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魔道具の鑑定結果と今後の方針

 モンスター化した人間の呼び名を『レムナント』に統一し、萬田さんや館林さんに今までの事を教える事にした。

 2人はとても驚いていたが、奈々子ちゃんの話を聞いて私も驚く事になる。


「実は、最初にレムナント化したであろう、元渋谷ナンバーズのトップ達が、行方不明になりました」

「なんだって? 確か彼らは色んな不祥事を起こし、解体された筈では?」

「不二木は私達を襲った後、警察に逮捕されたけど、もしかして不二木も?」

「そうです。不二木の他に影山や遊馬もです。さらに不可解な事が多数あります」

「嫌な予感がするわね♡」

「警視庁のトップ達や検察は、彼らを起訴せずに釈放したと噂があります」

「え? 嘘? そんな事ってありえる?」


 あれだけの事件を起こした犯人を、簡単に釈放するだろうか? ダンジョン法にも触れるし、何より被害者の私は知らなかった。

 もしかしたら、今も何処かで私達を狙っている可能性すらある。おちおち寝てる暇すらない。


「さらに悪い事に、あの魔道具についても、詳しく調査されていないようです。私の知り合いの刑事も担当を外されたようで、情報が入らなくなりました」

「魔道具ってどんな物かしら?」

「その魔道具とは、赤い宝石が嵌め込まれたブレスレットでした。あのレムナントが身に付けていやつと似ている物です」


 萬田さんに魔道具の具体的な説明をする。

 先程戦ったレムナントの左腕にも、めり込んだブレスレットが有った。あれは不二木が身に付けていた物と似ていた気がする。


「あれが魔道具なのか。たしか、日本トータルバイオミィテイクスの商品で、ブーストブレスレットっていう名前の商品だったかな?」

「あ〜、あれね♡うちの園田や末時も身に付けていたわね。念の為、後で取り外すように伝えるわ♡」


 そうした方が良いだろう。園田さんや末留さんがレムナント化したら洒落にならない。

 そもそも、こんな危険な物を商品化しても良いのだろうか? 日本トータルバイオミィテイクスの社長は、たしか神峰奏司で、奈々子ちゃんの元パーティーメンバーだった人だ。

 魔道具の調査も、まともにされていないとなると、裏で何かの力が動いているのかもしれない。

 モンスター相手なら、私達で対処出来るけど、魔道具を作っている日本トータルバイオミィテイクスや、警察などの権力を持った人達には無力だ。

 私達が出来る事とは一体どんな物があるのだろうか? 今は何も思いつかない。


「首を突っ込んだ身だ、僕もイロイロ調べてみるよ」

「あら♡俊ちゃんいいの?」

「ええ、萬田さんやほのりんさんには大きな借りがありますしね、こう見えてコネは有りますし、微力ながら協力させてもらいますよ」


 これは有り難い申し出だ。

 彼の人脈を使えば、色んな情報が集まるかもしれないし、協力者はひとりでも多い方が良い。

 1度帰ったらJDSTやATLANTISにも協力を願った方が良いかもしれない。


 後の事は館林さんに任せ、私達は、まじかる☆ゲートで1度、修善寺ダンジョンへ戻ると、そのまま梅林側に出た。

 修善寺ダンジョンゲート前にはマイクさんと油目さんが待っており、マイクさんに「遅いぞ」と怒られてしまった。

 他のメンバー達は一足先に旅館へ戻ったそうだ。

 現在時刻を確認すると、19時を過ぎていて、大広間に集まる時刻を、とうに過ぎていた。

 私達は慌てて、自衛隊から借りている車に乗り込むと旅館へ帰ってくる。

 旅館の関係者は、魔法少女の姿をした私達を見た時、目をまんまるにして驚いていた。

 旅館に泊まりに来た時は、変身してなかったもんね、驚いて当然。


 自室で変身解いて大広間へ行くと、大広間に50インチもありそうなテレビが、速報のニュース番組を流していた。


「帰ってきたか。大変な目にあったな」

「いえ、不幸中の幸いというか、私達がいなければレムナント化したハンターを救う事ができませんでした」

「レムナント?」


 私は、過去に元渋谷ナンバーズに襲われた事や、そのトップ達に狙われた事、そしてそのトップだった不二木がレムナント化したこと、そして、その原因が日本トータルバイオミィテイクスが製造販売している、ブーストブレスレットと呼ばれる魔道具が原因かもしれない事を伝えた。


