をいきなり攻撃しないで下さいね」

「あぁ分かった」


 私はそっと怪盗マスクを顔に近づけると、吸い付くように怪盗マスクが肌に密着する。


「怪盗魔法少女ほのりん☆ミ……なんちゃって」

「凄いな、誰だが分からなかった」

「ほのりんが正体をバラさなければ気づかれる事はない。これで忍び込む事が出来るな」

「どこかに潜入するのか?」

「あー、例の魔道具の工場を調べに」


 日本トータルバイオミィテイクスの子会社が運営する工場だ。

 富士にその工場は存在し、父が経営する会社、ヒュージマテリアルジャパンの技術提供を受けた場所だ。

 ATLANTISや館林さんの情報提供もあって、その工場が一番怪しいと分かった。


「俺も行こうか?」

「ごめんさい、私ひとりの方が動きやすいの」

「そうか」


 菜々子ちゃんも行くと言っていたけど、やはりスキルの件など条件が少し厳しい、レイド・竜王討伐戦が終わったら直ぐにでも潜入し、危険な物が存在するなら、その製造を止める必要がある。

 そして、他人の敷地に許可なく入る以上、不法侵入という犯罪なのだ。リスクを負うのは私ひとりの方が良いのだ。


 さて、必要なスキルは取得したし、71層のボスを倒して帰るだけだ。

 現在時刻は昼からミラージュパペットを狩っていたこともあり、すでに19時を回っている。

 お腹が空いたので、ボスを倒したら夕食を食べたい。


「マイクさん、71層のボスを倒したら夕食を食べに行きませんか?」

「ああ、丁度何を食べようか迷っていたところだ」

「じゃ、決まりですね。私が決めていいですか?」

「頼む」


 マイクさんの好みってなんだろうね、日本食も好きみたいけど、マイクさんが日本食を食べているところは伊豆の旅館でしか見たことがない。

 食べていた物は、刺し身や天ぷらと定番メニューだったので、折角なのでマイクさんが食べたことが無いであろう日本食を食べてもらいたい。


 71層の祭壇前でキャンプをしていた私たちは準備を整える。

 今回は私とマイクさん、そしてルル様しかいないので厳しい戦いとなる事が予想されるので、アイテムやスキルは出し惜しみするつもりは無い。

 むしろ、72層からは菜々子ちゃんと2人で攻略するつもりでいるのだ。

 80層の先に進む為にはEXクラス保持者が2人必要なので、どうしても菜々子ちゃんの協力が必要なのだ。

 合同合宿に参加したメンバーを連れていけば、ダンジョンの攻略速度を落とさず直ぐにでも80層に行けるかもしれないけど、生憎とそこまでダンジョン攻略は急いでいないのだ。



