23.噂
コロナでリモートが忙しいから更新がしにくいです。
~雨田隆一~
飛菜子の匂い?がして目が覚めた。
しかし、部屋は俺しかいない。家にも誰もいない。華麗も…
それなのになぜか飛菜子の匂いがした。
「…」
考えても分かることではない。
そのため、考えることを放置した。
朝、華麗がいないため一人静かに朝食を食べた。
テレビでは毎日やっている占いが映っていた。
何も考えずに食べていると携帯から音が鳴った。
{華麗}{なんか引っ越しの相談で今日から家にいけない。}
「(今日は華麗が来ないのか…)」
{雨田}{そうか。大変そうだけど、頑張れよ。}
そう送って携帯を手放した。
~都留飛菜子~
昨日からいろいろと体の体調がおかしい。
長時間歩いたことが原因なのかもしれない。
そのせいでまた眠れなかった。
体感温度がいつもより高く鼓動がよく聞こえた。なぜなのかは分からない。熱もなかった。
朝早く帰ってきた両親に聞くこともなぜか恥ずかしい気がする。
適当に自分の朝ごはんを用意して家を出た。
昨日と違って雨田がいない。
時間を確認すると雨田は出てくるにはもう少し早い時間だった。
それに今日はいつもと違って雨が降っていた。
朝が早いこの時間に傘をさしてすることもなくただ暇だったため雨田の家のガレージに止めてあった自転車の荷台に座った。
昨日に晩に借りた本を読みながら時間を過ごしていると玄関の方から雨田が出てきた。
「…待たせたか?」
「今来たところだけど?」
「そうか…それにしても眠そうだな。」
「なんだか眠れなくて…」
「うちで夜遅くまでゲームしてたからじゃないのか?」
「…確かにそうかも。」
「俺の家でゲームをするのもいいけどほどほどにしろよ。」
「飛菜子。そこに乗って学校に行くのか?」
「歩いて行くよ。」
昨日は疲れてしまったけど今日は大丈夫だ。
~雨田隆一~
「そろそろ自転車も邪魔だな。」
俺が学校に行くにあたって自転車が邪魔だ。
毎日毎日学校に押していくにしても帰るときに押して帰るには自転車を持っていく意味がない。
俺一人で学校に行くなら別に問題はないのだが、誰かと一緒に学校に行くときは邪魔でしかなかった。
「邪魔かな?」
「?」
「鞄持って歩かなくていいから私は楽だけど?」
「…自転車がなくても別に持ってって言われれば持つけどな。」
「まぁ、そんなこと言ってももう教室についてるから意味ないけどね。」
「そうだな。」
「そういえば、華麗ちゃんは今日から雨田の家には泊まらうないんだよね。」
「朝にそうメールが来た。」
俺と飛菜子は席の周りで話している。
「そういえば話変わるけど…飛菜子って井上と仲いい?」
「…急だね。」
「昨日、後ろからつけてたら井上と会ってストーカーと間違われた。」
「…そんなことがあったんだ。」
「そうだよ。誤解を解くのがめんどくさかった。」
「…仲がいいかは分からないけど時々話したりするよ。体育の授業とか。」
確かに体育の授業は男女で別れてるから俺は知らない。
「そういえばこの前、さくらさんから聞いた話なんだけど…」
「(さくらさん?)」
井上の下の名前だった。
「体育館の南側にある体育倉庫前で告白すれば成功率が高いそうだよ。」
「…なんでそれを俺に教えた?」
「…大野君たちをそこで…」
「俺は華麗に手伝わないって言ってしまっているから何もしないつもりなんだけど。」
「えぇー(成功率が高いとおもうのに。)」
「それにな、そういう噂は嘘の可能性もあるんだぞ。」
「…どうしてそう思うの?」
「昔、同じ手口を使ったことがある。」
「同じ手口?」
「さっきみたいな噂を適当に流して…男Kにそこに女Tが呼んでいたと言ったらなぜか成功してた。」
「それって…それでいいの?」
「いいんじゃないか?女の方が頼んできたわけだし。今でも二人で寿司を食いに行ってるような奴らだぞ。」
「いいんだ…それで。」
「後で本人にそれを言ったら前から脈ありだったし。」
「それは…」
「まぁ、そのあと噂が残ったっていうデメリットはあるけどな。」
「…それを知ってるからそういう噂を信じてないんだ。」
「知っているというか…あれの後何組かの男女の成功例があって失敗例しかなかったからな。」
「雨田は…華麗ちゃんが告白しても可能性が低いと思うの?」
「…本人が相談してくるってことはな。そいつ自身に自信がないってことだと思うからな。」
「そういうものなの?」
「…俺はそう思う。」
「じゃあ、次にどっちかに『手伝って』って言われれば雨田はどうする?」
「…手伝う…」かな。まぁ、状況によるよ。」
~都留飛菜子~
「華麗ちゃんは今日家にいないんだよね。」
「そうだよ。」
私は朝に聞いたことを再確認した。
「雨田が傷つくかもしれないけど…」
「?」
「今ならちゃんと華麗ちゃんのことをちゃんとあきらめることができるんじゃないかな。」
「…そうかもな。」
「乗り気じゃないね。」
「自分では諦められてると思ってる。それでもだ、どこか心のそこで悲しいとか思ってしまう。
でもそれってどうやって解決するか分からないんだ。だからこれは時間に任せることにする。」
「…そ、そうなんだ。…(じゃあどうやれば?…)…」
私は一つだけ雨田を華麗ちゃんから諦めさせる方法を思いついてしまった。
が、それは…それを実行するのは最後にした方がよかったため私はそれ以降は何もしなかった。
~大野一~
「なぁ、華麗よ。」
「…何」
「雨田の奴、お前のこと諦めるってよ。」
「…どうしよう。」
「もうこの前みたいに財布を盗んで放課後に呼び出すなんてことはできないぞ。」
「そうだよね。」
「まぁ、そのまま呼び出せばいいものを…どうしようか。」
「…」
「華麗も叔母さんに呼ばれて今はホテルに泊まってるんだろ?」
「…うん。」
「雨田の家に泊まってた時に告ればよかったのになぁ。」
「…ごめん。ちょっといつもと違う環境で楽しんでた。」
そういって華麗が反省の色を見せた。
「…別に謝ることはない。」
言い過ぎたのかもしれない。
雨田が羨ましくてつい言いすぎてしまった。
「大野、今リューに告白したらどれくらいの確率で成功すると思う?」
「さぁな。こういうときに漫画の知識は役に立たないし、俺に前例はないからなぁ。」
今は昔と違い都留さんという人がいる。
それがあるから華麗からの質問には困った。