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真夏の夜の……

本日2回目の更新。

お休みの人はいっぱい読みたい筈!

 渋谷ダンジョン70層、正確にはユグドラシルの塔70層を攻略が完了した。

 それと同時に合同合宿は終了し、明後日にはレイド・竜王討伐戦に挑戦する事になった。

 末留さんのレベルも70を越え、マイクさんに至ってはレベル80になったそうだ。

 ユグドラシルの塔を攻略しつつ、宝箱から手に入る装備品や素材で装備を整え、レイドに備えた。


 あ、そうそう私の魔法少女専用クエスト『100億円を稼ぐ』を、とうとうクリアした。

 100億円なんて、すぐに稼げると思いきや、オークションでも高値がつかず、アイテムや素材の店頭買取価格も下落傾向が続いていたのも原因だった。

 そして、クエストをクリアした事によって魔法少女のランクがカンストし、とうとう成長が止まってしまった。


 レベル なし

 称号 ナヴァトラナを集める者

 クラス 魔法少女〈★★★★☆→★★★★★〉

 ひっとぽいんと ★★★☆☆→★★★★☆

 まじかるぽいんと ★★★★★

 ぱわー ★★★★☆→★★★★★

 たいりょく ★★★☆☆→★★★★☆

 まじかる ★★★★★

 はやさ ★★★★☆→★★★★★

 うん ★★★★☆→★★★★★


 ヒットポイントと体力がMAXじゃないのが気になるけど、これで私も最強? になった。

 後は強化出来るモノと言えば、まじかる☆スキルやノーマルスキルを強化する事が出来る。

 先日大半のスキルポイントを消費し、まじかる☆ドレスアップ〈★★★★★〉にしてカンストが完了した。

 他にまじかる☆スキルが強化出来るのは、


 まじかる☆シールド〈☆☆☆☆〉

 まじかる☆グリッターネイル〈☆☆☆〉

 まじかる☆アクアプリズン〈☆☆〉

 まじかる☆ヒーリングシャワー〈☆☆☆〉


 まじかる☆スターライトはジャイアントクォーツゴーレムの魔石を取り込んで変化し、まじかる☆エタニティに変化した。

 まじかる☆エタニティは〈★〉になっており、これ以上強化する事は叶わなかった。


 アライアンスパーティーでダンジョンを攻略しているせいか、魔石の取得に偏りがあり、新たなスキルを入手する頻度が限りなく低くなってしまった。

 レイド・竜王討伐戦が終わったら、ソロで……いや、奈々子ちゃんを連れて魔石狩りなんて楽しいかもしれない。

 私と奈々子ちゃんの魔石取得は連動しているらしく、均等にスキルポイントが振られる事が分かっている。

 奈々子ちゃんのスキルを強化する為にも、2人でダンジョン潜る事も視野に入れておこう。うん、そうしよう。


 ダンジョンから帰還後、アイテムの分配が行われるのは恒例だ。

 クラスチェンジオーブについては、全員希望は出さずにオークションで売却する流れになっている。

 みんなが就いているクラスはどれも強力なクラスで今更クラスチェンジをする人がいないからだ。

 その代わりに、装備品やスキルクリスタルは壮絶な取り合い合戦になる。

 じゃんけんやクジ、はたまたビンゴ大会……疲労がピークに達っした私達の最後の真剣勝負。

 私が狙っているのは、スキルクリスタル〈気配遮断・小〉だ。

 そして、このスキルクリスタルを私以外に欲しているのが、周防院さんだった。

 周防院さんの戦闘スタイルは近接戦闘に特化しているので、敵に察知される前に近付きたいのだろう。

 周防院さんが強化されるのは喜ばしいけど、私にも引けない理由がある、それは、私が持つスキル【忍び足】と組み合わせて隠密行動をする為だ。

 そう私は、このレイドが終わり次第、父が技術提供したと言われている、とある施設に潜入する事を計画している。

 先日ATLANTISが、ある情報を提供してくれた。

 それは、父の会社が日本トータルバイオミィテイクスと呼ばれる会社に技術提供し、合同で商品を開発、製造している施設がある事が分かった。

 その施設は日本トータルバイオミィテイクスの子会社で、表向きはダンジョン産の素材を加工した新素材の開発製造、ハンター用の武器防具の素材加工などを行い、それを企業に卸しているようだ。

 しかし、ネットによる噂だと、その施設には規模のわりに社員や派遣、パートアルバイトが全然いないらしい。

 さらに武装したハンターが周囲を警備し、物々しい雰囲気を放っているのだとか。

 さらに館林俊たてばやししゅんさんの調査によると、毎日のように大量の魔石がその施設に運び込まれているらしい。

 そんな訳で、どうしてもその怪しい施設に潜入調査したいので、スキルクリスタル〈気配遮断〉が欲しいのだ。


「ほのりんさん、じゃんけん3本勝負で決めましょう」

「むむむ! じゃんけんか……受けてたつ!」


 周防院さんが挑んで来た勝負はじゃんけんだ。

 シンプルが故に奥から深く、技術と駆け引きが重要になってくる。


「手加減無用。本気で来てください」

「勿論だとも!」

「ほのりんよ、頑張るのだ」


 ルル様も声援を送ってくれる。

 おしっ! いくぞー!!