 祭壇に近づくと紅いゲートが開き、モンスターが現れる。


「見たことがないモンスターだね」

「しかも1体か、強敵の可能性があるな」


 見た目は機械仕掛けの騎士だろうか? スチームパンクなデザインで見た目が格好良い。


「やつの名はスチームギア・ナイト。様々なギミックを搭載した魔法人形だな」

「魔法人形?」

「魔石を動力源とした機械仕掛けのモンスターだ」


 へー、そんなモンスターもいるんだ。

 今まで出てきたモンスターの中で、完全に機械で出来たモンスターは初めてかもしれない。

 機械と生命体が合体したようなマシンウルフなるモンスターが出てきたけど、目の前にいるスチームギア・ナイトは完全に機械で出来ていると分かる。


 スチームギア・ナイトが左手に装備しているカイトシールドを構える。

 いざ戦闘開始! と思った瞬間、カイトシールドの表面から火炎放射器のように私達に向かって炎が伸びてきた。

 慌てて回避するも、ルル様が一瞬反応が遅れたのか尻尾の先端を焦がす。


「おわあああ! 熱っ! あああ、我の愛しい尻尾が……」


 尻尾の先端程度で済んで良かったけど、意表を突く攻撃は非常に危険だね。

 ギミックが多いモンスターらしいから、盾以外にも武器を隠し持っていそう。

 右手のロングソードも何か特殊効果が付与されているかもしれないし、もしかしたら全身に色々なギミックが隠されているかもしれない。

 と、なると迂闊に近づくのは危険かもしれない。


「俺が前に出る。援護を頼む」

「分かりました」


 マイクさんが鞘を強く握り姿勢を低くすると、スチームギア・ナイトに向かって肉迫する。

 マイクさんの横薙ぎの一閃は盾に防がれ、金属の甲高い音が響く。

 ロングソードが振り下ろされ、頭から身体を両断しようとするが、風のようにゆらりと半歩横にズレて回避する。

 振り下ろされたロングソードが空を切り、地面に激突すると、硬い床が剣を弾き、その反動で剣が跳ね上ると同時に、ロングソードの刃が水平になる。


「ちっ!」


 スチームギア・ナイトはそのまま切り払うと、マイクさんに凶刃が迫る。


「まじかる☆シールド!!」


 強化されたまじかる☆シールド〈☆☆☆☆☆〉は、シールドが砕ける事無く、ロングソードを受け止める。


「はぁっ! 【四之太刀・桜花】!!」


 まじかる☆シールドがスチームギア・ナイトの攻撃を防いだ事を確認すると、マイクさんはすかさず強力なスキルを発動させる。

 桜が舞うエフェクトが発生し、マイクさんの斬撃が無数の刃となって襲いかかる。

 スチールギア・ナイトの右腕は3等分に斬り落とされ、胸と、右股、頭部に深い切込みが入る。


「ギギギ……」


 スチールギア・ナイトは倒れる事なく、片目だけになった目を赤く光らせ、マイクさんの正面に立つ。


「こいつ、まだ倒れないか……!?」

「ギギギ……ギガーー!!」


 スチールギア・ナイトの腹部が開き、その開口部から圧縮されたエネルギーが、至近距離からマイクさんを襲うが……。


「…………? マジカルガールの盾か?」


 私のまじかる☆シールドは、ロングソードの一撃を受けても健在だったので、効果時間が切れるまで対象者を守る効果が持続していた。

 表面が半透明で虹色のまじかる☆シールドは、至近距離からはなたれた攻撃を、2枚中、1枚を破壊する程度でダメージを抑えていたのだ。


 スチールギア・ナイトの攻撃後の硬直を見逃さず、私は魔法を唱える。


「悪い機械仕掛けの魔法人形さん! 成敗します! まじかる☆エタニティー!!!」


 まじかる☆スターライトがジャイアントクォーツゴーレムの魔石を取得した事によって成長し、まじかる☆エタニティに変化した。

 その魔法は遥かにまじかる☆スターライトより威力が上がっており、まるで小銀河のように輝き、辺りを覆い尽くす。

 ひとつひとつの星の輝きは、もの凄い破壊力を持っており、小さな星がスチールギア・ナイトに触れると、小爆発を起こし、爆発した所が大きく抉れ、光の粒子へと変化させる。

 まるで花火のようパパパっと花が咲くように爆発すると、スチールギア・ナイトは金属片だけになり、光の粒子へと変わっていく。


「ふう。やっぱり威力が高くて使い所が難しいなー」


 まじかる☆スターライトは対人には効果がないと証明されているが、まじかる☆エタニティは未検証だ。

 正直な話、あの威力を人に向けて撃つのが怖くて試していない。

 撃ったら、先程のスチールギア・ナイトのように、跡形も無く消し飛んでしまっては治療も生き返らせる事も難しいからである。


 マイクさんに当たらず、ホッと胸を撫で下ろしていると、マイクさんがスキルクリスタルを拾い上げて私の下へやってくる。


「これを受け取れ」

「いいんですか?」

「必要な物じゃないのか? ルル、鑑定してみてくれ」

「良かろう。……まじかる☆シールドの強化が出来るな。使わないと損だろう」


 いつの間にか、マイクさんがルル様の事を呼び捨てにしている仲になっているのが気になる……。

 ルル様も特に変わった様子もないので、2人はそれ程にも仲良くたったと私は解釈する。


 なら、マイクさんのお言葉に甘えて、スキルクリスタルを使用しますか。


 『クラス【魔法少女】の影響により【硬化】が変化し、まじかる☆シールドのシールド枚数が2枚から3枚に変化しました』


 お〜、さらに防御力アップ! 防御面で不安がある私にとっては、有り難いパワーアップだ。

 今後の戦闘は激化すると予想されるので、防御力が上がるのは大歓迎である。


 さてさて〜、次は宝箱の中身だ〜♪


 スチーギア・ナイトからの魔石からは特に取得出来るスキルは無く、スキルポイントが100ポイント貰える適度のモンスターだった。

 その事を踏まえると、このモンスターはモブクラスであり、今後大量に出て来る可能性を考慮する必要がある。

 ユグドラシルの塔のモンスターの傾向から見ると、今後、モブクラスでもボス並に強いモンスターがわんさか出て来ると思うと、かなり憂鬱だ。それでも、終盤が見えた事による楽しみが私を後押しをする。


 ユグドラシルの塔の先、100層に待ち受ける物とは?


 未知が私を待っている! そんな事を想いつつ、胸をときめかせながら、目の前にある宝箱に触れるのであった。



誤字脱字修正感謝です。

何度も確認してるのですが、本当に申し訳ないです。

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