宝箱開封の儀は童心に帰る
お陰様で体調がよくなりました。
引き続き投稿していきたいと思います!
投げ出された私を救ってくれたのは、ホワイトブロンドの長髪が美しい、マイク R.エバンスさんだった。
優しく私を足から下ろすと、まだ目が回っているのか足元がおぼつかない。
ふらふらと倒れそうになるが、マイクさんが優しく私の肩を抱き支えてくれた。
意識しないように我慢していたけど駄目だ。
マイクさんの目を見ていると、鼓動が早まり音が遠退いてくる。
私とマイクさんの周辺に花が咲き乱れるような幻覚が見える中、そんな空気を吹き飛ばすように、ルル様が話しかけてくる。
「取り込み中悪いのだが、まだ戦闘中だ」
「む、すまん」
「は、はい!」
直ぐにマイクさんから離れ、耳元で五月蝿く鳴る鼓動を鎮めさせる。
「やつの魔石は手に入れたいな。もう少し【魔法少女】のスキルを強化しておきたい」
ルル様の真・鑑定眼でどんなスキルが手に入るのか分かるのだろうか? 合同合宿中は私が倒すモンスターは少ないので、必然的にレアな魔石から手に入るスキルが減ったりしている。
最近手に入れたのはフェニックスの魔石から手に入れた、まじかる☆リヴァイブだけだ。
スキルクリスタルはそこそこ落ちるけど、12人も入れば希望者が多く、じゃんけんやクジで決めて買い取ってもらう事が多く、私は1度もスキルクリスタルを手に入れていなので、使う機会も無かった。
なので、スキルクリスタルの代わりに、モンスターから得られる魔石でスキルを覚える必要があるのだが、モンスターのレアリティに大きく関係しているらしく、中々スキル取得のアナウンスが鳴らなかった。
先程、ルル様が言ったように、私にとってプラスになる魔石はこうやって教えてくれるのだ。
できれば、私がこのクォーツゴーレムを倒したい。
「マジカルガール。お前が倒せ」
「え、いいの?」
「皆も、お前が倒す事によって強くなる事は知っている。なら止める事は無い」
そう言ってくれると、とても有り難い。
気兼ねなく私が止めを指すことが出来る。
クォーツゴーレムを見てみると、周防院さんのスキルが激しく点滅しながら直撃するのが見えた。
音を立てながら膝を突くクォーツゴーレムに対して、萬田さんが高所から頭部目掛けてキックを入れると、硬い装甲にヒビが入る。
「ほのりんさん! いけますか!?
「いけます!!」
奈々子ちゃんの問に力強く答える。
私は奈々子ちゃんの姿を確認すると、目で合図を送る。
奈々子ちゃんも理解したのか頷き、タイミングを合わせる。
まじかる☆スキルブックから、まじかる☆アタッチメント【アメイジングコスモ】を取り出す。
「まじかる☆アタッチメント!【アメイジングコスモ】オン!」
虹色に光る宝石をオタマトーンの口の中に入れると、オタマトーンが輝きだす。
『オタマトーンが形態変化します』
オタマトーンの形状が変わり、星を散りばめたような美しい弓が現れる。
弦を引くと光輝く矢が現れ、鏃に虹色の光が収束する。
奈々子ちゃんの様子を見ると、マラカスの形状がライフルへと変化し、クォーツゴーレムに狙いを定める。
よし、今だ!!