「証拠が少ないな」


 マイクさん言う。

 証拠が少ないのは確かで、ブーストブレスレットの検証もされず、証人である不二木達も釈放され行方不明だ。

 このままではレムナント化したハンター達が増え、被害者が増える事態に陥ってしまう可能性が高かった。


 中村さん達に説明していると、汚れを落とした萬田さんが大広間に入り、萬田さんの席に着席する。

 萬田さんの目の前には、美しく盛り付けられた料理が並んでおり、どれも美味しそうな匂いが食欲を唆るが、萬田さんは手を付けずに、枡に日本酒をなみなみに注ぎ、一気にそれを呑み干す。


「園田ちゃん、末留ちゃん。話は聴いたでしょ? 貴方達が持っているブーストブレスレットを出して頂戴」


 2人は黙って自室に戻り、赤い宝石が嵌め込まれたブーストブレスレット持って来た。


「これっす」

「メアリーちゃん、ルルちゃん、念の為鑑定してくれるかしら?」


 2人は頷くとブーストブレスレットを鑑定する。


「……私の中級鑑定には、レベルを+5すると出ています。それ以外に特に怪しい効果はありませんね」


 メアリーさんの鑑定結果には問題なさそうだ。次はルル様の真・鑑定眼の結果だが……。


「我の眼でもレベル+5と出ている……しかし」

「しかし?」

「赤い宝石にはベルフェゴールの魔玉まぎょくと出ている」


 ベルフェゴールの魔玉? ベルフェゴールって何処かで聞いた事があるような? ゲーム?


「で、そのベルフェゴールの魔玉って何なんだ?」


 ケルビンさんの質問に私も興味が湧く。

 名前からしてヤバそうな感じがするし。


「すまん、我の眼でも効果を知る事は叶わなかった。理由としては、我の眼を上回る高度な隠蔽系スキルが付与されている場合と、そもそも何の効果も無いかだな。だが、名前からして危険な臭いがするのは確かだ」


 ルル様の説明にみんなが頷き、空気が重くなる。

 ブーストブレスレットの効果は分からないし、これがレムナント化させる原因なのかも判明できない。

 今は危険なので、園田さんと末留さんにも装備する事を遠慮してもらう事になった。

 2人もそんな危険な物とは知らなかったようで、触れるのも怖がっていた。


「このブーストブレスレットなるものは、自衛隊のハンター達にも配備されると聞いた事があるな」

「そうですね、装備庁の連中がそんなような話をしていたような気がします。なんでも安価で購入でき、信用出来る十条グループのヒュージマテリアルジャパンと日本トータルバイオミィテイクスの共同開発で生み出された物らしいですからね」


 中村さんと油目さんの会話に気になる部分があった。

 ヒュージマテリアジャパン。

 私の父が経営している会社で、ダンジョンから得られた素材を現代技術と、クラス【錬金術師士】や【鍛冶師】のスキルを使って様々な物を作っている会社だ。

 もし、この事件が父も関与している可能性があるなら、1度会って真実を聞き出さないといけない。


「穂華ちゃん……」

「私は大丈夫」


 直ぐに察してくれる奈々子ちゃんの優しさに、私は心から感謝する。

 私は大丈夫。父から逃げて来たけど、レイド前か後か分からないけど、近い内に必ず会って話を聞こう。

 もし、知らないで危険な物を作っているなら、事情を説明し、研究開発を辞めてもらうし、知っててやっているなら、たとえ父だとしても咎めないといけない。

 身内が関与しているなら、尚更私がこの事件を解決しないといけない。


 話し合いは夜遅くまで続き、今後、Chrome Tempest、JDST、ATLANTISはこれらの情報を持ち帰り、さらに情報を集め調査する事になった。

 今後、上からの圧力も考慮し秘密裏に活動する事も視野に動き出した。

 

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