「「じゃんけん……ぽんっ!!」」


 同時に手を出した瞬間、周防院さんの腕に電気が流れ、出した手が一瞬で変わった。


「はあああ!?」

「ふふふ、私の勝ちですね♪」


 ず、するい! そんなの有り? 絶対スキル使ったじゃん、今のどうやってやったのよ。


 私も手を出すまで、グーチョキパーは変えない。出した瞬間に出す。

 しかし、周防院さんは私が出した手を見た瞬間に腕に電気を流し、咄嗟に出した手を無理やり変えて私より強い手を出してくるのだ。

 ……そう来るなら私にも考えがあるわ!


 そして2戦目のじゃんけんが始まる。


「「じゃんけん……ぽんっ!!」」


 コンマ数秒、私の手が2回変わる。

 周防院さんが私の手を見て対応した手を出した瞬間に、私は【高速移動】を発動して周防院さんの出した手より強い手を出す。


「フフフ。私を本気にさせてしまいましたね」

「くっ……次こそは!!」

「1勝1敗、次で決ますよ!」


 泣いても笑ってもこれが最後。

 真剣勝負の結果が出る。


「「じゃんけん……ポンっ!!!」」


 私は手を出す前から【高速移動】でグーチョキパーをランダムで出しながら腕を振って出す。

 周防院さんの電気を流して手を変える手法を完璧に封殺し、周防院さんの出した手より、強い手を瞬時に出す。反則級の後出しじゃんけんだ。


「私の勝ちですね」

「完敗です……」


 そんな勝負を見ていた奈々子ちゃんは、「大人げないですね」と呟いていた。




 喫茶しぐれに帰ると、まひるちゃんが出迎えてくれた。

 夜21時を回っているので、まひるちゃんの目はしょぼしょぼしている。


「ほのかおねえちゃん、おかえりなさい」

「まひるちゃんただいま。お土産にシュークリーム買ってきたから、明日のオヤツに食べてね」

「わーい! やったー!」


 まひるちゃんはシュークリームが入った箱を持つと駆け足でリビングの方へと向かって行った。


 風呂に入り汚れと疲れを落とし、風呂から出ると、熱く火照った身体を冷やす為にベランダへとやって来た。


「ここにいたの」


 振り返ると咲さんがリビングの窓から顔を覗かせていた。


「少し風に当たっていました」

「お茶持ってくるわ」


 しばらくすると、麦茶を持った咲さんが、ベランダに置かれたテーブルの上にコップを置き、麦茶を注ぐと私に差し出す。


「ありがとうございます」


 コップを受け取ると、ひんやり冷たい感触が手に伝わり、熱帯夜の暑い空気を和ませてくれる。

 咲さんは私の顔をジッと見た後に、何か私に話そうか迷う素振りを見せる。

 そんな咲さんを見かねて、私から話題を振る事にした。


「明後日は帰りが遅くなるかもしれないです」

「……それはレイドダンジョンに行くから?」

「っ!?」


 ドキっと心音が跳ね上がる。

 何故、咲さんがレイドダンジョンの事を? いや、連日テレビでもChrome Tempestが参加しているアライアンスパーティーが、レイドダンジョンに挑戦する事を伝えている。

 ただ、咲さんが今言ったように、私がレイドダンジョンに行く事を知っているかのような口ぶりだった。


「……どうして私がレイドダンジョンに行くと思ったの?」

「穂華はダンジョンの低層で活動しているとか、魔法少女のポーターをやっているって言っていたけど、あれ嘘でしょ?」


 何かしらの確信があって言っているかもしれない。なら、私もこれ以上、お世話になっている咲に隠し事をするのは止めよう。


「……何で分かったんですか?」

「まひるの事を救ってくれた時かな? まひるが詳しく教えてくれたし」


 げ……、まひるちゃん、私とまひるちゃんだけの秘密って言ったのに……まぁしょうがないか。


「ごめんなさい。色々あって秘密にしていました」

「ん〜、少し寂しかったけど、穂華の活動を見ていると、おいそれと人に話す事じゃないしね。ただ、危険な目に遭っているのが心配でね。最近、まひるとDTube見ているんだけど、ヒヤヒヤして見れたもんじゃないね。勿論まひるには危険なシーンは見せないようにしてるけどね」


 あらら……。親子で見てるのか。

 ちょっと恥ずかしいな。


「ホドホドにお願いします……」

「あはは、わかっているよ」

「レイドが終わったら、ダンジョン攻略も終盤なので、今後の事も考えたいと思ってます」


 ナヴァラトナを集め終えたり、100層に行ったり……その前に父が何をしているのかも調べないといけないし、やる事は沢山ある。

 その後、何やろうかな? 他のダンジョン攻略してもいいし、カフェを開くのもいいしね。

 まだ23歳だし未来は明るい。やりたい事を全力でチャレンジするのも良いかもしれない。

 ロハスな生活を夢見たけど、中々周りがそうさせてくれないので、先は長そうだけどね。


「相談には乗るからさ、いつでも頼ってね。そして、明後日のレイドダンジョンは、絶対に生きて帰ってきなよ。待ってるから」

「はい!」


 真夏の夜の星空の下、蚊取り線香の独特な香りが漂う中、父や母に会ったりなどの近状報告も兼ねて、私と咲さんは夜遅くまで語り合った。


 

 


読んでいただき、ありがとうございます。

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