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勘違いの果て  作者: SSiNN
23/40

22.礼

短め

~雨田隆一~


 今日は華麗がいない。

 数時間前に叔母さん(華麗のお母さん)に呼び出されて帰っていったからだ。

 晩飯は飛菜子と一緒に食べたけど…昨日までいた華麗が家にいないから家には音がなくて静かだ。

 変人が買ってきたゲームも一人だとかなり暇だ。


{飛菜子}{今そっち行っていい?}

{雨田}{いいけど…どうした?}

{飛菜子}{…雨田から借りた本を全部読んじゃった。}

{雨田}{奇遇だな。俺もだ。}

{飛菜子}{じゃあ、適当選んで持っていったらいいの?}

{雨田}{お願い。}


 そうメールを送って少しして飛菜子が家に来た。

「お邪魔します。」

「いらっしゃい。」

「やっぱり、今日は華麗ちゃんいないの?」

「うん」

「…じゃあ、これ渡しておくね。」

「ありがとう。」

 飛菜子が自分の家から本を持ってきた。

「飛菜子も読み終わったんだったな。」

「うん。」

「じゃあ、いつも通り本棚にある奴適当にどうぞ。」

「分かった。」


 俺はリビングで飛菜子が持ってきた本を読んでいると飛菜子が二階から降りて来た。

「いつもはここで本を読んでるの?」

「最近は華麗がこの家にいたからな。」

「私が何か盗むとか思わないの?」

「飛菜子はそんなことしないと思ってる。」

「…そうだよ。」

「それに最近は華麗がいたからあんまり本を読むことがなかったんだよ。」

「本を読んでいないときの禁断症状?」

「そうかもしれない。」

 学校の修学旅行で小説を忘れていったときはいち早く帰って本を読みたくて楽しいという思いでがないような気がする。

「じゃあ、私もここで本読んでいい?」

「どこでもどうぞ」

 そういうとリビングにある残り三つの席のうち一番近かった飛菜子が隣の席に座った。

「華麗ちゃんがこの家にいたときは何をしてたの?」

「そこついてるゲームとかテレビとか…かな。」

「…どんなゲーム?」

「ホラー」

「楽しいの?」

「華麗がな。」

 本格ホラーでも笑ってプレイする…している華麗は怖いもの知らずだ。

「それ以外のはあるの?」

「やりたいの?」

「やったことがない。ずっと本読んだり、料理の手伝いしてたから…」

「…じゃあ、適当にやってみるか?」

「うん。」


 飛菜子が適当にゲームのカセットの山から取り出したゲームはギャルゲーと呼ばれるものだった。

「(変人が買ってきたから何もチェックはしてないけど…まさかこんなゲームがあるなんて知らなかった。)それでいいのか?」

 ずっとこの家に住んで、ゲームを一切していない俺は変人が買ったゲームの種類を知らない。

 奇人も何も言わないため好き勝手にいろんなゲームを買ってくるためだ。

「うん。なんか面白そうだし…」

「…まぁいいや。」

 タイトルが有名なラノベだったので多分変なシーンはないだろう。

「それ、ノベルゲームだと思うけどな。」

「ノベルゲーム?」

「ボタンを押してストーリーを進めるタイプのゲームだな。小説がゲームになったようなものだと思う。」

「じゃあ、それやってみる。」

「ボタン操作ないけどな…(この家に来る奴はみんなゲームをするのか?)」


「ねぇ、雨田…この場面でどのヒロイン選ぶの?」

 結局操作は俺が教えながら飛菜子がしている状態になった。

 結局やってみると戦闘もののゲームでかなり操作が難しく最初はかなり苦戦していたが一人でやっている。

「どのヒロイン?」

「えーと、幼馴染とお隣さんの二択?(二択しかない。)」

「うん。」

「(こういうゲームってなんで幼馴染がいるんだろう。)」

 そして幼馴染はなぜか原作の方で負けてる…なんで?

「さっきまで選択肢は飛菜子が選んだたんだから飛菜子が選んだら?」

「雨田も選べば?」

「じゃあ、お隣さんで…面白そうだから…」

「…へぇ…確かに面白そうだね。」


 ゲームをしているとかなり時間が過ぎた。

「帰らなくていいのか?」

 帰れとは直接言えないため少しだけ丸くして言ってみた。

「今日は両親が帰って来ないんだ。」

 そういわれれば何も言えない。

「俺、もう風呂入ってくるわ」

 泊まるわけではないはずの飛菜子がずっと家にいることはないだろう。

「はーい。」

 まるで帰るようなつもりもないように飛菜子が言った。

「(まぁ俺が風呂に入ってるうち家にに帰るだろう。)」


 実際、風呂から出るとリビングに飛菜子がいた。

 俺が入ってからずっとゲームをしていたみたいだ。

 今現在11:00。

 いつまでも俺の家に入れることはないはずだけど…

「いつまで家にいるんだ?」

「もう帰るけど?」

「?」

「帰る前に一言言って帰ろうかと」

「?」

 そういって飛菜子が玄関に向かって歩いて行った。

「今日は迎えに来てくれてありがとう。」

「別に大したことじゃないと思うけど…」

「私…それじゃあ、もう帰るね。」

 そういった飛菜子が家の外に出た。

 飛菜子が何か言おうとしてやめた。

 何を言おうとしたのか全く分からない。

 それでも言われて悪い気がしなかった。

 

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