謎の男
それでは第4話です。
お袋は車で病院に来たらしく、駐車場で別れを告げた。
『無理しないで』って何度も念を押されたけど、『大丈夫』って笑顔で答えた。やっぱ母親って何か感じ取るのかな?
時計は午後4時を回ったところだった。とても新鮮な気分だ。
疲れはまだまだ取れてないけど、いつもより気が楽だった。カバンが軽く感じられた。
俺はそのまま歩いて、駅へ向かった。もちろん自宅アパートに帰るためにだ。
昨日の事は夢だったんだきっと。
病院から約20分かかって駅に到着。
昨日と同じ改札を通り、同じ階段を下り、ホームに立った。
「くそっ、モヤモヤする。」
駅のホームに立った途端、昨日の感覚が蘇ってきた。
どうしても忘れられなかった。
俺は確認するように、ホームの先端部へ向かった。そして、昨日と同じ場所に立って考えた。
「おーい、そこのあんちゃん!」
「はははい!」
いきなり後ろから話しかけられた。
びっくりして咄嗟に振り返ると、30歳くらいの男が駅のベンチに座ってた。
「東京アドバティシメント株式会社所属、25歳、城村光輝くんであってるかな?」
「え?あ?!いやそうですけど!!てか何で知ってるんですかーー!!!」
「これ」
バサッ
そう言って彼は 社員証 会社資料 を床にばら蒔いた。
ここは東京の駅、周りから視線が集まる。
「そういう事か!」
カバンが軽いのは本当だったのか、、、何て俺はバカなんだ、、、
「もしかして、取られてることに気づいてなかった?そりゃ深刻だな。こんな資料分厚いのによ。カバンの半分占めてんじゃねーのこれ?」
否定できん、、、
「まーいいや、ゆっくりサイゼで話でもすんぞ!」
「は?知らない人となんて話せないですよ!帰ります!」
「はー、、、つくづく深刻さが感じられるよ。俺に情報取られてんだぞ。普通警察呼ぶか、そうじゃなきゃ話ぐらい聞くだろ、、」
「確かに帰るはおかしいか、、、」
なんで俺はこんなにバカなんだ?
「てか、あんたがここに来るのは分かってた。昨日のこと気になんだろ?俺見てるぞあの瞬間。サイゼ来たら詳しく話す。てか話さなくちゃいけねえ。申し訳ないが、その為にあんたの情報を取ったってとこだ。」
最初意味が分からなかった。
少し経って俺は驚いた。昨日の事を他人が話すと言うことは、それは事実となるからだ!
「わかった。行くよ。」
「よし!ま、どうなろうが連れてったがな!」
最初から馴れ馴れしいやつだし、そもそも情報取られてるし、、、
でも、昨日の体験について少しでも知れるのなら、なんでも良いと思った。
第4話まで読んでくださり、ありがとうございます。
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