side大野一(1)
~大野一~
正直、恋愛相談とはめんどくさいものだ。
初めてそれを受けたのは中学二年生の頃だった。
幼馴染からこれを受けたときはかなり気が動転した。
聞いてみれば雨田のことを好きでいるようだ、今は部活が違い少しだけ疎遠になっている雨田を。
それはそうだろうと中学の頃同じ運動部で、近くで見ていて思っていた。
『こいつは雨田のことが好きなんだ』
雨田の方には竹取という学校一の人気の後輩の女子がいる。
それでも雨田にはその後輩を想っているような節を見つけることができなかった。
それどころか雨田はよく華麗のことを見ていた。
無意識に目で追っているように思えた。
正直に俺とは違って雨田ははお似合いだと思う。
中学で雨田は今住んでいる家が近いという理由で華麗ががんばればいける高校を選んだ。
それを聞いた華麗の顔はとても悲しそうな顔だった。
俺はその後華麗に
『中学内にで雨田に告るか、今から頑張って雨田と同じ高校を目指すかどっちにする。』
という二択の選択を迫った。
中学で告白するとすれば数が少ない。
これからは受験勉強であまり会うことができない。
それでも同じ学校に進学できれば華麗は今よりも雨田と会う機会が増えるだろう。
この選択肢を華麗は二つとも選んだ。
正確には中学最後の日に告白することにしたみたいだ。
だが、結局華麗は寸前のところで告白することができなかった。
聞けば、疎遠になってからあまりこういう場面になったことがなかったため緊張で頭が真っ白になったらしい。
卒業式の後、雨田は少しだけ遠い場所に引っ越した。
昔は気軽に遊びに行ける距離だったのに今ではもう気軽に遊びに行けなくなった。
それでもまだ想定内、高校生になれば学校でかなりの時間一緒にいることができる。
そうなれば華麗は雨田に告白することができると思った。
入学式の日、華麗から
『今からリューを呼び出して告白する。』
おそらく華麗は今日告白してこれからの高校生活を雨田と一緒に過ごすために一日でも多くの日を取りたかったのだろう。
呼び出す理由のために俺はその時は華麗からしたら邪魔だと思った。
一緒に飯に行くにしても遊びに行くにしてもどうやっても俺が出てくるはずだ。
そうなれば華麗の考え通りにはならない。二人きりにするために俺は急いで家に帰り続報を待つことにした。
しばらく家で気晴らしにゲームをしていると華麗からメールが届いた。
{華麗}{ごめん、できなかった。リューが体調が悪いって言っちゃって帰っちゃった。}
携帯に表示されているのはこの一文だった。
気にすることはない次にまたすればいいと返事を送りそのまま気晴らしを続けた。
しばらく様子を窺っていると雨田が華麗とは違う女子と仲良くなっているようだった。
この時ほど気分が沈んだことはなかった。
それからの雨田は再び近づいた華麗との距離を少しずつ離していったように感じた。
なぜ?最初はそう思った。
あの日、入学式の終わりに華麗は雨田に何を言ったのかが気になった。
疑問をそのまま華麗にぶつけて帰ってきた答えを聞いた時
「(雨田はもしかして勘違いしてる??)」
飛菜子があの日クイズのように雨田に出したヒントは二つでその二つだけでは俺と雨田の二人がすぐに頭に浮かぶ。
気が動転してるときにそんなことを言われれば多分勘違いしてもおかしくはないと思った。
おそらくこの状況は下手なクイズのヒントを出した華麗が悪い。
入学式が終わってすぐに告白できれば雨田と付き合うことはできたはずだし、変に気を使って告白する機会を無くすことの例えを俺はよく華麗に言ったはずなのに。
今になっても後悔は遅い。
もう都留さんとの距離も縮まってる。
幸い、都留さんにそういう意思がないように思うけど。
次のチャンスを作るしかなくなった。
この物語はフィクションです。