24.呼び出し?
またもや短めです。
~雨田隆一~
一日の授業が終わってすぐに飛菜子と一緒に帰った。
華麗は家の用事で今日もいないし大野も別方向。
「そういえばさ、あの推理小説ってもう発売してるの?」
「…本当だ。忘れてた。」
「今から買いに行くの?」
「確かにちょっと戻らないとな。」
本音を言えば今すぐにでも買いに行きたい。
「今から戻ってもいい?」
「いいよ。私も早く読みたいから」
「ありがとう。」
「雨田は小説のどいう部分が面白いと思う?」
「それ聞く?」
「うん。聞いちゃう。」
「えーと、伏線が面白いとか、ヒロインの仕草の描写が面白いとか…」
「雨田もヒロインが気になるの?」
「話が長くなる奴って結構そういう話ないか?」
「ときどきあるよね。」
「ジャンルが恋愛じゃないのにそっちが気になるようなものもあるよな。」
「そういう話のヒロインの仕草がカワイイっていうのは共感するなぁ。」
「そうだよなぁ。」
そんな話をしていると本屋に着いた。
「そういえばさ、飛菜子はあの本買うの?」
「…どうしよう。今下巻を買ったら上巻がないから中途半端になりそうだし…」
「…今上巻も下巻もあるかは分からないから見てから決めようか。」
「そうだね。」
そうして二人で本屋に入り目的の小説を探した。
「ねぇ、ここにあるはずだよね。」
「そうだな。」
「ないけど。」
「多分、」
目的の小説を置いてあったであろう場所は見つけたが肝心の小説がない。
店の人に在庫を確認したらあるかもしれないそれなら店からなくなる前に確認してもらった方がいい。
「ちょっと確認してくるからここで待ってて」
「え、ちょっと…」
「よかったね、ちゃんと売ってて。」
「そうだけど…残り一つしかなかったな。」
「いいよ、別に。またこの前みたいに雨田から借りればいいんだし、」
「まぁ、そうだな。…でもさ」
「?」
「俺、この小説ってかなり時間かけて読むと思うから貸すのにかなり時間かかるぞ。」
「そうなの?」
「どうする?」
「待ってる。」
「できるだけ早くなるようにする」
「…別に急がなくてもいいよ。私も楽しみだけど雨田が楽しめないのはおかしいし。」
「…分かったよ。」
そういっても少しだけ早くするようにしよう。
「早く読んだとしてもネタバレはしないでね。」
「当然だろ?」
「それならいいんだよ。」
世の中にはネタバレをして喜ぶ人はいるし、しないことで怒る人はいない。
だから俺は人と話すときは大抵、ネタバレはしないようにしている。そうすれば誰も怒らないから。
本屋から歩いて家のある住宅街に着いた頃には日がかなり傾いていた。
「結構遅くなっちゃったな。」
「そうだね。」
ピコン
「雨田、メールなったよ。」
「ほんとだ。」
{華麗}{明日の昼に学校の体育館倉庫裏に来てください。}
「…これってなんかあるのか?」
俺は、なんのことかが分からないため飛菜子にも見せてしまった。
「…?私も分からないよ。」
「これって朝言ってた…噂の?」
「そうだね。」
「…なんの用だろう?」
「噂は関係なさそうだけどね。」
「どういうこと?」
「…この前、空き教室で…」
「で?」
「やっぱり言わないほうがいいかな。」
「どういうこと?」
「何も許可を取っていないので答えることはできません。」
飛菜子がロボットみたいな口調で言った。
…空き教室?俺はうちの学校にそんな部屋があったかは分からないけど、どこかにあるんだろうか。
それからしばらくして家の前まで来てしまったので飛菜子と別れて家に入った。
家に入った勢いでソファに座り、買ってきた小説を読み始めた。
~大野一~
「今日、あの場所に呼び出した?」
『昨日のメールで…』
聞いていない。そんな話。
華麗が自分から考えてとった行動なら何も言わないが突然すぎる。
何か、華麗をせかす理由でもあるのか。
『どうしたの?』
「急に告るとか言い出されたから放心してた。」
『今日こそちゃんと告白して見せる。』
俺は華麗の決心したような声にがんばれとしか言えなかった。
僕はこれからどうやって書けばいいんだ…