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勘違いの果て  作者: SSiNN
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36.帰還

~雨田隆一~


 普段の学校よりも数段忙しい林間学校が終わった。

 学校の成績にあんまりかかわりがなく思い出つくりの一環で行われている行事のため俺自身が学んだことはほとんどないし、中学校では書かなければいけなかった作文がないのはかなり気が楽だった。

 俺は、そんなことを考えて適当にバスでの乗車時間を過ごしていた。

 朝が早かったせいか、慣れない環境が続いたから、もしくは単に体力の大半を使ったのか分からないけどほとんどの生徒が静かに寝ている。

 時々、起きている生徒はいたけどほとんどが寝ているためうるさくすると叩かれるので静かに遠くを見ながら過ごしている人がほとんどだった。

 何もすることができずにただ、ボーっとしているだけというのはかわいそうだけど俺にはどうにもすることができないのでそのまま本を読んで時間を過ごすことにした。

「リュー。」

「…華麗、起きてたのか?」

「そうだよ。」

 ちょうど後ろの席に座っていた華麗から声を掛けてきた。

「そういえば、華麗の家はどうなったんだ?」

 俺は前から聞けていなかった質問をすることにした。

「えーと、新しく建て替えるみたい。買った時から少し古かったから。」

「あー、そうだったな。」

「今は別のマンションに住んでるけど。あと何ヶ月かしたら建つと思う。」

 華麗の家が壊れた原因はトラックが事故で突っ込んできたからだったはずで、保険と賠償金などで住んでいた家よりも少しだけいい家を建てることだって可能だろう。

「まぁ、すぐには建たないと思うけど、そのときには家に行っていいか?」

「うん。」

 今まで華麗が住んでいた家を一度壊して新しく建て替える。

 すぐにできるとは言えない物だった。

 俺がそういった後、すぐに華麗が立ち上がった。

「??…、!!?。」

 なぜ、走っている最中のバスの中で立ち上がったのか理解できずにいると華麗はこちらに…ひとつ前の席の俺の上に座った?

 近すぎると思った。匂いとから直で分かってしまう。まぁ、前を向いて座っているため顔が見えることはないけど…

 周りの人は寝ているからばれないと思ったのか思い切りすぎだった。

「おいおい。」

 俺は約一週間前に俺自身の身勝手な曖昧な気持ちで華麗の告白を保留にしている。

 このことを考えると頭の中では常にエラーが発生して思考が止まる。

 だから、あまり考えないようにしていた。

「どう?」

「…どうって?」

「今の状況?」

 いつもよりも8割以上は確実に落ちている思考力で出来る質問をすると華麗自身もよくわかってないのか質問で帰ってきた。

 世間的には質問を質問で返すというのはいけないことらしいが関係ないし、今の状況では全く関係のない話だった。

「リュー?」

「…ん?なんだ?」

「感想ハ?」

 華麗が話したタイミングでちょうどバスが揺れて舌をかんだ。

「痛い。」

「大丈夫か?」

「大丈夫。」

 涙目で口を押えながら華麗は言った。

 それを見てて昔の華麗とあまり変わっていないと思った。

 昔はみんな普通でやんちゃな子供で華麗はよくミスをしてたけど俺と大野でカバーをしていた。

 あれから成長して俺だけが変わったと思う。

 昔から本は好きだったけどそのせいで記憶力が高くなり、学力成績の差はかなり開いた。

 そして、周りとうまく順応出来ているように思える華麗と大野と違い、俺は順応できない。

 そういう点で俺と二人は変わってしまったのだ。

「華麗はすごいな。」

「え?」

「華麗はどんな状況でも人と仲良くできそうだ。」

 これは俺が確実に持ち合わせていない特技の一つ。

 俺の周りにいる奴らは全員俺の特技をうらやむことはなかったが、それ以外は違う。

 俺を羨んで嫌い、仲良くすることは不可能だった。

 だから、俺には周りと仲良くすることなんてできやしない。

「なんかまた同じこと言ってるよ。」

「そうか?」

「その話はリューが中学の時に嫌われたときの話だよ?」

「まぁ、そうだな。」

 正直に言えばあまり好かれていなかったし俺自身も好んでいたわけではない。

 理由は簡単だった。瀬川と同じく努力もせずに高い成績を得ていたということが理由として大きい。

「何回か言ってると思うけどリューはリューで他の誰でもない。みんな同じ方が怖いんじゃないの?」

「…そうだったな。」

 なんの話だったのかは今は忘れているが昔、華麗にそんな話をした覚えがあった。

 たしか、あれは落ち込んでいた華麗を慰めたときの話だったな。

「私はあの言葉でリューが好きになったのにそれを忘れられたらちょっと悲しいな。」

「…すまんすまん。」

 あんまり女の人をカワイイと思わない俺の頭がなぜか華麗をカワイイという判断を出した。

「なぁ、華麗。」

「どうしたの?」

「…すまん、何もない。」

「…」

 目の前に座っている華麗の顔が見えないし、そもそもトンネルに入ったため暗くてほとんど見ることができない。

 その後もしばらく俺たちのそのまま時間が流れていった。そして俺と華麗はバスの中で寝落ちした。

 俺はあまり疲れていなかったのかすぐに起きて華麗を持ち上げて後ろにある華麗の席において再び眠りに落ちることにした。

 この作品を面白いと思った方は下の方にある星を好きな数だけ押してください。

 なお、誤字脱字などがありましたら教えてください。

 また、コメントなどは好きに書いてください。

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