「「銀河を駆け抜けろ! アストラルシューティング……スターーーッ!」」
私と奈々子ちゃんの必殺技はクォーツゴーレムの胸に命中すると、魔石を貫く。
魔石は力強く発光すると、巨大なクォーツゴーレムの体が、光の粒子に変わって行く。
「グオオ……まじ…かる……ひ……く、道……ここ……よ、すべ……は、し…まれ…ていた……を……」
ん? 今、クォーツゴーレムがしゃべったような気がする。
光の奔流に飲まれ、聞き取れない。
やがて強い光は収まると、クォーツゴーレムの魔石が、オタマトーンの口の中に収まる。
『ジャイアントクォーツゴーレムの魔石を取得した事により、まじかる☆スキル、まじかる☆スターライトが上位スキル【まじかる☆エタニティ】に変化しました』
『ジャイアントクォーツゴーレムの魔石を分解しスキルポイントが5,000ポイント付与され、スキルポイントの合計は44,703ポイントになりました』
うわ、スキルがパワーアップしたのも驚いたけど、いつの間に40,000ポイント超えたの? フェニックス戦の前に確認した時は10,000ポイントも無かったのにな。
フェニックス戦での魔石を取得した時の取得スキルポイントは確認していなかった。
まさかこれ程にもポイントが貯まっているなんて、思いもにもよらなかった。
これならどんなスキルも強化出来るし、懸念だった、まじかる☆ドレスアップの強化も出来る。
ついつい笑みが溢れてしまう。
「宝箱3つもあるぞー!」
園田さんの声にハッとし、私とルル様は宝箱の前に駆け寄ると、宝箱は銀の箱が2つと木の箱が2つの計4箱、これは期待値MAXだ。早く開けて中身を確認したい。
「俺、ひとつ開けてみていいですか? 1度も宝箱開けた事ないんですよ」
油目さんは1度も宝箱を開けた事が無いなんて意外。
JDSTは宝箱を開ける人専門の人がいるのだろうか? 私は特に誰が開けても良い派なので、反対はしなかった。
他のメンバーも特に反対は無かったので、油目さんは銀の箱を開ける事になり、ゆっくりと蓋を持ち上げる。
「お〜、緊張するー」
「油目、漢らしく一気にいけよ」
「開けますよー! それ!」
銀の宝箱の蓋を開けると中身が目が眩む程に輝きだし、ガチャガチャと装備品だろうか、箱の大きさを無視した物が飛び出してきた。
「どわわわわ!!」
銀の箱から飛び出してきたのは、美しいデザインの西洋風の鎧などの装備一式に盾や剣等だ。
明らかに今までの装備とは一線を引くような力強さを感じ、とても価値がある装備品に違いないない。
「へー、聖騎士の鎧ですって。ケルビンの専用装備じゃない?」
「おー!? マジか?」
「ほほう。他にも聖騎士の剣に盾か。クラス専用装備一式は大当たりだな」
油目さんが開けた宝箱の中身は、大当たりのようだ。
私も結構宝箱を開けているけど、ここまでの当たりは見たことがない。
ひとつ目の銀の宝箱が大当たりなら、残りの宝箱の期待値が高まる。
次は誰が開けるのかな……?
「次! オレオレ!! オレが開けてイイっすか!?」
次の銀の宝箱を誰が開けるのか、と言う話に自然となる。
そうすると、元気な青年、末留さんが手を上げ立候補する。
まるで子供みたいにはしゃいでいるけど、私と同い年なんだよね。
そんな彼が銀の宝箱を開けると、武器が何本も収められていた。
槍に剣、弓に刀に杖など、私達のパーティーに必要そうな装備が詰まっていた。
各々得意な得物を手に取り、その感触を確かめ、メアリーさんとルル様に鑑定結果を尋ねて、その性能を調べる。
どの武器も今持っている武器よりも高性能らしく、ダンジョンから帰ったら再度分配する話し合いになりそうだ。
集めたアイテムは希望者が買取するルールなので、これは仕方がない。
私は基本的の欲しい物はスキルクリスタルか魔石しかないので、使い道の無いお金だけ貰っている。
あぁでも老後の為の貯蓄と思えば良いか。
ここのユグドラシルの塔は、通常モンスターやボスは強敵だけど、その分美味しい場所でもある。
今回、ダメダメな私だったけと、みんなのお陰でクリア出来たので良しとしよう。
慣れないユグドラシルの塔の攻略は、心身共に疲労が溜まり、気づいたら遅い時間になってしまった。
明日は休みだけど、数日もしたらレイド・竜王討伐戦だ。
レイドの準備もそうだけど、ダンジョン意外にも私にはやる事がある。
そう、そろそろ父親に会ってみようかと思う。
色々聴きたい事もあるしね。
読んでいただき、ありがとうございます。
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